くるくすさんの「みずいろ」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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子供時代を主観的に描いて見せたり、キーアイテムで変わらぬ絆を演出して見せたりして、昔馴染みとのラブストーリーを美化できている。中盤で弛んでしまうのはジャンルとしての宿命か。
(シナリオ素点の内訳は次の通りです。雪希編:70(点/満点100、以下同様)、日和編:70、清香編:60、進藤編:65、麻美編:60)


 昔馴染みとのラブストーリーはやはり特別な感じがします。継続的な関係のもたらす安心感あるいは運命的な再会によって、ふたりの結びつきは強調され、そして読み手は想像を、過去、現在、未来、とドミノ倒しにできます。
 本作は過去を只の回想シーンで済ませることなく、主観的に描写して見せてくれました。おかげでプレイヤーは主人公の過去をリアルタイムに体感しながら、ヒロインに向けるべき目線を彼のそれと合致させられます。丈も長すぎず短すぎずで丁度いい。
 現在と過去はキーアイテムによって強固に繋がれ、生じた感動はささやかながらもアイテムを核として結晶化します(「ラムネ」(2004)と似ています)。指輪、タンスそしてリボン――あの日手元にあった品々は移ろわずに今も手元に残っていて、ふたりの歴史を静的に証言してきたし、しているし、するのでしょう。
 もっとも中盤は冗長で読者を退屈させます。「面白い日常」は経験的に矛盾していて、書き手にとって厄介な目標なのだろうなと。


 以下は各編短評。ネタバレ注意!





■雪希編
 ヤンデレ化せずライト過ぎずで丁度いい。本心をじっと隠す雪希が好きです。彼女は几帳面で潔癖なゆえに、指輪を見るにつけ古傷に痛みを覚えていて、今も痛い。

■日和編
 キーアイテムの導入が上手い。クローゼットとストローはどちらも2通りに使われています。クローゼットはワープポータルとチョコの秘蔵場所として、ストローは日和の消滅時と記憶の再生時に、用いられています。
 技巧に走るあまりに不自然さを滲ませてしまった感もあります。ストローで指輪を作ろうというのは、小学生じゃあるまいし、作り話めいていてヘンです。あるいはクローゼットの引き出しにずっとチョコが隠されていたなら、融けて腐っていたり虫が湧いていたりしそう……ってか、臭いがスゴイことになって気づきそうなものですが。そもそも日和編だけファンタジーになっていて、違和感があります。なおエピローグで健二が日和の病室に押しかけながらも不審がられなかったのは、彼女のぽんこつ設定のお陰なのでしょう。

■清香編
 砂絵をシナリオの中核に据えるのであれば、砂の入手、精製、着色、配置、固定……といった作業風景を具体的に描写するべきです。「カリカリカリ サササササ カサカサカサ」で済ませてしまう(しかもコピペして何度も使い回す)ようでは、臨場感など望むべくもない。ライターさん、ちゃんと取材なさっていないでしょ。薄い入門書を一冊読むだけでもディテールに深みを持たせられるのに、もったいない。

■進藤編
 雨の降る中で花火をするのはいくらなんでもおかしい。

■麻美編
 中盤までの展開が遅すぎます。あと、終盤の猫探しはラブストーリーと直接の関係をもたないし、彼女の孤独を表象するには間接的で面白くない。



[キャラクター]
 雪希 >> 清香 > やかま進藤 > 麻美 = おとな進藤 = 日和

 雪希は献身的でいじらしくて、かなり可愛い。ダメな主人公の隣に居て、魅力をさらに増しています。お上品で少しロリィなボイスが彼女の性格によく合っていたと思います。
 日和は……うーん、別に嫌いではないのですが、私にはぽんこつの良さが未だに分からんのです。

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