sayuraさんの「ナツユメナギサ」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

【ネタばれ有り】全√クリア後の何とも言えない既読感、余韻・・・感動? いや、違うな、虚しさなのかこの感情は。
全√クリアしました。

なんというか、このやりようの無い虚無感というか喪失感・・・。
強烈すぎる余韻、とでも言うのでしょうか?

「儚い」と言う言葉がこれほどピッタリとくる作品は他には中々無いんじゃないでしょうか。

一人の結末を見る度、次の周回で既に結末を知っているヒロインを見た時にどれだけ胸が締め付けられる
想いをしたことでしょう。

「萌え」や「俺の嫁」というありがちな独占欲から来る胸の締め付けではなく、彼女達が内包している
苦しみや葛藤、そしてその内なる想いを知ってしまったが故にスルーすることが出来なくなる感慨、と言えば
いいんでしょうか。

なんか、上手い言葉が見つかりません。

つかさの結末を見た後、頑張る彼女が心の裏側で苦しんでいる姿が浮かんできてきました。

羊の結末を見た後、羊以外の女性と渚が話している姿を見て彼女がどんなに辛かったんでしょう?

はるかの結末を見た後、彼女は本当にあれで幸せな結末だったんでしょうか?
そして、おままごとの真実を知ったとき、アリアがどんな想いで渚とはるかを見ていたのでしょうか?

真樹の結末を見た後、忘れないと言われながらも渚は忘れてしまう、そんな事実を受け入れた時の真樹は
本当に納得出来たのでしょうか?


    ・・・そして、何よりも歩はあの結末で幸せになれるのでしょうか。


愛する人と人生を共に歩いていきたい、そんなささやかな彼女の願いすら叶わなかった真実の世界。
そんなささやかな彼女の願いが叶うナツユメの世界。

私には現実の世界が正しいのか、それともナツユメの世界が正しいのか、、、分かりません。
ナツユメの世界は確かに歪で、その存在を許されるべく物では無いのかもしれません。

けれど、あの世界には歩が望んだ幸せは確実に「ある」んです。

結局、彼女と彼はナツユメの世界から抜け出し、現実世界を選びました。

こんな願いを持つのは野暮で無粋な事なのかもしれませんが、私は願わずにはいられません。

「渚」は結局、見つかっていないんです。
記憶喪失でもいい、hope以外の場所で生活していてもいい”生きていて欲しい”心から思います。
そしていつか、歩と再会をして本当の結婚式を僕らに見せて欲しい。

そして願わくば、彼女達が心から笑って暮らせるようになってくれれば、、、そう思います。

以下、個別感想(ネタばれ多分に含んでいます、ご注意を)






■青山 つかさ

彼女の抱えている問題は他のヒロインとは一線をかく異質な物だと思います。

幼き日のトラウマより母親に対して意固地になってしまっていた彼女。
精神的に幼児化してしまう呪い、その呪いを解くために渚と共に真実に近づいていく。

そして、呪いの正体を最後に気が付いた時、自分をずっと見守っていてくれた暖かい存在。
にもやっと気がつけた。

「ナツユメ」から抜け出した彼女はどんな未来を描くのでしょうか。

個人的には非常に好みの設定で、好きなヒロインでしたが、他のシナリオとの特異性から
他のヒロインに押されてしまい、なんとも微妙な位置づけになってしまっているのが
非常に残念でした。


■美浜 羊

伏線の張り方・回収が絶妙な羊シナリオ。
まさか、出逢った瞬間からあのような伏線が隠されていたとは多分、誰も思いつかないでしょう。

また、全てをクリアして分かる「何故、羊は初対面から、あそこまで渚に猛アタックをしていたか」も
きちんとした理由付けが有り、イチイチ感心させられる。

唯一、疑問だったのは何故、自分の正体がばれる可能性があるのにも関わらず歌を歌ったのか?位。

突然身に降りかかってきた飛んでもない現実・不幸。
彼女の心が受けたダメージは計り知れないと思います。

人間の中に潜む排他性(特に日本人はその傾向が強いですね)の醜さを垣間見た気がし、私自身も
非常に不愉快に感じた物です。

そんな大きな心の傷を乗り越えて、歩み出した二人の未来が明るい物であることを願わずにいられません。


■遠野 はるか

一番、衝撃を受けたシナリオだったかもしれません。

「懐妊」しました、という何気ないアリアの一言を聞いたときに「え、冗談だよね?」と思いました。

はるかの妊娠が発覚してから次々に回収される伏線はどれもこれも驚く事ばかりで”おままごと”にすら
意味があった事には正直脱帽です。

アリアとの関係については全くの不意打ちで予想だにしていませんでしたからこれだけでも本作を
購入した価値があったなあと思います。

かき氷コンテストでの一幕。

真樹「・・・まさか、本当に食べろって言うんじゃないだろうね?」

これ、重くなりがちな本作で一番、笑えましたw
必見ですw



■老樹 真樹

当初、ひょっとしたらと思っていましたが、そこまで似てる訳では無いので違うだろうな、と
思っていましたら実はそうだった、と驚きながらも予想通りだったか、と何故かほっとしたりしました。

