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zeburemuさんのらくえん ~あいかわらずなぼく。の場合~の長文感想

ユーザー
zeburemu
ゲーム
らくえん ~あいかわらずなぼく。の場合~
ブランド
TerraLunar
得点
100
参照数
907

一言コメント

「素晴らしい」と、思われ。

長文感想

今までやってきた100作品くらいのエロゲの中で最も良い作品だと思いました。
自分の中では、今後プレイするであろうエロゲの中でもきっとこれを越える作品はないと思います。だけどそれは単純な理由からではありません。
この作品より泣けるシナリオが描かれている作品は他にたくさんあります。
もっときれいな原画・CGを書いている作品も腐るほどあります。
しかもこの作品には回想モードはないし、ギャグは人を選ぶものがあるし、はっきり言ってこれはスタッフ側のオナニー作品です。
しかしそれでも私は主張します。この「らくえん」がもっとも素晴らしかったと。
それは何故か?この作品には作り手の魂がこもっていると感じさせらたからです。

表面的なものをあげるとそれはゲーム内での巧みな演出であったりCGや立ち絵の数の多さであったり声優の熱演だったりするのですが、あくまでもそれは表面的にです。
私が最もこの作品から感銘を受けたのはもっと別の、内面的なものからでした。そしてそれはプレイする度に私の心に染み渡ってきたのです。あぁ、これはこのゲームの中の人々の「らくえん」なんだなぁ、と。恐らくこの作品を作成した人々も同じような経験をされてきたのだと思われます。だからこそ、これだけ力の入った作品を送りだしたのでしょう。回想モードが装備されてないのもきっと仕様だと思われます。

この作品はそのスタッフ側が経験したのであろう日々をかなりリアルに近い形で伝えてくるものでした。なぜならこの作品はシナリオ内において、一切のご都合主義というものが排除されているからです。そこに私はフィクションではない、リアルを感じました。

そして最後に、この作品を一言で表すならば、それはまさに「らくえん」です。
社会的に見て終わっている人々(人のことをいえませんがw)が偶然的に集まって、惰性と堕落の日々を過ごしながらも最低のゲームを作る。それは一般人から見ればさぞかし終わっていることでしょう。けれど彼等にとっては、その偶然的にも構成された空間こそが「らくえん」なのです。はっきり言って一般人には到底理解できません。だからこそ、彼等は仲間を迎え入れるときに必ず問う言葉があります。「堕落する準備はOK?」と。