houtengagekiさんの「Eternal Sky ~悠久の空の彼方~」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

古くさい雰囲気の鬱ゲー。キャラや設定といった素材は悪くない気がするのですが、描写が決定的に下手なせいで駄作に仕上がってます。あとCGの作画もひどい。このゲームを構成する要素の中でプロレベルなのは音楽と声と立ち絵のみ。
結論から言うと、まずシナリオがダメです。
共通シーンがダラダラと日常を垂れ流すだけの内容のわりに、
後半のシリアス展開は逆に急激すぎたりして、構成がグダグダしている…
テキストの質も悪く、素人の目から見ても日本語が不自然な部分が多いし、
描写も工夫が無いから、何か事件らしき物が起こっても惹きつけられないし…
要するにメリハリが無いのですね。

いい部分を探すとすれば、キャラ作りはそこそこ悪くないことかなあ。
親友が面白くて良い奴なので日常は悪くないですね。わりと楽しい。
ヒロインも、やや極端すぎるきらいがあるものの、性格付けはしっかりしてるので可愛いと思えますし。

世界観や設定は、なかなか魅力的な部分もあります。
前世やら転生やらといった要素が詰め込まれていて、違う世界で起こったことが後半の個別ルートで
シリアスな展開へと繋がっていくあたりは、結構惹きつけられるものがありました。
まあ、それまでが平坦な学園モノの日常だったのに、急に悲劇的な設定が顔を出すので、
超展開に思えてしまう面もありますが。


さてシナリオの細かい部分を見ていこうと思います…
ゲームの構造としては、個別ルート突入後に好感度を高くしてクリアするとグッドエンドになり、
好感度を低めにしておくと、悲しい結末のノーマルエンドになるようなのですが、
このノーマルエンドの読後感はわりと悪くなかったですね。
特に、ありすと朔音のノーマルエンドは鬱ゲーを求めているならそこそこ満足できるかも。
朔音は別れの瞬間の描写が良く、キーアイテムをうまく使って印象的な情景を作り出していまして、
心をえぐられるような寂しさを味わわせてくれます。
ありすはエピローグを含めた別離のエピソードが、いじらしさを感じさせる内容で、なかなかの寂寥感でした。
報われない愛情、というものが好きなら、いい感じに鬱になれるでしょう。
この2ルートは、悲劇がわりと好きな自分にとっては、まあまあ趣味に合っていて良かったです。

グッドエンドの方は、キャラにもよりますが、とってつけたようなどうでもいい内容の物が多く
特にありすと望愛は唐突に事件やいざこざが起こったかと思うと、一瞬後には解決したらしき描写が入り
唖然としている間にスタッフロールが流れるという、苦笑するしかないシロモノで
正直なところ、せっかく好感度を高くしてクリアしたのに、ノーマルエンドに比べてまるで面白くないので報われません…

ぶっちゃけ、ありすノーマルと朔音ノーマル以外のルートは全部ダメだと思います。
要するにこのゲームは、鬱ゲー的なものを求めている方以外にはオススメできない内容ですね。
いや、まあ、鬱ゲーマーにもオススメはできませんけど…


いちおう、各ルート&キャラの寸評を少し書いてみます。
・時坂 空
名前からしてメインヒロインらしきキャラで、日常から出番が多いですが
どのヒロインを攻略してても嫉妬してくるので、うっとうしかったですねw
無邪気で元気なヒロインが好きなら萌えられるかも。
このキャラのルートでは世界設定を詳しく説明してくれるので、最初に攻略すべきです。
ただ、死ぬほどご都合主義で充実感のないラストが残念。


・結城ありす
一人だけCGの枚数が他のヒロインの倍くらいありました。
前述の通り、ノーマルエンドの出来が比較的良く、鬱ゲーマーなら楽しめるでしょう。
しかしこのヒロインは、妹キャラとしての醍醐味があまりなかったのが残念です。


・北条りえる
ひたすら平坦な日常描写ばかりで、オチもありきたりだったりと、いい印象がありません。
何故か彼女だけルート確定時期がやたらと早かったのが謎です。
このキャラは他のルートだとほとんど登場すらしませんし、完全にサブ扱いですね。


・立花望愛
サブヒロイン的な立ち位置のキャラですが、専用ルートでは本筋の設定を補強する内容が語られ、
なかなか興味深いのですが…ラストの展開が、じっくり描けば感動できそうな内容なのに
すごく簡単に流されて唐突に終わるのでもったいないです。
ライターの技量の無さの影響をモロに受けた不遇のルート。
望愛自身は常識人ですし、礼儀正しい娘なので普通に好感が持てるキャラでした。
なので、専用ルートの日常描写が比較的楽しかったのが救いです。


