isumiさんの「なりそこないスノーホワイト」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

【若干女性向け】だって、何時だってお姫様を幸せにするのは王子様の役目なんですから
けれど、いつか「その日」が来ても、それからも――。


むかしむかし、ある国に少々我儘でけれどとても可愛らしいお姫様と彼女に対して恐ろしいほどに正直な従者がおりました。
そしてある日、それはそれは美しくて性格までいい義姉がやってきたことで彼女の日常は一変してしまうのでした。
……というお話だとばかり。

点数見て分かるように久々のスマッシュヒットでした。
ほわほわした絵の可愛さに釣られてプレイしてみれば、まさかここまでビター(カカオ70%のチョコくらい)な作品だとは……いい意味で裏切られました。
EDもグラフィックも全てが好きすぎる!!
ここ最近プレイした作品の中でヒロイン(主人公)がダントツに可愛かったのも高ポイント。
詳しくは下でじっくり書きたいですが、ここまで可愛い意地っ張り屋というのはなかなかお目にかかれません。
しかもその意地っ張りに全く嫌みがないんですよ!それすらも彼女の魅力の1つとなってしまっているのです。
一応乙女ゲーに分類される作品ですが、萌えゲーとしても非常に優秀なので是非多くの方にプレイしてもらいたいですね。
ニヤニヤできますよ~。
では、久々に項目別に感想を書いていきます。


・主人公
本作の優れたポイントその1
主人公のビアンカネージュ(以下、ネージュ)は甘やかされて育ったため可愛いけれど我儘で、ナルシスト。
ついでに言うと友達は0で、従者であるエステリオに言いたい放題我儘放題。
そして父親の再婚でやってきた継母と義姉を「庶民出のみすぼらしい女」と呼び、どうやって追い出すか策略をめぐらします。
……こう書くとものすごく嫌な女の子ですよね。
でも実際は全く違います。
プレイしてみれば分かりますが、彼女はただ素直になれないだけのとても素敵な女の子なんです。
心理描写も優れていて、口では継母や義姉のノクシアのことをバカにするようなことを言っていますが本心は違うことが窺い知れます。
またノクシアにいいところがあればちゃんとそれを認めますし、素直になれないながらも褒めたりします。
そして、ノクシアにエステリオを取られてしまわないかやきもきしたり、エステリオに対して素直になれなくて落ち込んだり……彼女の行動の全てが愛らしく微笑ましい。
何より感心したのは「絶対に」一線は越えないこと。
ネージュは立場上毒薬についての知識があるのですが作中でそれを悪用することはありません。
そしてとあるルートではノクシアを追いつめられるものを手に入れますが、それを使ったりはせずむしろ手にした自分を反省します。
それを手にした時点で自分は負けだと。ノクシアには勝てないと。
これってすごいことだと思うんですよ。
このタイプのヒロインって例えば暴力に走ったり変な方向に行ったり、所謂ウザいヒロインになりがちなんですがネージュにはそれがありません。
むしろその欠点ですら魅力的に見えるくらい。
嫌なヒロインになる1歩どころか5歩くらい手前で踏みとどまっており、シナリオライターさんのキャラ作りの巧さに感心しました。
女性視点(=ヒロインの心情が分かりやすい)というのもあるのかもしれませんが、ネージュは可愛らしさと姫のプライドを兼ね備えたとても魅力的なヒロインだと思います。


・シナリオ
本作の優れたポイントその2
ちなみにこれからプレイする方は是非ED2→1の順に見てください。
ED2は素直になってみる、1は意地を張り続けることで見られます。
プレイ開始直後は、我儘なお姫様と従者の関係に義姉が来たことで変化が訪れる……そんなシナリオじゃないかと予測できるのではないでしょうか。
私もそうだと思っていましたし、実際ノクシアに焼きもちを焼いたり、エステリオに素直になれないネージュにニヤニヤしながらプレイしていました。
気分は初々しい2人の恋の行方を見守る近所のおばちゃんでした。
……ED1を見るまでは。
きな臭い展開もありましたがどうせ予定調和に終わるものだと思っていたら、いい意味で裏切られました。
まさかと思いED2を見てみると……スッキリするどころかさらにやるせない気分に。
……え?何これ?すっごい大好きな展開なんですけど。
このED2つだけでもプレイして良かったと思えますが、最初からプレイすると追加される選択肢を選ぶと新たなルートが解放されます。
プレイ時間的にはこっちのルートがメインになるのでしょうか。
このルートもED1、2のインパクトに劣るもののいい出来で、特に唯一のハッピーEDとも言えるED6(客観的にはバッドED)とある人物の想いが爆発するED3がお気に入りです。
そして、オールクリアー後に後日談を見てみると……うん。

