意外や意外、面白かった。この作品の癌は…。
あれだけ前作「迷宮」を自分には合わない!
と言っておきながら、気づけば予約して楽園を購入している自分がいた。
一言で表せば、とっても面白かった!
特に「本編」の序盤~伊号合流までは、懐かしいものだとエヴァの「シト侵入」みたいな、
「見えない敵、あるいは味方」の声に従い、
あちこちに散らばった者が集結して事件の解決に挑む!という展開は胸が熱く、
ヒロインたちの個性も面白かった。
果実のときには「メインヒロインの癖になにもしてないな、一番目立たない」と思っていた由美子が、
司令塔としてあちこちと連絡を取って役に立ったり、
これは必要だったのだろうか?と疑問を抱いていた、
マキナの狙撃、幸の爆弾調合、天音のドライブテクニックという設定が、
活きているのはとて嬉しかったし、楽しかった。
個人的には一番気に入っていたみちるが大活躍だったのも大変うれしい。
途中(特に銃と軽トラの)ヨタ知識や解説がやたら入るので、
そこをわずらわしく思ったりもしましたが、それ以上に読ませる力と演出があり、
自分が萌えゲ?に求めている「ヒロイン大活躍」のシナリオでした。
タナトスさんもナイス。
……反面、自分がこの主人公をあまり好きでないというか、
受け入れられないのは相変わらずなようで、ヒロインたちの行動開始~主人公救出から、
主人公による黒幕討伐に話が移ってしまうと一気にゲンナリしたりもしたんですが。
それまでの世界観構築も手伝って、テュポーン戦は楽しかった。
ただ、時限爆弾の時間制限つきだからしょうがないとはいえ、
テュポーンもオスロもあれだけ引っ張っておきながらあっさり死ぬんだよなぁw
オスロに至ってはなんの伏線もなくいきなり最終形態が出てきちゃうし。なんだったのあれ。
そして本編プレイ後に解放される「楽園アフター」を見て思ったこと。
この作品の最大の癌は、間違いなく主人公風見雄二です。
ネタバレ感想なので遠慮なく書くけれど、きれいに終わらせるには、
結局ああいう、誰かが妊娠…というエンディングしかなかったのだと思う。
自分はみちるが一番気に入っていたし、「ミチル」に頼ることなく母親として踏み出すみちるの姿は、感動的だったけれど…問題はその過程ですよ…。
「みちるが避妊(ゴム)を主人公につけさせなかったので一番最初に妊娠した」ってなぁ!お前!
(他のヒロインは全員ゴムをつけていた)
なんなの?主人公バカなんですか?
普段あれだけカッコつけてヒーローやっておいて、
かつベッドヤクザとしてヒロインたちを組み敷いておいて、
結局お前はお膳立てされないと幕引きさえ出来ないのかよぉ!
「迷宮」のときに感じた潔癖性がここでも。
主人公を「悪人」、もっと言えば「萌えゲーユーザーが顔をしかめる男」にする勇気が制作側にあれば、
「全員と避妊しないでヤリまくって、最初に孕んだやつを正妻にする」
みたいな展開も、出来たはずで。
…それをせず、「お馬鹿」という設定を「利用」して、妊娠の責任はみちるになすりつけ。
晴れて主人公は「無実」のままにエンディングを迎えることが出来たのである!ペッペッ!
…そういうミソがついた感はあれど、まぁ、きれいに終わらせてくれた。
ありがとうグリザイア。さようならグリザイア。
CGは、果実、迷宮でマイナスだった枚数の少なさが見事に改善。
出し惜しみせずにガンガンイベントCGを出してくれます。
クオリティは非常に高い。特にぽよよんろっくの方。
…これもずっと気になっていたんですが、フミオの方はせっかくの一枚絵(ウィンドウもビスタサイズ)
なのに顔面のドアップがほとんどだったりする。
そして、立ち絵や顔面アップCGはフミオが描いている(オスロ、テュポーン、主人公)キャラも、
バトルシーンのCGはぽよよんろっくが描いてる。
ついてきた設定集のラフを読んだところ、フミオ&ぽよよんのキャラが混在するCGは、
ぜんぶぽよよんろっくがコンテを切って、後からフミオがキャラ絵だけ描き足しているようだったし、
画力不足が原因なんでしょう……。
どうにかならなかったのかなぁ…いや、どうにかするための複数原画マンだったのもしかして?
音楽は相変わらず素晴らしい。ムービーも良。