Accord4312さんの「ななプリ。」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

女装少年に期待すると×。ファンタジーの空気を期待すると○。物語としては少々△。
選択肢をすべて網羅し100%の読破率にしなければすべてのシナリオが読めず回想が埋まらないというのは、どれだけうまくまとめてある話であったとしても読後感が台無しである。

そんなわけで、最近では見なくなったものの、かつてワゴンゲーの常連であり、今でもお値段自体はワゴン価格なのだろうが、私の近辺ではめっきり見ることがなくなった本作を、購入から3年の時を経てようやくフルコンプすることができた。

とはいっても、実質1日もあればフルコンプ自体は出来てしまうシナリオ量であると思うので、ただ単に面倒がってプレイしていなかっただけともいえるのだが。

それはともかく、内容について。
聖ノルドーレン国の7人の姫。それらは姫の自覚を得ることによって発生し、この国を統べる象徴となる。そして魔女が1000年の時を経て復活しようとし・・・・・・

ああもうながい!(え

実際はこれらの語句の大半に特殊な読みがあり、正直プレイした後でさえ正確な読みをほとんど覚えていない。もともとファンタジーが嫌いではないがあまり読むのを好まない理由にこういう特殊な語句の多さがあるが、これはある種ファンタジーの醍醐味であるので、この辺の私の消化不良さは私個人の感想として据え置くとして。

ファンタジーとしてはその説明も適宜無難に行われているといった感じで、特段説明不足らしき部分は見当たらず。
設定に飲まれて展開が引っ張られているとかそういうことも特段感じなかったので、ファンタジーとしての物語の空気は十分であるように思う。

また、適度に伏線が予想でき、かつ、無理のないわかりやすい展開で物語が収束したのも、個人的には好印象。
どうにも製作陣の言葉を見る限りでは、これは意図的というよりは製作への投げやり感というものの方が影響したようにも思われるが、この点についてはそれが逆に功を奏したのかもしれない。

ただ、その投げやり製作感の難点が如実に出たのが、主人公であるエノール&カタリナ以外の姫と主従の扱いや、その設定の放置だろう。

他の方もこのゲームの感想で言及しているが、7つの姫がそれぞれ街を治めるという設定であるにもかかわらず、実際主人公たちが訪れた街が3つしかないというのは流石にどうなのだろうか。
それぞれの者が街を治めるという意味で似たような作品と言えば、SEVEN WONDERよりこのゲームの後に発売される「太陽のプロミア」があるだろうが、そちらではそれぞれの町についてしっかりと言及していたこともあり、それぞれの者についてもしっかりと描いていただけに、先にそちらをプレイしてしまった身としては、いささか物足りない部分が強い。

また、個々の姫様の真意が読み取りきれない、というのは決して悪い部分ばかりではないと思うが、流石にちょっとも現れる気配のない、というのはどうなのであろうか。
もちろん、私が莫迦だから気がつかないだけ、というのもあるかもしれない。ただそれでも、一姫ロゼフィーヌ、三姫リフィンベルの2人については、もう少し真意を垣間見たかったキャラクターであるだけに、もうちょっと後日談でもいいから描写が欲しかったような気がする。

そしてもう一つ。
ファンタジーなど、私たちの日常の範囲外のモノを描くときに、どうしても起こりえない現象というのはなぜ起こるかを説明しなければ意味が分からないと思うのが当然のことである。そしてもちろん、これを敢えて語らず謎は謎のままで残しておくことが却って読後感を良いものにすることも、あり得ることであろう。
しかし、どうしてもエーデルワイスをはじめとした円環現象と、エノールという存在の誕生の経緯については、もう少し説明があってもよかったのではないかと個人的には思える。
前者はまだ少しは説明があって説明不足、というものでまぁ許せないこともないが、後者は物語中の開設者的な立場であるキャラをして「いつの間にかこうなってた」というような言葉で済ませる始末であり、流石にどうなのかとは思わなくもない。

回想シーンについては意外と種々のシチュエーションを盛り込んでおり存外に悪くない。
ただ、そのシーンのシチュエーションの割にはイマイチ入り込めず、実用性は乏しいと言わざるを得ないだろうか。
リフィンベル関連は、もう少しシーンを増やしてもシナリオが成立したと思われるだけに、もったいなかった。

音楽やCGもまぁ及第点だろう。OP曲の落ち着いた曲調はまさにファンタジーの幕開けという感じがして心地よかった。

総じて見れば。
色々な手抜き部分が見られるが、その手抜きなりにはしっかりとまとめあがっているという意味で、意外に悪くない作品なのかもしれない。
ただ、それならもう少し。手抜きでないしっかりとした物語としてこのゲームを見てみたかった。そんな消化不良感が残る何とも言えないゲームだろう。

そして、このゲームは実質一本道に等しいので、7つ姫という設定の割にほぼ姫様がらみの話が見えないので、そこはご注意を。そこら辺の意味では、ある種「シナリオゲー」と本作はいえるのかもしれないが。

(どうでもいいが、「シナリオゲー」というのは「シナリオを売りにして勝負をかけていると見えるゲーム」なのであって、「シナリオがよかったゲーム」という意味だとは必ずしも私は思っていないのであるが、その辺皆さんどうなのだろうか。そうでも考えないと、キャラを売ってるわけでもエロスを強く売っているわけでもない、あまりこういういい方はなんだが、「ええかっこしいでユーザーに色目を使った結果中途半端になってしまったゲーム」を一体なんと呼ぶべきか、私には皆目見当がつかないのであるが、ここではどうでもいい話)
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