・鳥居朔音
最初はどう攻略するのか分からなかったのですが、空ルートからの分岐で突入できました。
そういう経緯なので、空のオマケに過ぎないのかも、と不安に思っていたのですが、
前述の通りノーマルエンドは味わい深い鬱を味わわせてくれて、なかなか良かった。
比較的CGの出来も良いですし、性格もほわほわしてて可愛いので、萌え度が高かった。
しかし、明らかにキーパーソン的な登場の仕方をするわりには、空ルート以外では何の役割も
果たしておらず、せっかく重要な設定を抱えているキャラを有効に使えていないのはどうかと思う。


しかし、りえる先輩は不遇だなあ…
なぜこのキャラのシナリオだけ、あんなどうでもいい内容だったのだろう。
他のヒロインは全員なにかしら本筋の設定が絡めてあるのになあ。

何にせよ、どのシナリオも、この素材ならもっとじっくりキャラの心理をつきつめて描写すれば
もう少し面白くなる話だろう、と、やっててもどかしい気分になりました。
キャラやストーリー展開の描写がとにかく下手で、後半の盛り上がるべきシーンでもまるで盛り上がらず、感情移入しづらいですし、
やっつけ気味に終わってしまうシナリオが多かったのも本当に残念。
望愛を筆頭に、プロット自体は悪くないように思えるのに結果的にダメな出来になっているルートが多く、
最終的にシナリオを仕上げたライターの腕が悪かったのでは、という感想を抱かざるをえません。
プロットもライターが作ったのなら仕方ありませんが、そうでないのなら、
せっかくの素材がもったいないですし、ライターの人選を誤ったとしか言いようがないですね。


シナリオに関してはそんなところでして、まあ正直言ってレベルの低い作品なのですが、
絵のほうは、これに輪をかけて酷い感じです。

なんか一部のCGが壊滅的に下手というか…
いや、違うな、一部のマシな物以外、全体的にCGが壊滅的に下手です。
立ち絵はすごく可愛いので日常シーンは結構萌えるんですが、そんなとき突然デッサンの狂った一枚絵が表示されると、
「誰お前」とか冷めたツッコミを入れたくなります。

おそらくキャラクターデザインの池上茜さんは原画を担当されていないのでしょうね。
多分立ち絵だけ描いて、あとは他の人がやってるんでしょう。
いくらなんでも、池上さん本人が原画をちゃんとやっていたなら、ここまでCGの品質が
不安定になるはずはないですし…

中には頑張って池上氏のタッチに近づけて描かれているCGもあって、おっ、って思うこともあるのですが…
そういうCGは本当に少なくて、ほとんどのCGは本当に立ち絵とは別人のようで、
中には素人が描いたのかと言いたくなるような、ひどい輪郭の絵なんかもあって、
ちょっとショッキングでしたね…
特に望愛はまともなCGがただの1枚も存在せず、本当に残念でした。
そんな調子なのでエロシーンを実用に使うのは基本的に不可能だと思ってください。
エロテキストも薄すぎて何の味わいも無いしね。
しいて言えば、朔音だけはエロCGもマシな出来なので何とか使えるかな…

あとはマニュアルの説明不足が困るなあ。
スキップ操作はファンクションキーでおこなう仕様のようなんですが、そのことを書いてないw
メニューにスキップボタンとかは無いし、F8で出来ることに気づくまでは、
どうやってスキップすればいいのか分からず戸惑いました。

それとバージョン情報ぐらいどこかに書いておいてくれ…ちゃんとパッチが当たってるのかどうか不安だから…


ちなみに、こんなゲームにも手放しで褒めてやっていい部分がちゃんとありまして、
それはエンディングの歌です。
片霧烈火さんの歌う「未明空の下で」は、寂しげなメロディがとても心地よく、聴いているとしんみりして、
この曲がスタッフロールに乗って流れていくだけで、しょうもないオチのシナリオでも
わりと悪くない気分で終わることができたりして、歌って偉大だなと感じたりしました。
メイン主題歌と挿入歌も、とてもいい曲ですよ。
それに、BGMを担当されているLittle Wingさんはしっかりとした仕事をされていまして、
各シーンを演出するBGMはどれもまともな出来で、音関係だけはプロの仕事だなーと感心しました。

