TsukimiyaYukitoさんの「クロノベルト ~あやかしびと&Bullet Butlers クロスオーバーディスク~ 」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

 『あやかしびと』および『クロノベルト』のファンディスク、もとい程良くまとまった続編。異なる2つファンタジー世界のクロスオーバー世界を舞台に、アルフレッドおよび九鬼先生の救済を描いています。
1. 作品全体について
 両作品を違和感なくクロスオーバーさせていると思います。登場人物たちが異なるファ
ンタジー世界に触れたときの反応や、それを成立させる設定や物語が上手く作られていま
した。

 本編の2人に加えて、アルフレッドと九鬼先生が物語の主人公を務めます。全員が素晴
らしい人たちばかりでした。

 新曲の主題歌がありますが、その他のBGMは基本的に前作の物を流用しています。とは
いえ、『あやかしびと』の「五位鷺」が何度聴いてもいいですね。CGについては、新作の
SD絵が今回もとても良かったです。戦闘の演出も、今作においても十分頑張っていました。




2. 個別シナリオやヒロインについて
 虚無を抱えた修羅と、憎悪に染まった悪鬼が、一時の旅を経て人間らしさを取り戻す物
語。ファンディスクならではの救済でした。


2.1. かりそめの旅人たち(7/10)/ アルフレッド in 神沢学園
 『Bullet Butlers』においてただひたすら周囲に迷惑を掛けただけだったアルフレッド。
その彼が神沢学園にて情操を養い、愛する物を護るという生きる目的を手に入れます。前
作でその胸中を理解し得なかった彼ですが、読了時には好感を持つことが出来るようにな
りました。

 今回も日常パートの雰囲気の良さやトーニャによる面白さは健在でしたが、些か感情が
高揚しすぎているようにも思えます。本来は、冷静な切り返しや腹黒い笑みと、藤野らん
による独特なイントネーションのCVとの組み合わせが絶妙な登場人物でした。しかしなが
ら、ファンディスクでよくあるようなディフォルメにより、その良さが半減している印象
を受けます。コメディ自体も、登場人物の掛け合いよりパロディの要素が強く出ていました。

 ベイルに続きルダの擬人化も見られる本編ですが、銃の時のクールなイメージが好きだ
ったこともありかなり戸惑いました。煩わしい程にヤンデレ並みの一途さを見せる彼女は、
(せめてクーデレのような)大人の女性であって欲しかったです。


2.2. 復讐するは神になし(7/10)/ 九鬼耀鋼 in ゴルトロック
 息子を奪われた九鬼先生の復讐が、実に意外な方法で果たされるエピソード。こちらは
終始シリアスな雰囲気で、燃焼系という面ではソレイシアの森での戦闘が格好良かったで
す。一奈を殺すのではなく一奈が再び殺戮者になる可能性を殺すことで、まさか復讐相手
が最初から存在しなかったことにするとは、これ以上の完遂はあり得ないのかもしれませ
ん。強い力は可能性の幅を広げるものであると双七(涼一)に諭したように、九鬼先生は
一奈にも新たな道と可能性を与えました。クロノベルト編での最終エピローグ(息子との
再会)は狙いすぎの感はありますが、素晴らしい終幕だったと思います。

 また、氷鷹一奈に対する悪感情をどうにか取り除こうとする思いもあるようです。『あ
やかしびと』において(おそらく最も)嫌悪されるべき人物である彼女に、このような救
済が与えられるというのも、いくらか納得しがたいところです。ただ、生殺与奪の選択肢
が与えられたり、(誰にも愛されず、誰も頼ることが出来ず、殺戮者になるに申し分ない
きっかけが有るとはいえ)彼女の罪を強く糾弾したりなど、読者の心情を慮った展開が用
意されていました。


2.3. クロノベルト(7/10)/ エンディングまで泣くんじゃない(?)
 孤独を埋めるために自らの世界を欲した雲外鏡が招いたのは2つの世界の危機。今回の
敵であるマグダラは無邪気なしゃべり方や容姿がとても可愛いのですが、その実力と性格
は3作中で最も凶悪な存在です。ところが、彼女は途中退場してしまい、このエピソード
のラスボスはレギオンが務めることになります。彼(?)には一切魅力が無く、そのため
どうしても盛り上がりきらないお話だったと思います。ただ、神となったレギオンの正体
に九尾の狐を絡めてきたことは素直に感心しましたし、意表を突かれたセルマの活躍にも
感動しました。

 1つ気がかりなのは、この是と承認されたクロスオーバー世界がその後どうなったかと
いうこと。ここでの記憶が本来の世界へ届いた場面は描かれますが、メインヒロインの欠
けたこの世界で主人公たちは幸せを見つけることが出来たのでしょうか。




3.1. 記憶にとどめておきたい言葉
手は綺麗に、心は熱く、冷静に。
男なら、悲しいときに泣くな。
              ―――如月 双七

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