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yatomaさんの真愛の百合は赤く染まるの長文感想

ユーザー
yatoma
ゲーム
真愛の百合は赤く染まる
ブランド
バグシステム
得点
75
参照数
1604

一言コメント

様々な愛のカタチ。同性が好きなのは異常な事なのか?好きな相手が苦しんでいる顔を見るのが好きなのは異常な事なのか?

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

恐らくテーマは「愛のカタチ」で良いと思うのだが、実際に愛を感じられたルートが1個しかない。


共通ルート
一度恋愛に失敗してしまって、そのせいで必要以上に周りからの視線が気になったり、自分にはもう恋愛する事が出来ないと必死で言い聞かせ、愛美からの分かり易いアピールもシャットアウトし、愛美への想いが強くなるにつれ、それ以上に戒めの気持ちも強くする。そんな、臆病になってしまった真奈美の苦労、恋愛観を丁寧に描写している。リアルな点は、前の学校で迫害された時に、一部の生徒は理解してくれたが手助けしてくれなかったという点をワザワザ説明している事。最近同性婚の認識が広がりそこに嫌悪感を抱く人の方が少なくなっている印象があるが、それでも閉鎖された空間ではワザワザ声を出してそこに言及する人間は居ないんだなと解らせられた。
話戻して、愛美という同じコンプレックスを持っているのにも関わらず、強く見える存在と触れ合う事によって、人間的成長もえがかれている。
丁寧に、少し変わってはいるが平和な時間をえがいているからこそ、その後の展開とのギャップが大きく感じる。

真奈美が愛美の全てを受け入れる、ウェディングルート
今までは愛美や周りに流されていただけだった真奈美が、監禁され我慢する選択を自分の意思で決めた時から、愛美の異常な行動の中にある想いを受け止め、そこに自身の幸せを感じられる様になった時、何物にも立ち入れない二人だけの愛のカタチがあるように思えた。
真奈美の決意が無かったり、強制的に言わせたものであったのならストックホルム症候群であったり、単なるその場しのぎの展開だったが、それ以外の選択も頭に浮かんでいて実行できる状態で選んだ選択だった。また、四肢切断の時の愛美の不安を、途轍もない愛情で包み込んでいた真奈美。
そういうモノが見えているからこそ、方式には則っていないが、オリジナルの誓いの言葉は感慨深かった。

監禁から逃げようとする、お人形遊びルート
暴力で真奈美を強制しようとしてくる。余りの恐怖で心の底まで従わせる事が出来るのであればそれも良いと思うが。このルートでは、真奈美は痛みを逃れる為だけの表面上の言葉を吐き、愛美自身もお仕置きや罰という名目でやっている為、本当に心の底からやりたい事をやっていないように思え、非常に陳腐な付き合いだった。最後の終わり方から見ても、愛美には真奈美という存在は必要では無くなっていた。愛美が好きになった相手が必要だっただけで、それは誰でも構わない。真奈美もお仕置きされない事しか考えておらず、愛美の事を想ってはいなかった。

真奈美と同じ事をして理解しようとする、国外逃亡ルート
愛美を受け入れるという事は、深く理解する必要がある。その為には愛美と同じ事をしなければならない。
???同じ罪を背負ったり、愛美の真似をしたところで「愛美」に近づくだけで、愛美という個別の存在に寄り添う事にはならない。真奈美という個人が意思を持って居なければ何も生まれないでしょう。
最後の結婚式。最初の物とは違い指輪交換出来るし、難なく国外逃亡出来ているがそこに至るまでの展開がCG一枚分も無く急展開だったが、まあ綺麗だね。

穢される。植物状態ルート
基本的に優が主導権を握っているルートに関しては、優の一方的な想いのみで愛では無いと思う。
処女では無くなった真奈美に対しての愛美の行動で、優に怒りを覚える、子宮を洗おうと思う。これは理解できるが、真奈美に対しての情が無くなるって事は、要は自分の好みの人間が真奈美という名前の人間だっただけで、真奈美が好きな訳では無いのがハッキリとえがかれている。
エロシーンは、優の外見と声が大好きなんで良かった。

穢される。愛美監禁ルート
白金みたいな事言ってる。それ以外にも愛美が真奈美を監禁していた時の責めと同じ事をやっていたが、あれはどう考えれば良いのか。愛美が真奈美を想うものと何ら変わりがない感情を優も抱いているという事なのか、それとも、亡き親がそういう教育方針だったのか。
それと、個人的なものだが薬とか万能道具出されるとファンタジー色を感じてしまう。その後の展開も望んだものになるなら魔法と一緒。後日談で飽きて諦めて捨てる、この点が真奈美を想う愛美との大きな違い。可哀そうと言うより惨め。
だからこそ、優が主導権のルートは全く読んでいて面白い物では無かった。エロシーンはしっかりとしているので、そこはハマれば面白いと思う。


片思いも愛じゃねと言われてもそうかもしれないが、愛美と優は、相手がそれぞれ真奈美と愛美で無ければいけない理由が薄かった。先にも述べた様に、偶々自分の思い描いた人間が愛美と真奈美であっただけで、一つでも理想から離れた事があればそれで興味を無くしてしまう程度の想いだった。


ルート以外の部分

キャラクターに関して、ルートでは優は面白くないと言っていたが、責められている時は非常に好み。と言うよりも、死体の状態が完璧すぎた。自分でもどうしてこんなに惹かれるのかが解らないが、優の肌とシーツの白と、赤黒い血。黒いフリルの服装の一部にも見える様な赤黒い血溜まり。目には正気が無いが綺麗な顔で、見える部分には傷が一切ない点も美しく感じる点。どこか道化を感じる様な帽子や人形の小道具も有り、面白さも感じられる。ベッドに綺麗に収まっている点からも、ベッドと血溜りという台座に載せられた美術品の様に感じる。
性格自体も、ノイズの時から行動すると言っておきながら中々行動に移さなかったり、偉そうな事言っておきながら出来ない惨めさが可愛らしい。

エロシーンは、やはり不死身の肉体などのファンタジー要素が無い事で、痛めつけるの程度が前作よりは弱くなってしまう。血が噴き出したり、潰れたり折ったりなどは少ない。ただ、いくつか絶対に他では観ないシチュエーションがあり楽しめた。
まず、処女厨歓喜の処女膜再生手術。素人でも簡単に出来る事から、流行る。
そして、強姦されてしまった少女も大丈夫。子宮の洗い方。
最後に、TS願望がある、若しくは女の子の体験がしたい男子に朗報の自分一人の肉体で出来る、SEX。
これだけでも、十分差別化できていそう。
優のセルフSEXは久しぶりの大当たり。愛美に見向きもされなかった優の叫びから始まり、怯えている惨めな顔が叫んでいるから赤く染まり、白い肌に映え、背を反っているからの胸の膨らみと乳首が強調される。熱湯で更に赤く染まり、そこに血で赤黒く染める。この時、血をモザイクにして包茎の先端が見える気がするのは気のせいではないはず。最後まで気絶できない所も惨めで良い。

OPはデンカレ。ピアノの儚い、それでいてどこか不気味な曲調は聞いていて飽きない。
BGMは、前作の様な不気味。



前作もシナリオ重視かと言われればそうでもないので、順当な新作ではあるが物足りなさを感じてしまう。抜きゲーにしては、テーマが伝わってくるがシナリオゲーとは言えないと思う。
それと、良く調べていない人が百合ゲーだと思って買ったら死んでしまう。そこは難しそう。