この作品、マルチEDという手法をとっておきながら根幹にあるものは変わりません。
基本的に手放しで喜べるハッピーEDは用意されていません。
なぜならハッピーEDにするための、御伽話には不可欠な「あるもの」が存在していないから。
無理やりハッピーEDにすることもできますが(この手の話で良くあるのは○○○○でしょうか)、おそらくそれは望んでいないのでしょう。
そうすることは、つまり「今まで」を壊すものだから。
後日談ではそう遠くない未来「それ」が当たり前になって、受け入れるのだろうということが示唆されています。
たとえ誰かが望んだことでなくても、そうなるしかないのだろうと思います。
あ~うまく書けませんが、こういうやるせない話って大好きです。

ただシナリオについてはべた褒めしているのですが、一部気になったことがあります。
まず、メインルート(追加選択肢で行けるルート)に入るとノクシアがあまり関わってこなくなること。
またメインルートでも根幹は変わらないのですが、中心がそれではなく別のものに移ってしまうのも少し残念。
メインルートに入るとタイトルから離れていってしまうような気がしました。
なので最初に見たからというのもあるかもしれませんが、どちらかというとタイトルにも沿っているED1、2の方が好みだったりします。


・グラフィック(1枚絵)
本作の優れたポイントその3
お前どれだけその言い回し好きなんだよと呆れられていそうですが(好みの範囲が広いので……)、1枚絵が可愛い!とにかく可愛い!
最初にこの作品を知ったのはキャラ紹介のイラストに惹かれたからだったのですが、やはりゲーム中の1枚絵も素敵でした。
水彩塗りというのでしょうか、ふわっとした塗りのものがどれも綺麗です。
何と言っても小さい頃のネージュがやばいです。いや、エステリオ達も捨てがたいのですが。
おまけのデフォルメキャラもいい。
そしてこのほわほわした淡い塗りの絵とシナリオのギャップがたまりません。




いくつかのEDが気に入った作品はたくさんありますが、全てのEDが大好きという作品は久しぶりかもしれませんね。
これで処女作とは恐れ入ります。
後、細かいことですがおまけのヒントがストーリーを進めるとちょっと変化することに好感が持てました。
こういうところまで丁寧な作品は嬉しいですねぇ。
グラフィックが好みなので若干贔屓点も入っていますが、ED1、2と後日談の破壊力が凄まじかったのでこの点数で。
女性視点ということでプレイを躊躇する方もいるかもしれませんが、大丈夫なら是非プレイしてみてください。
プレイ後にやるせなさが残る作品が好きならお勧めですよ。
いや~久々の掘り出しものでした。
フリーゲームはこういうのがあるからやめられないんですよね。
どうやら次回作の制作も開始されているようなので、そちらにも期待しています。


最近エロゲーだけでは飽き足らず女性向け、乙女ゲーというジャンルにも商業同人かまわず手を出し始めていますが、今まで食わず嫌いですいませんでした!と謝りたくなりますね。
乙女ゲーってあれでしょ?なんかイケメンがホストみたいなセリフ吐くやつと先入観だけで毛嫌いしていたあの頃の自分をぶっ飛ばしたいです。
どちらが上ではなくてそれぞれのジャンルに違った良さがあることを、この年になって初めて分かりました。
ちなみに乙女ゲーは2人の恋路を温かく見守る近所のおばちゃん的ポジションで楽しんでいます。
最近2次でも3次でも幸せそうなカップルを見ると微笑ましくてしょうがないです。

以下、さらにネタばれしつつ感想の書きなぐり










※ネタばれをなるべく避けるためにあれやらそれやらの指示代名詞が多いです。
 非常に読みにくいですご注意を。







ところでこの作品、ある人物視点で物語を追っていくとさらに救われない気分になれますね。






・EDについて
あくまで私の考えですが、ED2は変化がありそうな終わり方でしたが結局は何も変わらないと思います。
ネージュがそうする前に終わりが来るのではないかと。
事実、後日談ではもう始まりかけていますし。
またエステリオがそれに執着している以上、そこから一歩踏み出せない以上、終わりは必然的にやってくるのでしょう。
唯一ED6だけは異質な終わり方ですが、それはラスというイレギュラーがいたおかげであって、彼の考えが変わったわけではないと思います。

・ラスについて
私はラスが悪だとは思いません。
むしろあんな環境の中でそれほど歪まずに育ったのが不思議です。
あの行動だってやろうと思えばもっとひどいことができたはずですから。
思えばラスは常にエステリオに罪悪感を抱き続けていました。
だからエステリオに対しては遠慮があったと思います。
ED3はそんな彼が唯一エステリオではなく自分を優先させた結果だったのかもしれませんね。

最後にこの作品の表のテーマはあれですが、裏のテーマは「変化」ではないでしょうか。
環境や人間関係と始まりには何かしらの変化があったように思えます。
しかし変わっていくものが多い中で変わらないものもありました。
だけどその変わらない(変えられない)ものは、変わらないからこそ残酷で重たいものだったのでしょう。
……書いていて自分でよく分からなくなったのでここら辺で締めておきますね。
まぁ一番言いたいことはネージュが可愛くてしかないってことです。
そしてエステリオ達はロリコンだと思います。(いろいろ台無し)

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