TsukimiyaYukitoさんの「しろくまベルスターズ♪」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

 現代サンタというファンタジーを題材に家族愛を描いたビジュアルノベル。イブの夜に急に雪が降り始めたら、もしかしたら私たちの町にもサンタクロースがやってきたのかもしれません。ハッピー・ホリデーズ!それはそうと(略)
1. 作品全体について
1.1. あったらいいなと思わせてくれるおとぎ話
 科学とおとぎ話が融合した現代サンタが主役のファンタジーです。人口4万人弱の地方
都市「しろくま町」を舞台に、自分たちのなりたいサンタを目指していく成長物語です。
テキストは総じて読みやすく、クリスマスやサンタという制約の中では一定の物語を作れ
ていたと思います。ヒロイン達との共同生活も楽しかったです。

 しろくま町の一員となるべくおもちゃ屋さんを営みながら、ゆかいな住人と日々触れ合
うサンタ達。明確な悪意は存在せず、過去や自分の壁に挑み、努力は報われるとても優し
い世界でした。


1.2. 主人公の性格は統一して欲しい
 本作の主人公こと中井冬馬くんは、トナカイ職一筋だったせいか少しだけ不器用なとこ
ろがあります。ですが、真面目で良い主人公だと思います。……ただ、ライター3人制の
弊害できららルートのみ途中で主人公の性格が変わってしまいます。


1.3. 可愛いグラフィックと雰囲気を作るBGM
 藤原々々さんの絵は今作も非常に綺麗で、心なしか幼く見えるヒロイン達の絵はとても
可愛くて癒やされます。イベント絵総数はやや少なめですが、鳥取砂丘さんの微笑ましい
SD絵が十分すぎるほどそれを補っていました。

 Vocal曲はオープニング、挿入歌、エンディングのすべてが好きになれましたし、BGMも
雰囲気を作り出している曲が多かったです。


1.4. 掴みの演出はバッチリ。
 ゲームをプレイしてまず目にするのがカペラで空を駆けるエフェクトです。これがセル
ヴィのスピード感をよく表していました。続いて、ななみとりりかの掛け合いやじゃんけ
んエフェクトなど、読者の心を掴むためか冒頭から演出に力を入れていたように思います。




2. 個別シナリオやヒロインについて
■サンタクロースに大切なこと
 おとぎの世界の住人である若いサンタ達は、どんなサンタにあるいはどんなトナカイに
なりたいかを一生懸命探して実現していこうとします。しろくま町の人々と触れ合いなが
ら、仲間と切磋琢磨しながら答えを手にする成長物語を、この作品は描いていました。

■諸設定に疑問を挟みたくなるおとぎ話
 現代サンタの諸設定は、ファンタジーと現代社会の融合を試みていて大変興味深いです。
ただ、ファンタジーの世界観において必要以上に現実的な話を持ち出すので、その諸設定
が気になってしまう場面も多いです。サンタが所属する組織ノエルおよびサンタを養成す
るサンタ学校など背景設定や、サンタの秘密の重要性や小遣い稼ぎ程度のおもちゃ屋の経
営など、気にしない方が幸せなことはいっぱいあります。おとぎ話において重視するべき
は、彼らが何のために何をするかでしょう。


 2.1. 星名 ななみ(7/10)/ ずっと見ていたらしいです
 川柳にオリジナルソング、果ては間違った諺が口癖のななみん。いつでも明るく元気な
彼女の日常はとても楽しいコメディでした。恋愛面でも、冬馬が半ば必死になって告白し
ようとする場面や、初えっち後にななみんが1人でドギマギ悶える場面など微笑ましいです。

 他のルートでは、ややおバカなキャラとして扱われがちですが、サンタチームのリーダ
ーとなったななみルートでは、その持ち前の心の強さを発揮していきます。一人一人に幸
せを手渡すサンタになりたいななみんは、移動型店舗るんるん号ことオアシスを引いてア
イちゃんを始めとしたニュータウンの子供達と触れ合い、街に息づいたサンタへとなって
いきました。

 このルートだけは若干謎解き風味なところもありました。ご飯の歌、おかかのおにぎり、
カサカサの手、子供の頃に見た空といったワードが、母との繋がりという感動的な真相に
たどり着いたときは、少し涙目になってしまいました。

 1つ惜しいと思ったのが、氷灯祭パレードでルミナの道を作る場面ですね。急な停電に
よりカペラのスノーフレークを目印として利用しようとするわけですが、あんなに統制取
れた移動は出来ませんよね。城さんは彗星の導きに付いていきそうですけど、他の人たち
はどうでしょうか。例えこれが正しい方法だったとして、現代サンタについても情報不足
から打開策の凄さがあまり伝わってこない点も残念でした。