そのうち値下がりして980円ぐらいで売っていたら、同梱のサントラにED主題歌は収録されていますし
買う価値はあるかもしれませんよ。



それにしても残念なゲームです。
雰囲気だけでも良ければ、個人的にはそれで満足できたんですけどね…
タイトルに空と入っていたり、空がモチーフになっていたりするゲームって
空虚な雰囲気が演出されることが多いじゃないですか。
「あの空の向こう側」しかり「終ノ空」しかり。
空というものが、果てしない広さと高さを持っているから、そういう雰囲気を作ることができるわけですが
その辺の雰囲気作りからして、この作品はイマイチだったのが残念ですね。
実際に夢などで暗い空が表示されたりすることもあったのですが、特に意味はなかったし…
Skyとタイトルに入ってるわりに、実際には空というモチーフは
さしてシナリオ上で印象的に扱われているでもなかったのが何より残念。

houtengagekiさんの「Eternal Sky ~悠久の空の彼方~」の感想へのレス

houtengagekiさんこんにちは^^

>・時坂 空
>無邪気で元気なヒロインが

ええ~(苦笑
そんなレベルでしたか?
好きだって人が居たら申し訳ないけど、少なくとも義務教育課程を終えて進学できるような精神構造の人間には見えませんでしたけど・・・。
空と絡んでる主人公は只の保育士にしか見えませんでしたし。
キャラの差別化を際立たせるために多少誇張した設定になるのは当然かもしれませんが、いくら何でも度を越えているようにしか
感じられませんでした。自分はかなり序盤で耐えられずに投げてしまったので分りませんけど、敢えてそういう性格を演じている
と言う裏設定でも無ければとても受容できるようなキャラでは無かったです。

因みに貧弱なコンフィグで未読スキップONにすれば未読スキップできますよ。
2009年12月31日19時07分38秒
>RX-93ν-2さん
レスありがとうございます。
空に関しては、過剰に幼いヒロインであることは間違いないと自分も思いますw
まあしかし、絵柄からしても、ある程度萌えを意識したエロゲーなのだろうと思いますし、
そういう狙いなら、こういう幼さを誇張した性格付けがなされたヒロインも
アリなのではないかなと思う次第です。
他のエロゲでも、このくらい幼い性格のヒロインは見たことがありますし、
こういうキャラに萌える人もいるのではないでしょうか…
感想本文の空についてのくだりは、そのように考えて書きました。
結局、空というヒロインが合う合わないというのは、プレイヤー次第ということになるでしょう。

まあ、あまりに精神的に子供すぎて耐えられないという意見もわかりますし、
それならば投げ出してしまうのも無理もないことでしょうね。
あえて言えば、子供っぽさが一本調子だったのが良くなかったのかも。
このゲームのライターさんはメリハリのつけられない人のようですし…
ふとした拍子に、年相応の女性っぽさを垣間見せるなどの演出があれば、
少しは印象がマシになっていたかもしれませんね。

ちなみに個人的な好みで言うなら、自分もちょっと空は幼すぎてうっとうしかったですw
なんとか耐えて最後までプレイすることはできましたけども。


未読スキップの件はご指摘ありがとうございます、確かにできるようですね。
なぜ気づかなかったのだろう…w
事実誤認でしたので本文を修正しておくことにします。
2009年12月31日20時08分29秒
>他のエロゲでも、このくらい幼い性格のヒロインは見たことがありますし

うん、それはそれで分かるんですよ。
自分も未読スキップで流しながら望愛のエンディングまでは到達したので、後半の展開もある程度分かりますが、萌えを狙うなら
違うだろ、と。また欝系な話に持って行きたいならここまで過剰な萌えは必要なのか?と
明らかにそういう嗜好のユーザーをターゲットにしているなら否定しませんが、全ての事が中途半端に感じられます。何をどうしたい
ゲームなんだか良く分からなかったです。

>スキップ
自分はレビューの中で「手放しスキップは出来ない」と書いてしまっていました(汗
貴重なF8情報(苦笑)ありがとうございます。自分の長文感想も修正しておきますw
2009年12月31日20時28分11秒
そうですね…
萌えと鬱シナリオを両立させたいというか、萌えキャラで鬱ゲーを作りたかったのではないかなあ、
と自分は感じました。
実際、前半の萌えゲーらしいごく普通の日常を通過したあとだと
後半の鬱部分が、ギャップ効果が出て、より鬱に感じられるという面もありますし。

とはいえ、結果的に中途半端な出来になってしまっているのはまったくその通りですね。
ライターがうまくやれば感動できる作品にできた可能性があるので、
サジ加減次第だったんじゃないかな、と個人的には思いますが…
2010年01月01日05時54分09秒

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