t2さんの「晴れときどきお天気雨」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

【これがNYAONの仕様だ】クズ主人公とウザヒロインのドロドロした三角関係モノ。普通の恋愛萌えゲーを求める人・ゲームでイライラしたくない人はプレイしないほうが無難。 日常会話はつまらなくて眠い。「シナリオ」自体は面白い。
私が「NYAON」×「くすくす」コンビのエロゲーをプレイするのはこれで4作目です。まあ一番有名なゲームだけやってないんですが。



「NYAON」さんの書くシナリオには1つ特徴があります。このゲームのPOV投票1位にもなっている「主人公がダメ!」です。
5作品すべてに「主人公がダメ!」票がたくさん入っています。

http://erogamescape.dyndns.org/~ap2/ero/toukei_kaiseki/povlist.php?pov_id=72
『主人公がダメ!』

14票 Sultan~The Lovesong is Forever~
36票 Dear My Friend
184票 もしも明日が晴れならば
73票 さくらシュトラッセ
43票 晴れときどきお天気雨


このゲームの一言感想やPOV傾向を見ると3つの特徴があるようです。

・主人公がクズである
・ヒロインがウザイ
・三角関係モノである

作家が意図的に酷い主人公を書いていて、主人公がクズなこともちゃんとシナリオに組み込まれています。主人公《春日井祐也》のキャラクターは「必要悪」なのです。

「NYAON」さんの特徴を知らずに『晴れ天』を「くすくす」さんの萌え絵の普通の恋愛ゲームだと思ってプレイすると大変なことになります。




●悪いところ

日常会話が壊滅的にダメですね。

・おっぱいが大きい/小さい
・《なずな》の親父系下ネタ
・《なずな》×《絢音》の百合攻撃
・《水希》の洋食嫌い
・《香奈恵様》のドジっ子アピール
・主人公の得意料理の唐揚げ
・書類整理ばかりの生徒会活動

などは何回も何回もしつこく出てきます。中には意味のあるものもありますが、ここまで同じネタを何回も引っ張らなくてもと感じます。
他にも「《ごん》の男の娘」「《陽菜子》のラブアタック」「おしっこネタ」など繰り返されるネタはありますが、こっちは人によっては萌え要素を感じるかもしれません。

会話パターンが少なすぎて日常会話が苦痛レベルです。キャラ固有の会話ネタを入れてキャラ立てさせようとしているのはわかりますが、いくらなんでも回数が多過ぎです。
後述する「ヒロインの高速感情変化」とこの「水増しされすぎた固定日常会話」とのギャップが大きいことも日常パートを眠くさせています。

アヤカシ退治はワンパンチで終了。『晴れ天』には和風伝奇要素がありますが、どれも設定が浅くて緊張感もなく面白くないです。
前作『さくらシュトラッセ』もですが、萌えゲーをベースにして明るいエロゲーを目指したのは完全に企画ミスに思えます。三角関係ゲーなら鬱ゲーを目指すべきでした。




●良いところ

シナリオがいいゲームには大きく分けて2種類あります。

・シナリオトリックが面白いもの
・キャラクターとシナリオが合っているもの

『晴れ天』は完全に後者です。びっくりする予想外の展開はありません。
キャラクター1人1人がちゃんと書き分け出来ていて、キャラクター性を生かしたシナリオになっています。


例えば実妹《なずな》ルートは近親相姦のお話ですが

・《香奈恵》は近親相姦を積極的に応援する
・《絢音》はどっちとも取れない態度をとる(消極的な肯定?)
・《水希》は現実を見て近親相姦に反対する

3ヒロインは別々の反応を見せます。
私は「キャラが別々の思考を持っている」と取ります。《水希》のようなはっきりと自分の意見を出せるキャラの存在はストーリーを面白くさせます。
登場キャラ全員が《絢音》思考を持っていたら不自然です。他のエロゲーは単一思考キャラクターゲームが多いように見えます。
(※見方によっては「キャラが属性・設定通りの思考パターンしかしない」とも取る人もいるようです。)

《なずな》はウザい妹で《香奈恵》は他人を応援し続ける。キャラクターは一切ブレません。
ヒロイン4人の心情描写は丁寧かつわかりやすく書いています。主人公を除いて誰がどんな思考なのかはっきりと描いているのが特徴ですね。


「高速感情変化」について。《絢音》や《水希》などはツンモードとデレモードが激しく変化します。
《絢音》は3日で落ちますし、《水希》はイライラモード→デレデレモード→距離を置こうモードに変化。
ただし、どうして心情が変化していったかは描写は短くても理由がしっかりとしています。
ヒロイン視点のシーンがかなり多く、何を考えてどうしてこの結論になったのかが理解しすいです。

