haltarfさんの「星空のメモリア -Wish upon a shooting star-」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

漸進とはこのゲームのためにある単語
 体験版の内容に耐えられ、且つ長大なストーリーに挑む覚悟があるならやる価値はあるだろう。ただし似非科学アレルギーな人は注意。以下激しくネタバレ



 周回を重ねるごとに序盤に夢がちらほらと登場するようになる仕様なので、二週目以降もセーブポイントからではなく、はじめから開始するべき...なのだろうがスキップでもかなり時間がかかってしまうほど共通ルートが長い。
 スタートからムービーまでの導入部では、事ある毎に千波を登場させることで物語の進行を先延ばしにしている。そのため、中盤以降と比較しても異常なまでに鬱陶しいキャラクターになってしまっており、さすがにやりすぎな感じが否めない。
 共通ルートがやたらと長かったり、攻略対象が多かったり、こさめルートは内容的にこももルートからの上乗せが殆ど無かったりするがが、夢ルートに入るためにはこれらを全て超えてゆかねばならない。一週終えるごとにちらっと登場する夢に思いを馳せつつもひたすら目の前のヒロインを攻略し続けなければならない。まさに漸進。
 例えば星天宮の話だとか、主人公と父親の対話だとか、まだまだストーリー的に発展する余地はあったのに中途半端なところまでしか書き込めていない。結果としてネタを垂れ流しているだけの冗長なゲームとなってしまったのが非常に残念。

 ここまで否定的な意見を綴ってしまったが、実はプレイ中はかなり楽しむことができた。その理由の一つには、オープニングムービー直前の悪夢狩りの印象の強さが尾を引いていたのだと思う。思わずサウンドトラックを買ってしまうくらいBGMがよく、素晴らしい雰囲気を演出していた。
 主題歌の「君に伝えるeternal♪」という歌詞に激しく違和感を覚えたのだけれど、eternalは名詞の場合もあるらしい。知らなかったので勉強になったが、中途半端に英語を入れるのはどうだろう、と思ってしまう。
 主題歌のタイトルは"Eternal recurrence"で、ニーチェの永劫回帰という思想の事である。自信は無いが私の理解するところでは永劫回帰とは以下のような考えだ。

・時間は無限だが、物質とその取りえる状態は有限である。
・ゆえに世界は進歩しているのではなく、無限の時の中で同じ状態を繰り返している。
・私という存在は生まれ変わっても、同じ時を同じように生き、同じ瞬間を繰り返す。
・この永遠の繰り返しに絶望するのではなく、逆に繰り返し続けるからこそ今という瞬間を大事に思い、また同じ状態を迎え続けることを望む

 永劫回帰に基づけば、小河坂洋という一人の人間が存在すると、彼は何度生まれ変わっても、同じ行動を繰り返し、同じ結末に至る。つまり、何度ゲームを開始しても、同じ選択肢を選び続け、同じエンディングを迎え続けるはずである。もしも永劫回帰とマルチエンディングが世界の真理として共存するのならば、小河坂洋という存在は複数の世界にあらかじめ同時に存在し、それぞれ別の思考を重ね、別の行動を選ぶように宿命付けられていることになる。しかし永劫回帰の観点から考えるに、それはすでに"一人の小河坂洋"とはいえないのではないだろうか。そもそも永劫回帰とは並行世界とは真逆の考えなのだと私は解釈している。
 親と似たような状況に陥るのは永劫回帰ではないし、あまつさえそこから進歩してしまうなど、永劫回帰とは正反対の世界解釈である。ヒロインと向き合い困難に打ち勝ち成長したり、もしもあの時違う選択をしていたら、などという考えは論外なのだ。繰り返すが、永劫回帰の真理とは自分という一つの存在がに一寸も違わず全く同じ状況を繰り返すことである。その真理を背景に、今という瞬間が永遠の繰り返しの一部だと知っていながら、それでも前向きに在る"超人"の至る境地が永劫回帰という思想なのだ。そして超人ゆえに成長などありないため、永劫回帰はゲームの主人公やヒロインにとっては、全く不向きといわざるを得ない思想なのである。
 ではなぜ永劫回帰が歌われているのだろうか、という疑問に至る。作者の意図するところは正確にはわからないが、自分はこう解釈することにした。
「(現実には永劫回帰は世界の真理ではないのかも知れないが、それでも尚) 私は、生まれ変わったとしても永劫回帰のように"今"に再び至ることを望む」
 と夢ルートの最後で小河坂洋(夢)は凡人的に思い至ったのだ。そこには虚無的思想や超人的境地は存在せず、永劫回帰は世界の真理ではない。なぜならば夢ルートクリア後に蛇足のメアルートが分岐するからである。いきなり浮気かよwww。つまるところ
「なんとなくそれっぽくて格好いいから永劫回帰って使っちゃった。てへっ」
という程度なのか、あるいは
「Eternal recurrenceって別にニーチェのことじゃねえし。なにこのT2Bレビュー、勘違いの上に薀蓄垂れすぎで痛すぎる」
とか...

 延々と続けた割に実に下らない結論に至ったが、それほど深いゲームではないのでこんなものだろうと思う。しかし上述したようにまだまだストーリーを掘り下げる余地は十分すぎるほど残されているのでファンディスクには期待できるかもしれない。
 夢や悪夢狩りの"魔法"に罹ったままプレイし続けることができれば楽しめるが、長大なストーリーで多くの魅力的なヒロインが描かれているにもかかわらず収束する先は夢一人なので、彼女に想いを馳せる事ができないとひたすら冗長である。それどころか他のヒロイン、特に明日歩に心を奪われた場合は苦痛に満ちた鬱ゲーと化す。幸い人気投票では夢が一位を獲得したようなので、"魔法"の効き目は強いようだ。
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