シナリオ、テキスト、主人公どれもとても軽いです。が、核心の部分はしっかりとえがいています。そして、軽いシナリオにも関わらずどのヒロインもどこか自分を卑下していて、それが妙に自信たっぷりの主人公に出会うことで、新しい考え方や世界を体験していく心温まる物語
冒頭でゆのはと拓也のコントに笑わされてとても期待してプレイしました。
シナリオ、テキストはとても軽くちょっと読み飛ばしても問題はないので楽にプレイできますが、シリアスな部分ではもう少しゆっくり心理描写をえがいて欲しかったです。展開が急に感じてしまいました。
そして、ずっとこの世界に浸っていたい気にさせてくれる作品なので終わらせ方が難しいのは分かりますが、後日談ももう少し欲しかったです。
シナリオは、基本ほのぼのしています。小さな田舎の物語なのでそれでいいと思いますが、それだとあまりにも平坦すぎるので、由真とゆのはが何か引き起こします。それがお邪魔キャラに感じてしまう人も理解できます。
個人的には、由真の外見は好みだったのと軽い気持ちでプレイしていたので、そこまで邪魔に感じませんでしたが、穂波ルートの無理やり展開はどうかと思いました。
各ルートに関しては、強引な展開もありますが、恋愛ゲームなのでルートが変われば別のヒロインのことを好きになるはずなのに、しっかりとお互いが必要、この二人じゃないと恋愛できないのではないかと感じさせてくれるような、素晴らしい展開でした。
特に穂波ルート。
穂波と拓也の違い。そしてそれを言葉にしないと察せない事を互いに理解している。
が、想いや考えを本当の意味で相手に伝えることはなかなかに難しく、そのせいでのすれ違いや、モヤモヤだったりをしっかりとえがいている。
しかしそれだけではなくて、口にしなくてもしっかりと伝わっている部分もあって、本当の恋を感じさせてくれる。
恋愛ゲームだとプレイヤーは分からなくても、主人公はヒロインの行動、考えを理解して進むが、拓也も理解していないまま、話は進んでいく。後でこの時はどうしてこんな行動になったのかわかりますが、それがまた毎日の出来事のうちの本当に小さな出来事や一言が二人にとって影響を与えていくというまるで本当の恋愛のような感じです。
そして、正反対の性格過ぎて刺激にはなるものの、決定的な部分では分かり合えなかった二人がその壁すらも乗り越える、展開は素晴らしかったです。
ゆのはルートは随分と短いように感じましたが、拓也がゆのはを思い出すシーンはとてもカッコよかったです。
このシーンだけで、拓也がとても好きになりました。
気になる点としては、雪の描写が解りずらいですね。
ヤバいほど降っているってのは穂波、椿ルートでも言っていたがどの位降っているかの描写は、わかばルートのジュウゾウのバイクが半日もしないうちに半分埋まるっていうので、やっとどの位降っているのかが分かりました。
もっと早くにその描写があれば、ゆのはが何でがめつく金を集めようとしているのかが解って良かったと思います。
半分屑でしたからね。
それと、ゆのはの大食いは、力を使うだけでなく死んだときの空腹感が消えないからとかの設定があったのでしょうか?それだと悲しすぎますかね。
個人的には、由真やゆのはが嫌いでないので、ほのぼのとしたいつまでも世界観に浸っていたいと思える作品でした。各ルートクリアして思うのは、この二人は今後絶対に、笑顔いっぱいで賑やかに幸せに暮らしていくんだなということですね。自分まで幸せな気持ちになりました。