……もちろん「ヒロインの思考がわかりやすい」と「ヒロインの思考に共感できる」は別物ですよ。変なキャラはたくさんいます。
ドロドロ三角関係ゲームは主人公やヒロインに感情移入して感動するものではなく、一歩引いて見てコント劇を楽しむものという認識です。
こんなクソ主人公に共感をしようとしたらイライラするだけで楽しめないですって(笑)。
面倒なヒロイン達に萌えゲーの萌えを求めても仕方ないです。あえて萌えを求めるならNYAON度薄めの《絢音》になるんでしょうが。


物語は最後にちょっといい話で終わります。各ルートの締めには専用挿入歌が入るので盛り上がりますね。


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■■春日井祐也

NYAON主人公であり意図的にダメな要素が詰め込まれた主人公です。

言葉数は少なく《なずな》以外には優しくないです。
普通のエロゲ主人公のようにヒロインを積極的に落とす行動は少ないです。「普段は冷たいのにたま~に優しくする」戦術でヒロインをメロメロにしていきます。

登場キャラにも「先輩の気持ちが分からない」と言われるくらいですからプレイヤー視点ではさらに理解不能。
フラグ折り用の選択肢次第で「実は○○が好きだった」と突然手のひらを返します。
選択式エロゲーでは仕方のない要素ですが、《祐也》への共感要素をさらに減らしていますね。
妹LOVEでコイツの行動原理は全て《なずな》のため、というのが分かれば十分のようです。

あまりのクズ主人公ぷりにTrue Routeでは娘に殺されかけます。プレイヤー全員の《祐也》への溜まりきった殺意を《ゆみか》が代言してくれました。
いいぞもっとやれ。きっちり《祐也》を殺す選択肢が欲しかったくらいですね。

《祐也》は1つ特殊能力を持っています。
「尿意を我慢している女の子を見抜く」能力です。おしっこが漏れそうな女の子を表情から見抜き、指摘して時間を稼ぐことにより爆発限界寸前までいじめます。




■■山上絢音ルート

《絢音》ルートの主人公は《なずな》です。《絢音》より《なずな》のほうが目立っています。本編主人公の《祐也》は「竿役」であって基本何もしません。

クールちゃん攻略のための「ウザ妹をけしかけて後輩を落とす」作戦。
一人で暴走し《絢音》が何と言っても全く聞き入れない「お馬鹿さん」キャラの《なずな》。
《なずな》が傷ついても諦めないのもおそらく計算通り。ヒロイン攻略の道具として実妹の純真を弄んでいます。
アヤカシも神様もヒロイン攻略のために使えるものは全部使います。
そして《なずな》ストーキングで弱っている後輩を、主人公がいいタイミングで現れて救う。こうすることで《絢音》の中での主人公への好感度はグーンとアップします。
接点が少なく恋愛防御力が高そうなクールちゃんをたった2日でズタボロにし、3日目には落とすことに成功しました。《祐也》は真っ黒な策士ですねぇ。
《絢音》が悪い男に騙されていくようなそんな気も。何となくですが「寝取られエロゲー」のシナリオをプレイしているような感覚です。

個別に入っても《なずな》はウザくしつこくつきまとってきます。《絢音》を攻略している主人公ポジションが《なずな》ですから。
「友人たちが主人公の恋愛を全力で後押し」は普段は嫌いな展開ですが、
『晴れ天』の場合は主人公の恋愛オーラが薄すぎて、《祐也》と《絢音》は恋愛介護が必要な状況なのでしぶしぶ受け入れました

中盤から嫉妬展開に
「私は一度も抱き締められたことないのに」→《絢音》は欲 求 不 満 ですね。
毎晩の自慰行為だけでは物足りないところに、他の女と抱き合っている場面を目撃すればそりゃ怒ります。
次の日に主人公からキスで簡単に仲直りしているので欲求不満で間違いないですね。♀《なずな》では満足出来ないので竿役の♂主人公の出番です。

オチはループ。ループエロゲーの名作が多く、私もループ展開は大好きなタイプの人です。
エロゲーの特徴の1つに「ifのシナリオがある」があります。
「もしもあの時《絢音》に告白していたら」がこの《絢音》ルートで、プレイヤー視点では主人公たちのループ世界を上から眺めているようなものです。
狂言行為が本当に正しかったのかを描いています。《なずな》フラグを立てなければみんな幸せになれたのか?を数分で否定できるループ展開はやっぱり面白いです。
そして凶悪な幻術を使える《香奈恵様》マジ神様。こんな精神攻撃を食らったらどんなヒロインでもイチコロです。


