G-hunterさんの「Minstrel -壊レタ人ギョウ-」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

同人らしからぬ、隙が無く纏まっている良作です。風呂敷畳めない同人が多い中、終始安定感のあるストーリーをみせ、さらに中後半の種明かし展開も面白いという非の打ち所が無いのは凄いです。最近は商業や同人を問わず分割内容で販売して反響があったら続編を作るという手法が多いのに対し、この作品は一本で完結しているにもかかわらず受け手がその後の世界も見てみたいと思わせる魅力があります。会話がLittleWitchのような噴き出し形式なのもグッド!人間になりたい人形・ロマと吟遊詩人・リーベの旅の物語。同人の域を超えてますよ、これ
人間じゃぁないか。
壊れた○○は、どこまでも人間じゃないか。
どんなに人形の様であっても、どこまで壊れていたとしても、やっぱり○○は人間じゃないか。










・ストーリー
そこは、人形支配の街
そこは、首切りと裏切りの街
辿りついたのは不和の孤児院と果ての王都

少年と少女は旅をする。
存在するはずの無い愛を求め、
お伽噺のような夢を追う。

「僕は、夢を叶えたいんです」
ただ純粋に、ただ無垢に、ただ、ただ――

旅人が目にするいくつもの喜劇悲劇復讐劇は、
人間の弱さと醜さを露呈させる。
何が正しくて、何が間違っているのか。
復讐の連鎖はどこまでも惨劇を呼ぶ。

不幸の中心にあるモノは、
いつだって“人形”だった。
そして、旅は終わる。全てが、終わる。



プレイ時間は8時間。攻略順序は一本道
全4章で1章あたり2時間ほど。体験版では1章をプレイすることができるようです
このゲームの見所は「対比」です。各章どれも見事な対比が物語を彩っています

1章は辛い現実と偽りの夢の対比ですね
たとえ偽りでも当人たちが幸せならばそれでいいじゃないかという人形師
一方で辛い現実でも目を逸らさずに直視しなけば死んでいると同義だというリーベ
どちらが正しいかなんていう答えは出ないんです。むしろ、出さなくてもいいのかもしれません
結局はリーベが力ずくで都市の幻影を解き、悲惨な現実が街に襲い掛かります
多くの都市の住民は嘆き、悲しみ、怒りをぶつけるのを見ながら、リーベは一瞥します
彼女の強さには誰も到達せず、結果として呪詛を吐きながら自ら命を絶つ者が後を絶たないまま…
街は滅んでしまいました
いきなりドギツイ展開ですが、むしろこれでグッと引き込まれたのは否めません

2章は失敗作と成功作の対比
失敗作ながらも人間の感情を理解できるアデル
成功作なのに人間の感情を理解できないロマ
アデルはロマに自身の凄惨な過去を通じて人間の感情のきっかけを与えます
ロマに感情を与えるために存在する。アデルはこれが自らの役目であると信じて
決して自分では理解したくなかった、モニカはアデルと一緒にいることを選ばれなかった悲しみを背負って
アデルはロマに自分を壊してくれと頼むのでした
長い間、モニカが去った今でも屋敷の中で一人佇むアデル
彼が培った感情は―たとえ悲しみだとしても―アデルには眩しすぎました
本当にアデルが失敗作だったのか。プレイヤーは自問せざるをえないでしょう

3章は逃避と羨望の対比
人間にあこがれる人形・ロマ
人形にあこがれる人間・ハイン
憎んで憎んで憎んでいたと信じなければならないほど好きだった子を殺してしまったハイン
後悔と悔悟に苛まれるくらいなら心を閉ざしてしまったほうが楽だと
リーベたちはそんなハインの心とハインが殺した少女の姉・ユッタとの関係を修復していく
1章のヴォイス、2章のアデル、3章のハインとの触れ合いでロマは成長し、そして物語は終章へ…

4章は人間と人形の対比
そして本作品のどんでん返しが見られる優れたストーリー性が売りの章です
リーベがただ一人の王女であるということはなんとなく読んでいたのですが……
まさか彼女自身が人形だったというオチは衝撃でした
どうりで会ったことのあるはずのロンドを知らないわけだ。ロンドがあっていたのは本物の王女だったんですから
本物の王女の魂を使い、誰も人形とわからないほどの意思を持つ最高傑作の人形・リーベ
かたや魂を人形に奪われ、廃人同然の生活で反応すらしない本物の王女・ヒルダ
どちらが本当の「人間」であり「人形」なのか

「あなたをすきなきもちはほんものだったらいいわね」
「こんなわたしでもあなたはあいしてくれるのかしら?」

人形という事実を突きつけられ、リーベのロマに対する恋心も空中分解しそうになります
最後の最後で自分の気持ちが真実なのか、作られた記録なのか、疑念を抱いたままリーベは死にます

「リーベは人形だった」
「でも僕はリーベが好きだった」

せっかくの彼女との旅でさまざまな経験と人と触れあい、感情を抱くようになったロマに対してはあまりにも残酷な結末です
ですが、ロマには関係ないのです。ロマが愛していたのはリーベという事実であり、彼女が人形かどうかは別問題なのです
最初の街の酒場の親父が首吊りをしたって、アデルとモニカらが大切にしてたクローバーが枯れていたって。
ロマにとってはリーベとの旅こそが本物で、リーベこそが本物の「人間」だったのです

ところがどっこい、物語はそれで終わらない
ロマにとってのリーベが「人間」である。彼女を取り戻すために、ロマは王女・ヒルダの体でリーベを作り直そうとします
意思が無くなり、生きているともいえない人生をもつヒルダこそが壊レタ人ギョウであると。ロマはそう思うのです
そんな無意味な存在にリーベを宿す器としての役目を与えるために、彼は王女を殺そうとします
しかし、その時に壊レタ人ギョウであった王女が奇跡的に彼に向かって言うのです。「泣いているの?」と
その際、ロマは全てを悟ってしまうのです。なんだ、彼女は壊レタ人ギョウなんかじゃない。生きているんだ
そしてロマは彼女のためにMinstrel(吟遊詩人)となって、彼女に感情を取り戻すことを誓うのでした


リーベは人形ですが人間でした
ヒルダは人形ですが人間でした

こう同じ文面でも、全く別々の意味を持つのがよくわかりますね。
この質の高さは本当に同人なのか。う~む、凄い


・システム
LittleWitchのFFDシステムを髣髴とされる噴き出し型
SWANSONGなどもこの形式を採用していますね。個人的には大好きなシステムです
ただ、どうせならもっと立ち絵が豊富であればなぁ…
いくつかの場面で立ち絵に会わない台詞があったりしたのが残念。立ち絵の数が多ければ!


・総評
素直に感心してしまう出来でした
終始クオリティを維持しつつ、最終章で更なる高みへ持っていく手腕。同人でいるのはもったいないなぁ
レジスタンスと宰相の戦いが全く語られない(意図的に避けられている)ので、もしかしたら続編あるか?
たとえ続編が無かったとしても、この完結でも文句は無いと思います


・一言感想の羅列
①章を重ねるごとにデレるリーべが可愛い
②リーベとロマの2人組みから、どことなく「キノの旅」臭を最初に感じました
③それにしても宰相の圧倒的存在感はなんだんだ
④1章で既読スキップするとちょくちょく止まるバグがあるような?
⑤これが1000円かぁ……
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