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yosutaさんのうみねこのなく頃に Episode1 Legend of the golden witchの長文感想

ユーザー
yosuta
ゲーム
うみねこのなく頃に Episode1 Legend of the golden witch
ブランド
07th Expansion
得点
99
参照数
591

一言コメント

ひぐらしより、さらに面白いし怖い。(ひぐらしネタバレもあり)

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ひぐらしから世界観ががらっと変わったが違和感ないし、登場人物も方向性が随分異なるがまたも魅力的と言う事無し。
シナリオ、テキスト共にひぐらしからさらに磨きがかかっているように感じる。

遺産を巡る兄弟間の駆け引きや主導権を巡る夏妃と絵羽のさや当てもゾクゾクした。
後半に入っても、凄惨な描写や段々と絶望的になる情勢に夜やってると震えがくるくらい怖いし、音楽がひぐらしと同じく素晴らしくて盛り上がる。

ひぐらし以来の予想の斜め上をいく展開も健在で驚かされっぱなしだ。(Tea partyが最も度肝を抜かれた。)

無理やり不満点を挙げれば、真里亞の子供っぽさに少しカチンときたり、ギャグシーンの少なさが残念だが、話しの設定上やむを得ない点なので納得出来る。

後、絵羽さんの魅力にやられた。(どうも自分は竜騎士節で毒舌を効かすキャラに弱いらしい。(三四、絵羽))


(以下、自分なりの駄推理)
まず、ベアトリーチェ以外の超常現象が係わってるのではと感じた。と、言うのも真里亞がteapartyで「ベアトリーチェがいると皆信じないと奇跡起きない、友達の魔女も言ってる。」と発言しているが明らかにベアトリーチェ以外を差しているし、ひぐらしからしてteapartyにベアトリーチェの立ち絵を登場させてまでベアトリーチェの存在を認識させようというのは裏があるとしか思えない。序盤の船で六軒島に来る途中、岩の鳥居が壊れたとの描写があるが、そこにベアトリーチェ以外の超常現象が封印されてたんじゃないかと思ったり。

次に譲治は黒幕かそれに近い位置にいると思う。注目しだしたのは、終盤の金蔵の部屋に籠城して四人を追い出して以降だが、その後の展開は全て譲治の誘導で進んでるし、それ以前でも一晩目はゲストハウスに泊まったり、二晩目は両親と寝室に戻るのを拒否したりと、主体的に惨劇を回避している。それにひぐらしでは大半の登場人物が第一印象とは違う性格や真相を抱えていた事を考えると、譲治は性格が良過ぎるし惨劇でも親しい人間が最も酷い目にあってたりと、逆に怪しい。(怪談に夜ずっと外を見ていてはいけないというのがあったが、金蔵の部屋に籠城中ずっと外を眺めてたのも外にいる存在とコンタクトをとっていたのでは?)

真里亞は魔術趣味なだけで、それ程真相には係わっていないと思う。理由は上記のひぐらしの第一印象とは逆というやつであからさま過ぎる。皆から「手紙を渡したのは誰?」と聞かれれば「ベアトリーチェ」と答えるが「ベアトリーチェは誰?」と聞かれても答えないのは真里亞自身分かっていないからではないだろうか?金蔵が嫌ってるのも、金蔵の思いなどとは全く関係なく魔術に嵌ってるのが気に入らないのだろう。普段は幼児語を話したり手紙をたどたどしく読むのに、魔術関連の時は流暢な言葉遣いをするのは、多重人格ではなく、普段をわざと幼児言葉を使っているのではなかろうか?理由は魔法はリスクが大きい程、成功した時の奇跡が大きくなるというやつでクラスからいじめられたり、母親から体罰を受けても幼児言葉をやめないのは奇跡のためのリスクとして甘受しているのだろう。

薔薇庭園で真里亞に手紙を渡したのは嘉音だろう。普段無口な彼が傘を真里亞に渡したのは誰か?という話題の時だけ自ら口を開いて否定している。よっぽど知られたくなかったのだろう。華奢な体付きだし、変装すれば女にも見えるだろう。ただ、金蔵が当主の指輪を投げたのは雷鳴轟く雨も土砂降りの時だったが、真里亞が傘(と手紙)を受け取ったのは雨の降り始めた頃で時間的に前後している。嘉音に手紙を渡すよう命じた存在(嘉音は頼まれただけだろう)は今日が金蔵の賭けの始まりだと前もって知っていた事になる。(金蔵と片翼の鷲を許された使用人達以外にも、留弗夫と楼座は発言や反応からして知っていたようだが)

紗音は使用人を長く勤めてるのは惰性からとゲーム中ではなってるが、公式ホームページには使用人は人気の仕事と書いてあり、一人がずっとそのポストを占めれば他の孤児達から不満があがっているはずで、何か強い理由がないと長期勤めは不可能だろう。(やはり、碑文の奇跡を得たいのだろうか)

片翼の鷲を許された使用人達が自らを「家具」と呼ぶのは生贄の頭数のために存在していると自覚しているからと素直に受け取ってもいいのかな?
ベアトリーチェが自身を「妾」と呼ぶのは他の超常現象の存在を示すものではなかろうか。

一連の惨劇は碑文に沿って行われているようにみせかけて別の意図が働いていると思う。そもそも碑文には第一の晩から第十の晩まであるが実際は二、三晩の内に一連の出来事が起こっているし、明らかに金蔵?は秀吉・絵羽より先に殺されている。(秀吉は声のボリューム調整が出来ないと序盤に描写されてるが、殺された時叫ばなかった(居間まで声が聞こえなかった)のは不意打ち(睡眠中とか)か自殺か同意の上で殺されたのだろうか?)南條の死因も膝ではなく腿の傷だし、そもそも碑文には「抉りて殺せ」と書いてあるのに一連の死は刺さってるだけだ。夏妃の死も碑文には記載されていない。

第二の晩の殺人で危険を冒してまで魔法陣が描かれたのを見ても作中にある通り魔法陣は絶対不可欠なのだろう。しかし、第四の晩の殺人以降魔法陣がないのは何故か?犯人側のミス(わざとボイラー室の扉を開けて臭いをもらしたんだろうし、ミスの可能性は低いと思うが)かもう魔法陣は必要ないのかどうなのだろう?

金蔵の部屋に籠城中に置かれた封筒(と魔法陣)はあからさまに全員を外に誘き出すための物だろう。二枚目の手紙が一枚目とぴったりくっ付いていたのもわざとだろう。

それ以外で気になった点。
戦人の乗り物嫌いは伏線だろう。無意味な設定ではないはず。
譲治が子供の扱いがうまい理由は、金蔵が若い使用人ばかり雇うのと真相は近い処にあると思う。
金蔵が裏の森で銃を使っていたのは楽しむためではなく、深い理由があると思う。
金蔵が孤児院から使用人を雇うのは分かるが、片翼の鷲を許すまで信頼するのは何故だろうか?
第一の晩の六人殺しの犠牲者は第二話、第三話と進むにつれて毎回変わるのだろう。そして残った人によってその後の展開は随分変わるのだろう。今回は夏妃が主導権を握る形になったため真相に全く立ち向かわない展開になったのだろう。(ひぐらし鬼隠し編に通じるものがある)

上記のような細々とした部分ばかり気になり、話しの根幹をなすような大きな謎はさっぱり分からなかったが、以上で推理終わり。(キャッチコピーが推理は可能か不可能か、だしなー、一つくらい当たってて欲しい)