お漏らし属性持ちなのにエロシーンにおしっこ皆無なのは許しません。




■■佐倉水希ルート

生理痛でイライラしているんですかね?常に怒り属性を持ち合わせている幼馴染の家政婦さん。萌えポイントよりイライラしている印象が強いです。

恋愛の王道設定「関係が近すぎたから想いに気付かなかった」
普段の会話は面白くないのに、恋愛が絡むイベントだけは感情が一気に爆発するのがこのゲームの特徴です。
恋愛でダメになるヒロインは好きではないですね。《水希》らしいキャラが失われていくからです。でも『晴れ天』のコンセプトからすると仕方ないところ。

《香奈恵》とのキス目撃からドロドロが加速。
《香奈恵様》の「キスの許可」は天然と《水希》を想ってのことですが、《水希》から見れば挑発行為です。《水希》も挑発で返します。
形としては《香奈恵》が善意で《水希》が悪意ですが、恋愛にいいも悪いもありません。
水希は「悪意」を持ったヒロインです。《なずな》には嫉妬と悪意を持っています。ドロドロゲーならこういうキャラも必要でしょう。

《香奈恵》も《水希》も泣きます。「お天気雨」どころじゃなく「土砂降り」。正統派の三角関係、ドロドロ恋愛ゲームに求めていた展開はコレです。


《水希》の個別ルートはこのゲームで一番残念な内容でした。ドロドロ薄いです。
プレイヤー視点では悩みの原因はどうせ《なずな》の事故絡みだろうと想像つきます。それなのにゲーム内キャラはずっと《みずき》に振り回され続ける。
結果としてただの《水希》の空回りシナリオにしか見えなかったのが残念でした。
そして《みずき》も言いたいことは言わないで焦らしてくるのがなんとも。(プレイヤー視点ではほぼ想像通り)《みずき》の使い方に工夫がほしかったところですね。




■■春日井なずなルート

『晴れときどきお天気雨』最強の問題児。


まず《なずな》が全ステータス最弱であることから。
車椅子ヒロインなので身体能力が最弱。どんな状況でも誰かに介護してもらわないと一人では生きていけません。
そして頭が悪い。

絢音ルートの台風の日

>「大丈夫…、出来るもんっ」

>気が付けば、意地なんてかけらも残っていなかった。

の流れが《なずな》らしいです。たった十数行で心が崩壊していく。後先を考えずに行動し周りに迷惑をかけていきます。
トークはマシンガン、下ネタも連発。ウザさが止まることはありません。負の属性をいくつも持っているマイナスキャラです。

ダメだこいつ…なんとかしないと…
お兄ちゃんが構うことで妹のマイナスキャラを物語に組み込んでいます。
マイナス要素しかないのに、マイナスであることを前面に出すことで反転して萌えキャラになる。
マイナス×マイナス=プラスなんでしょうか。理論では語れないとんでもないキャラになりました。
普段の私は「他人へ迷惑をかけるヒロインは大嫌い」と言うところですが、他人へ迷惑すら開き直ってシナリオに組み込んでしまうライターのセンスがすごいですね。


《絢音》と《なずな》が百合関係なのは誰かの介護がないと生きていけないからですね。《絢音》がいないとロリコン《会長》に寝取られてしまいます。
《なずな》の病気は言霊(自己暗示)を想定していました。シナリオのオチ予想が正解してちょっと嬉しかったり。

全キャラが近親相姦に同じ反応をするわけではなく、《水希》のように拒否するヒロインもいる。このルートはキャラの書き分けと役割がしっかりしているように見えました。
近親相姦のドロドロをファンタジー設定で和らげようとしているところにも注目ですね。


《なずな》ルートで一番好きなシーンはこれです↓

>一体の生物として、女の子という生き物と抱き合い、繋がっていること。
>――気持ちいいのは、当たり前だった。
>だって、俺達は兄妹である以前に……生命なのだから。
>今やっているこの行為は、愛を確かめ合うだけなく、まぎれもない生殖行為だったのだ。
>――中で出したいのは、当然だった。
>大好きな人となら、二人の愛の証を作りたい。
>……妊娠だって、させてみたい。

クズ主人公に唯一共感できたのはこのエロシーンだけですね。子作り最高!!!(※ただし二次元に限る)
この後に妊娠恐怖で《なずな》が壊れちゃうのですが。ぱれっとのエロゲーは近親相姦に正面から向き合うシナリオが多い気がします。


