【母と娘と私。世代を越えた壮大な冒険譚の感動ストーリー】
【総合評価】85点
【シナリオ】37/40点【原画】16/20点【音楽】19/20点【キャラ】6/10点【声優】7/10点
★よかった点
とにかくメッセージ性が強い作品で、読者に訴えかけるものがある。
シナリオの根幹は「家族」だが、「親と子」「生と死」「四季折々」「食物連鎖」など他にも数えきれないほどのテーマがあり、混在せずうまくまとめられていた。
11章のあの展開は、正直衝撃を受けたし終盤に進むにつれて物語の結末がどうなるのか全く想像できないところが面白い。
アニメーションを用いた演出が豪華で非常に凝っているし、壮大なストーリーに相応しい音楽も耳が心地よかった。
なんといっても声優の演技力が非常に高い(特にツムギの早瀬雪未さん)。ただ泣き叫ぶのではなく、感情の込め方というか魂を感じた。演技の枠を超えていたと思う。
キャラのスチルは良かったが、各国の背景や季節を表現した背景が美麗で目を惹かれた分、キャラの立ち絵に関してはやや陳腐に感じてしまった。
★悪かった点
あくまで個人的意見だが、筆者は物語にやや蛇足を感じる部分があったと思う。ほんとにこのシーンいる?みたいな部分がところどころにあり、面白くなってくるまで非常に時間がかかった印象。
導入部分の冒険に出かけるまでが長かったり、春の国の王様は本当に話が長く退屈で眠くなった。
11章から物語に急展開が起きるが、衝撃ではあったものの序盤と終盤で脈絡がないと感じた。序盤の四季の国々で、儀式を行って神を土に還すという下りが後半と繋がっていなくないか…?なんだったんだろうって感じ。
筆者の理解力がないのもあると思うが、消化不良で終わってしまった部分もある気がした。結局あの世界はなんだったのか?ヒルコとは何者だったのか…?ただし、読者に考えさせるような終わらせ方は好みなので、そこまで大きな不安要素ではない。他の方の考察や解説を読んで理解を深めてこそもっと楽しめる作品だと思う。