ヌイさんの「暗い日曜日 -Sombre Dimanche-」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

この先に広がる景色が決して良いものではないと直感では理解しているのに 魅了されたように先へ先へと進ませる引き込む力がありました。 ENDINGは20ありますが、どれも終わる直前まで精緻な心理描写がなされていて、 選択後すぐ終わってしまうようなものはなく、手抜きを感じさせませんでした。
この感想の表題文にも書いた引き込む力がどこから来るのかについて書いていきます。
それは効果的なタイミングで挿入される音に因るものだと思います。
例えば視点がブラックアウトして扉の開く暗澹たる響きを耳にします。
しばしのウェイトが挟まれますが、この間に次は何が起きるのだろう、
開けた視界の先には何が広がるのだろうかと恐怖と好奇心が
かきたてられました。
他にもビデオを巻き戻すような音、突如思考に割り込むように挟まれるノイズが
落ち着かない気持ちにさせてくれます。

これに、場面が容易に想像できてかつ不安が掻き立てられるような場面説明、
狂気を伴った心情の告白、視覚効果が合わさった不調和の調和が先へと進む大きな
原動力となっていると思います。
 
余談ですが、サウンドカードが悪いのかはたまたドライバが悪いのか、
ウインドウタブを非アクティブ化するとしょっちゅう音が飛び飛びになり、
より不安定な気持ちにさせられました。
おどろおどろしい雰囲気と妙に合致していたので、最初は演出だと思っていました(笑)

■好きなENDING
特に好きなのは18の「檻の中の夢」と19の「もういない」20の「さよなら」

・「檻の中の夢」
苦しむ真人のために誰が今まで戦ってくれたのだろう。
真紀は確かに彼の防波堤となりえた存在だが、ゆえにその存在の崩壊を恐れる人物でもありました。
そしてそれは、少なくとも真人にとっては真紀の姉の死によりほぼ確約された将来でした。
それならば罪を受け入れつつも、二人で共に生きていこうとするのも悪いことではないのでしょうか。
微笑みながら真人の手を引く正人の表情が少し悲しそうに見えるのも印象的です。

・「もういない」
いつもと同じ掛け声で屋上を疾走する真紀。
死へと駆け出す背中には悲壮感はなく、どこか救いすら感じられました。
その姿は落ちていくことなく、どこまでも駆け抜けていくように見えました。
何となく真人が真紀のどこに惹かれたのかがわかるエンディングだったと思います。

・「さよなら」
 〇〇ではなく〇〇をとった所に、過去(それは辛苦を伴う牢獄であると共に、
そこにいる間は生きることを確約されたあの悪夢と繋がる臍帯)を
断ち切った喜びと悲しみを感じました。
喜びについては、言わずともがな過去を切り捨て未来へと進んでいく真人に抱いた感情で、
悲しみは人知れず忘れ去られていく正人に抱いた感情です。
捨てていった〇〇はあのクソったれな男との絆であると共に、弟との絆でもあったと思います。
兎の本当の意味を知り、外へと向かう覚悟のできた彼にとって弟は不要な存在であり、
切り離さなければあの結末には辿り着けませんでした。
だからこそ、そうしなければならない状況になってしまったことがもの悲しくなりました。
父親から〇〇を与えられてから正人の役割は変動してしまいました。
その結果彼は五人を殺害した加害者となり、真人から切り捨てられるべき存在となってしまいました。
そういう視点で見れば、真人はまた弟に対して加害者であったと言えます。
それにも関わらず文句の一言も言わずにただ去り行く正人に、
寂寞とした想いを抱かずにはいられませんでした。

正人の最後の言葉が「静かに見守っているよ」という意味なのか
「受け入れてくれる場所があるならそこに行くだけ」というどっちの解釈が正しいかはわかりませんが、
私はその後の流れから後者だと思い書いています。
もしも前者の意味が正しいのなら、正人が少しだけ報われる気がします。

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