TsukimiyaYukitoさんの「みずいろ」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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 学園恋愛アドヴェンチャーにおける「普通」を目指した作品。雪希を好きになれればそれで十分です。描かれる「普通」の日常はたしかに退屈かもしれません。しかしながら、普通こそ掛け替えのないものであることを、本作は2つの面から教えてくれました。
1.1. 退屈で平凡で、とてもつまらない「普通」な日常。だけど……
 一日たりとも欠けることなく「おはよう」から「おやすみ」まで描かれ続ける日常は、
ヒロインに感情移入できないと退屈かもしれません。読者を驚かせる特別なものは確かに
少ないかもしれませんが、そこに込められた想い(伏線)を顧みると見違えるほど輝きま
す。また、「普通」の日常のおかげか、終盤の盛り上がりがとても際立っています。ヒロ
イン視点で明かされる長年の想いは胸をふるわせてくれました。


1.2. 過去編による共通シナリオの排除
 他の作品と比べて唯一「普通」ではないのが、過去編におけるルートヒロインの決定で
しょうか。ここでの主人公による(きまぐれな)行動次第で、ヒロインの性格に多大な影
響を及ぼします。登場人物の立ち位置を変えつつも矛盾のない物語世界の作るというのは
面白いアイディアでした。




2. 個別シナリオやヒロインについて
 偽りの幸せの上に成り立つ日常と、その悩みを乗り越えることが本線。彼女たちの想い
が日常にどのように反映されているかをじっと見守る作品でした。


2.1. 片瀬 雪希(8/10)/ 守りたいと願っていた笑顔
 マイシスターこと素直で可愛い妹の雪希ちゃん。本作におけるウェイトの大部分は、一
途な彼女の(理想化された)可愛らしさで占められているような気がします。雪希との登
校場面の気合の入り方は異常です。もっとも、雪希シナリオ以外の方が(妹としての)魅
力を発揮しているかもしれません。日和シナリオなどで勘違いしたり照れたりする雪希は
とても可愛かったです。

 雪希の物語はまず、お兄ちゃんが妹を笑顔にしようと頑張るプロローグがとても心にき
ました。そのため本編の日常が(初読時に)少し物足りなく感じられましたが、雪希が健
二と日和の2人を笑顔で見られなくなっていくところからは物語に強く引き込まれました。

 彼女の視点で明かされる後ろめたさや日和との隠れた約束。「私だけの優しいお兄ちゃ
ん」を拠り所にする場面など、雪希ちゃん視点で描く切なさには胸が震えました。雪希の
左手薬指にみずいろの指輪をはめて3人で泣く公園のシーンでは、様々な想いが交錯する
中で危うく(日和に)もらい泣きするところでした。水色の指輪と手紙、そして「お帰
り」で締めくくられるとても綺麗なエンディングです。


2.2. 早坂 日和(8/10)/ 普通となった非日常
 ポンコツ幼馴染ことメインヒロインの日和さん。「う゛~う゛~」と煩い彼女を残念な
がらあまり好きになれませんでした。しかし、日和・雪希2人のシナリオ終盤で描かれる
彼女の想いだけは別です。クローゼットの引き出しにチョコレートを隠し、日和一家の引
っ越しに同意する彼女の気持ちを想うと胸が苦しくなります。

 なお、ストローリングをきっかけに泣き出すシーンは、お約束ではありますがどうも蛇
足に感じてしまいます。みずいろの「すきです。けんちゃん」のメッセージが感動の最高
点であったため、再会は健二が病室のドアを開けて日和が振り向くあたりでちょうど良い
とよいと思います。


2.3. 神津 麻美(6/10)/ 心を閉ざして描き続けた日記
 お餅が大好きな麻美先輩。会話に間が開きすぎる彼女の話し方は少々苦手でした。幼少
期にクラスメイトから「のろまだから面白くない」と避けられるのも分かります。しかし
ながら、公園で出会った捨て猫が唯一の友達というのは涙を誘いますし、心を閉ざして偽
りの冒険譚を綴った日記は胸を打ちました。健二にとっては気まぐれでも、声を掛けられ
た彼女はとても嬉しかったのでしょう。


2.4. 進藤 むつき(7/10)/ 私を見てほしい
 ヒロインとなるかどうかで180度性格が変わる進藤さん。どちらかと言えば、はっきり
と言いたいことを言ってくれる「やかま進藤」の方が好みです。いつも健二に叩かれて可
哀想な目に遭っていますが、いくら喧しくても無暗に女の子に暴力をふるう彼は許されま
せん。

 「おとな進藤」の物語ですが、遅くともレーズンクレープのエピソードまでには姉との
入れ替わりに気付くと思います。しかし、これは読者にあえて気付かせた上で、妹(さつ
き)の心の揺れを見ていくものでしょう。「むつきちゃん」と健二に呼ばれるたびに心を
痛めるさつき。彼女を見ているのが徐々に辛くなっていきました。2つの花火はとても感
動的でしたし、水色のリボンを贈る終幕は(名前を明かさないところまで含めて)とても
綺麗でした。


2.5. 小野崎 清香(6/10)/ これからは素直になれるといいね
 結び目から約60cmも伸びるリボン(?)を愛用する味音痴の清香。他ルートで喧嘩友達
として登場するのはまだしも、砂絵製作のために軟禁されるのはあまりいい気がしません
でした。徐々にお互いのことが気になっていく様子は少しずつ描かれていたものの、誕生
日とおかあさんの話題を只々先延ばししているように感じられてしまいました。


2.6. みずいろ
 自分の大切な人が隣にいてくれること。それは、普通であり、特別であり、そしてとて
も大切で素晴らしいこと。それだけは、離れえぬよう、ながされぬよう、ぎゅっと。
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