2.2. 月守 りりか(7/10)/ 帰る場所、見つけた
 NY本部から左遷されたため、若干周りを見下し気味のりりかる☆りりか。彼女の生意気
で我が儘な態度に嫌気が差す人もいるかもしれませんが、ギリギリ嫌にならないラインが
考えられたキャラクターだと思います。逃げ道を用意しつつ自らの本心を隠し、常に優位
性を保たずにはいられない弱さが見えてくると、そこに微笑ましさを感じるようになりま
す。クリスマスイブ直前のバカップル振りは最も強力で、冬馬くんと呼んだときの可愛さ
は抜群でした。

 サンタを信じていなかった子供にまでプレゼントを配りたかったりりか。彼女とジェラ
ルドの過去を紐解いていく過程は面白かったです。ラストの編隊を組んだテンペスト撃破
と、つぐみん(と小六)に届いたオーロラまでの展開はよくできていたと思います。特に、
サンタを否定していたつぐみが「メリークリスマス」と叫ぶ場面には思わず涙ぐんでしま
いました。

 なお、本作でのえっちシーン担当と言えば、月漏りりかさん。回想15枠の内8シーンを
占めています。言葉責めだったり、秘密特訓の手コキだったり、黒スジパンツだったり頑
張っています。ところで、初えっちシーンがとても短かったことが、とても不思議でなり
ませんでした。あのシーンは、先行していた前戯に対してファーストキス、傷心状態のり
りかと心の触れ合いをもっと描くものだとばかり思っていました。


2.3. 柊ノ木 硯(7/10)/ 吊り橋効果のジンクスだとしても
 よだれを垂らさずには寝られないすずりん。大手玩具メーカーHOLLIESを経営する一家
のお嬢様ということで、引っ込み思案な上、金銭感覚と時間感覚にかなりのズレがあるよ
うです。(視点変更がやや雑ながらも、)冬馬とすずりんのすれ違いや思い違いが微笑ま
しく描かれていて良かったです。また、冬馬と両想いになり、彼のことで頭がいっぱいな
すずりんはとても可愛かったです。

 雪女体質の克服とさつきちゃんへのプレゼントを巡る物語は、キーアイテムである手紙
の配置がとても良かったように思います。しかしながら、その総決算である両親の関係修
復はかなり強引でした。ユール・ログの進化と合わせた超長距離射撃はルミナの奇跡とし
て受け入れられますが、人の心にまで干渉するのはあまり良いこととは思えません。エピ
ローグで、サンタの奇蹟ではなく家族の思い出であると補足はされます。ただそれは、(
きららルートの解釈で言えば、)さつきの心の底からの願いが形を変えて叶ったものなの
でしょう。


2.4. 鰐口 きらら(7/10)/ 夜空の星座と、地上の灯火
 きららの夢は、しろくま町職員となって(ルミナではなく)自分の手で生まれ育った町
の人々を幸せにすることでした。そこには、ななみん達に奇跡の価値(サンタの存在意義)
を問うアンチテーゼの趣が多少ながらあります。彼女のシナリオは、しろくま町の物語と
して、これまでのサンタ達の物語とは大きく様変わりしていました。おもちゃ屋の業務や
夜の射撃訓練は省略され、冬馬達がほらあなマーケットの人々との親交を深める場面を中
心に進めていきます。

 商店街の人々との触れ合いは楽しく、みすずさんの語る夢の残骸や、神賀浦さんの打明
け話など、1つ1つの話題は興味深いものもありました。しかしながら、クライマックスで
あるイブの展開だけは、どうも納得しかねます。結果的には良かったものの、鳴らないカ
リヨン塔(クレイジーズの願い)のために、サンタの秘密を明かし、なおかつニュータウ
ンへの配達をストップさせてもいい理由は何処にあるのでしょうか。

 また、ななみんと冬馬の性格が他の3ルートと比べて著しく異なることも、楽しめなかっ
た大きな原因でした。ななみはあれほどまで考えなしではないですし、主人公も察しの悪
いただの食いしん坊の酔っ払いとなってしまいました。




3. Driving for fairy tale. / おとぎ話は続く
 すべてヒロイン達が夢に向かって努力した結果の最終エピローグ。その主役は間違いな
くアイちゃんでした。かつて、この世界を冷めた目で見ていた彼女が、おとぎ話の一員を
将来目指すことになるのかもしれません。おとぎばなしの終幕として、とても綺麗なグラ
ンドフィナーレでした。
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