《絢音》ルートでも《なずな》は自分の足で歩こうとします。実は二番煎じのシナリオだったり。信頼できる誰かの言葉があれば《なずな》は変われるようです。
主人公的にも、このゲームのメインヒロインって実は《なずな》なんじゃ?と思えるくらいの贔屓ヒロインに見えました。


よくある疑問への私なりの回答

何で両親はなずなを置いて海外に行ったの?
→ シスコン兄貴が介護しているから。《なずな》が両親の行動を縛れば《なずな》の負担になる。それを《祐也》は許さないから

なずなの部屋が2階なのは何故?
→ 足のリハビリの為。《なずな》の性格からして部屋移動を素直に受け入れるとも思えない。




■■稲乃神香奈恵ルート

《なずな》と違って見た目ほど馬鹿ではありません。自分がダメなことをちゃんと自覚しているのも《なずな》と差別化できています。

《水希》編(共通6話)の天然挑発行為こそ許されないものですが、それ以外はただのドジっ子レベルに収まっています。
料理スキルにも向上が見られたり、《香奈恵》の行動原理は「神様は願いを叶える」なので他人のために一生懸命です。
精神力もそこそこ高めで根性が無いわけでもない。《絢音》を精神攻撃で瞬殺したりなど何だかんだ言って結構活躍しています。

「他人の幸せため」は『晴れ天』の共通事項で4ヒロインとも《祐也》を譲り合いますね。その中でも譲り合いスキルが一番高いのが《香奈恵》です。
願いを叶えるネタはもっと広げれたはずですが、中盤以降は恋愛応援のみに使用制限したのは残念でした。
例えば学園祭イベントは神様の奇跡を見せる絶好のチャンスだったはずです。一番良かったのは最初と最後の桜ネタでした。

実は告白していないオチは正直萎えました。大真面目な恋愛ゲームで明るいギャグオチは勘弁してほしいです。
クズ主人公をシナリオに組み込むこと自体は良かった。でも簡単に救われたりお笑いにいくのはダメです。
BAD ENDで損をするのは《香奈恵》と《ゆみか》だけで《祐也》にダメージはありません。True Routeでも《祐也》は無傷です。
大半のプレイヤーが《祐也》へのヘイトを溜めまくっているはずです。やはり一度は娘に殺される展開が必要だったでしょう。
鬼畜主人公に天罰を!そうしないとスッキリはしないですね。


このゲームのタイトル「お天気雨」とは何だったのでしょうか。

A.関連作の『もしも明日が晴れならば』に近い天気タイトルにした
B.狐の嫁入り
C.おしっこ
D.涙

以下、涙説で「お天気雨」について書きます。

このゲームではどのヒロインもたくさん泣きます。泣き顔立ち絵とイベントが必ず用意されています。
《香奈恵》は他ヒロインの恋愛を叶えるためにたくさん泣きます。
晴れが笑顔の象徴で、雨が涙の象徴。ならお天気雨は嬉し涙となるわけです。
譲り合いの神様は他人の為に泣いてきました。最後のお花見シーンは自分の為の嬉し涙です。

とここまではいいのですが、直後の《ゆみか》成仏シーンではまた《ゆみか》の為に泣いちゃう《香奈恵様》がいるわけですよ。
折角自分の「お天気雨」を見つけれたのにまた他人の為に泣いたら……まあそれもブレない頑固な《香奈恵》らしいとも言えますが。
私のワガママですが、挿入歌シーンは笑って嬉し涙で送ってほしかったですね。

ょぅじょが死ぬ死ぬorお別れすればそりゃいい泣きゲーになります。
《香奈恵》ルートなのに《ゆみか》が全部持っていったのは、『晴れ天』のグランドエンドとしてはどうなんでしょうね?
単体イベントで見るならウルっときても、全体のテーマからは少しずれたようにも思えました。


「お天気雨の章」はテーマから大きく外れているわけでもなく普通に読むならとてもいいお話なのですが、
ひねくれた私には「《祐也》抹殺」「嬉し涙で送る」の2点がないのが気になりました。



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5年前のエロゲーの今更のプレイメモは以上です。

当時はぱれっと別チームの『ましろ色シンフォニー』がTVアニメ放送中だったり
『晴れときどきお天気雨』が1980円なのに『もしも明日が晴れならば』が10000円以上のプレミア価格がついていた背景があります。
なので『ましろ色』のようなゲームを期待した、『もしらば』が高いから代わりに『晴れ天』を買ったという人も多かったようです。

「NYAON」さんの5年ぶりの新作がもうすぐ出るようです。
私はオカマが好きじゃないので多分買わないと思いますが、今度はどんな主人公になるんでしょうね?
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