彼女がたどり着いた真実、それは彼女にとって本当につらいものだったのでしょう。
胸の中にあったモヤモヤこそが親友を裏切っているという焦燥感だった訳ですから。

「ナツユメ」の真実にたどり着いてしまった彼女はどんな思いであの手紙を渚に向けて送ったのでしょうか。

そして再び、自分を見つけてくれた愛しい人を見てどれだけ複雑だったかはかり知れません。

更に言えばその愛しい人は既に・・・なのですから。

「悲恋」なんでしょうね、やはり。

「ナツユメ」から脱出した後、真樹がどんな幸せを掴むのか分かりませんが歩同様、幸せになって欲しい
そう願わずにはいられません。



■七瀬 歩

「ナツユメナギサ」における全てを握っているヒロイン、歩。
エンディングの後、彼女はどんな想いで生活していくのでしょうか。

自分を唯一、理解してくれる何にも代え難い存在の渚。
その渚を失った事によって引き起きたこの物語。

この歩の想いはいつもクリア後に私の中に残るヒロインへの感情に大きな変化をもたらしました。

今作には実に魅力的なヒロインが沢山出てきます。
過去に私が終わらせてきた作品だと好きなヒロインが複数いても基本的に好みという問題から
大体メインヒロインが一番好きだったと言う想いが残ることが多いです。

今作でもクリア後、私にとって歩が一番好きなヒロインと言えるのですが、その理由が
少し他作と違っています。

なんというんでしょうか、うまい言葉が見つかりませんが、簡単に言うと「歩以外あり得ない」
でしょうか。

他のヒロインだとしっくりこないというか、歩しか無いんです。

シナリオ的に真樹をクリアした後、歩4シナリオで真樹に再会したとき、渚は真樹を忘れています。
いつもの私ならここで真樹に対し、複雑な感情を持つと思うのですが、何故か今作では
「これで良かったんだ」と思ってしまいました。

真樹自体、非常に好きなヒロインなので、どうにも複雑な筈なんですが・・・。

この感情は恐らく「ナツユメ」の正体を知ってしまったからこそ、そう思うんでしょうね。
苛烈なまでの渚への歩の想いが画面越しに伝わってきた、だからこんな複雑な感情が残ったんでしょう。

恐らくこれを読んでいる方は「何言いたいのかわからん」だとは思うのですが・・・
上手く言葉に出来なくて申し訳ない。



■総 括

「ナツユメ」に閉じこめられた3人のヒロイン、つかさ・羊・はるか。
彼女たちは渚と出逢う事で己の心に巣くっていた大きな傷を克服し、現実の世界へと戻っていきました。

「ナツユメ」は彼女達に何を残していったのでしょうか。

そして、渚に近しい者である真樹と歩の二人。

真樹は渚への恋心との決別、歩は渚のいない世界で生き抜く決意を「ナツユメ」から得たんだと思います。
元々、渚を知っているが故に「ナツユメ」での出来事、想いは彼女達にも「渚との記憶」として残っていく
のだと思います。

しかし、前者である閉じこめられた3人のヒロインは、現実世界での渚を知らない筈です。
だからこそ、”「ナツユメ」は彼女達に何を残していったのでしょうか。”と私は思うのです。

「ナツユメ」を通して3人のヒロインの心の問題は解決され、人間的にも成長しただろうと思います。
けど、その手助けをした「”渚の存在”という記憶」は彼女達に残らなかったのでは無いでしょうか。

元々”知らなかった人”ですから残る訳がないんです。

おぼろげに「ああ、誰か私を夢の中で助けてくれたのね」とは思うかもしれませんが・・・。

この結末、個人的に「納得出来る結末」なのか?と問われれば私の場合はNoです。
納得出来るわけがありません。

物語の流れ・つじつまから考えれば、そうならざるおえないのかもしれません。

けれど夢から醒めた後”渚を覚えていない”というのは「ナツユメ」の世界は”無かった”と同義だと
私は思うのです。

つまり、渚じゃなくても良かった。と言う事です。

たかが、ゲームの話です。
けど、こんなに悲しい事は無いんじゃないでしょうか。

あんなにつかさと愛し合ったのに。
あんなに羊と愛し合ったのに。
あんなにはるかと愛し合ったのに。

余りにも渚が報われなさすぎて、悲しい気持ちになります。

”歩の現実”でご都合と言われてでも渚に帰って欲しかったな、と願わずにはいられません。

文頭でも述べましたが本当に儚い物語ですよね・・・。

※不満を書きつづっていますが、不思議と本作が嫌いな訳ではありません。
気に入らないことはありますが、終わった後に確かに心に残る物があったのは間違いありません。

鬱と言えば鬱なんでょうが、何かしらの感情を必ず残してくれる作品だと思います。
とにかくお奨め、なんて気軽に言えない作品ですが、これを読んだ方が本作を手に取るきっかけに
なればいいなあとは思います。

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