くるくすさんの「フローライトメモリーズ ~いつかきっと、約束の場所で~」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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シナリオの7割は普通の萌えゲーとして手堅く完成されている。しかし終盤の唐突なシリアス転向には悪い意味で驚かされた。超展開と批判されても仕方ない。
(シナリオ素点の内訳は次の通りです。水夏編:65(点 / 満点100、以下同様) 、観琴編:55、柚季編:50、和奏編:55、かすみ編:50)


 淡い彩色と地味な制服を楽しめます。やっぱり学園ものの制服は、こういう地味系+ワンポイント 位が丁度良いのです(制服Hが少ないのは残念ですが……)。萌えゲーのOHPを巡っておりますと、ヒラヒラゴテゴテフリフリ度のインフレーションが酷いなと思います。
 日常シーンもそんなに悪くありません。小さい島の中で展開される話で、ちょっと作品世界が狭いのですが、描かれるシーンは賑やかでソコソコ笑わせてくれます。
 残念なことに、どの編も終盤が全然ダメなんです。全5編のうち2編では、普通の純愛モノだったはずが突然ファンタジーに切り替わってしまっていて、読者は展開に付いていけません。また他の2編では主題がズレてしまいます。つまり普通の日常風景に不釣り合いなシリアス展開がツギハギされているようで、継ぎ目が目立ってしまっているのです。
 日常シーンだけを楽しむのならアリなんでしょうけど……うーん、絵柄に惚れ込んだ方以外にはお勧めしかねます。

 以下は各編短評です。ネタバレ注意!




[各編短評]
■水夏編
 カップリング成立までの恋愛描写が薄めで、物足りません。水夏は初めから主人公に惚れ込んでいるとしても、主人公側が淡泊すぎます。そんなんで近親姦に踏み込めるのでしょうか。 葉月と水夏に同時に迫られて、仕方なく水夏を選んでしまったような印象すら受けます。
 終盤の展開も疑問手といえます。「周りから禁忌の肉体関係を見咎められるのが恐い」という問題が焦点のはずでしたのに、手紙とその謝罪はテーマから外れています。観琴から祝福を受け、さて俺たちの戦いはこれからだ……ええっと、物語に正しくピリオドを打ってください。
 見所はやっぱりキモウト結界。手紙の真相を打ち明けるシーンでは、本作の最大瞬間風速を観測しました。10年ほどの間ひたすら手紙を握りつぶしてきた水夏の執念も粘着的で不気味ですし、その間ずっと諦めずに手紙を出し続けてきた観琴も粘着気質。恋心も強くなり過ぎると気持ち悪くなります。幾束もの手紙がザラザラと鞄から流れ落ちる情景に、2人の女性の執着が病的に凝縮されていて、読み手をゾッとさせます。
 本作では水夏編が一番おススメ。といいますか他の編が良くないのですが。

■観琴編
 観琴は親の都合でやむなく転居するハメになりました。ビックリしました。なんだかワザと悲恋に仕立て上げているようです。こういう話に持っていくのでしたら彼女の母親をもっと物語の前面に出してこないといけません。もしくは手紙ネタを基軸に三角関係を盛り上げていくべきです。

■柚季編
 超展開と批判されても仕方ありません。おとぎ話を突然提示されてもプレイヤーはただ戸惑うだけでしょう。そして本編は謎めいたままハッピーエンドを迎え、一方でプレイヤーは困惑を内に残したまま、置いてけぼりを喰らいます。これはマズい。超自然的な法則性が作中で確立されて初めて、超自然的な現象は読み手に「さもありなん」と受容されるのです。神話体系とか超常現象といった、いかにも不可思議な事象が起こりそうな雰囲気をあらかじめ充分に用意してバラ撒いておくべきです。

■和奏編
 蛍の涙が同じ姉弟に2回手渡されるとか、呼称で記憶の復活がプレイヤーに印象付けられるとか、色々オシャレなストーリーではあります。
 オチがよく分かんない。主人公を「贖罪の対象として愛している」のか、「色恋の対象として愛している」のか、区別できないと和奏は悩みます。ここまでは(ヘンなお姉さんですが)まだ良しとしましょう。ですが、その後が納得いきません。記憶喪失→ただ純粋に主人公を愛していた頃を思い出す→記憶が戻る→やっぱり普通に恋愛すべきなんだ と締めくくられています。うーん、その程度で贖罪云々と懊悩していたのですか? 記憶喪失でゴタゴタするような話よりも、彼女が周囲に助けられながら自身に真摯に向き合う筋立ての方が正統的です。

■かすみ編
 超展開。柚季編と同様で、下準備が全然足りません。



[キャラクター]
 観琴 = ※葉月 > 和奏 = 水夏 > 柚季 > かすみ
 ※食べられません。

 ヒロインは可愛いんだけどなぁ……観琴は堅物のようで意外とお茶目ですし、和奏はボイスがエロいし。

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