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xianxianさんのSTAR DRIVER 輝きのタクト 銀河美少年伝説の長文感想

ユーザー
xianxian
ゲーム
STAR DRIVER 輝きのタクト 銀河美少年伝説
ブランド
バンダイナムコエンターテインメント(バンダイナムコゲームス)
得点
70
参照数
2137

一言コメント

「綺羅星!PSPに颯爽登場。銀河美少年タウバーン!ねえ、あなたって画面ごしのキスありナ人?」アニメ「STAR DRIVER 輝きのタクト」の世界を楽しめるゲームです。ゲームオリジナル主人公となって青春を謳歌することができます。やりたいこととやるべきことを一致させ、世界の声を聞こう!ゲームという冒険は続く。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

アニメを見て、楽しんだ人ならまちがいなく楽しめるファン向けのゲームです。
名前変更のできるオリジナル主人公で、アニメとは少し違う進行ルートや側面が見ることができます。内容自体は充実しており、設定やネタとしては、アニメが、全25話ではなく、39話くらいなら中盤を膨らませるために使われてもおかしくない、ネタをつめこんだシナリオになっています。そのため、アニメで登場頻度が少なかったキャラに焦点があてられています。
アニメと違うのは、ヒロインとのフラグたてを、アニメ主人公のタクトではなく、ゲーム主人公がたてている形での変更があることでしょう。
ただし、制作時期の問題で、中盤以降登場するキャラは登場せず、最終話にかかわるネタなどはあまり使われていません。

シナリオ進行時間は、ルートにより変化があるものの、アニメでいえば、第9話「そんなミズノの初恋」から第22話「神話前夜」あたりまでに相当します。ただし、アニメとは違って、アインゴッド関係でのイベントで、「日死の巫女」判明が遅れ、第三フェーズ突入以後の話数が全部、学園祭以降に持ち越されている(おきていない)形のようです。細かいところを調整すれば、アニメに使えたでしょう。尺とキャラ数の問題でかなり駆け足だった「日死の巫女」篇を強化する形なので、マリノとミズノがシナリオ面やキャラ魅力アップするイベントが優遇されています。次点では、アニメでは出番が少なかった、サリナ、ベニオ(チーム)が強化されている印象です。

ルートはおおまかには4ルートで、「銀河美少年篇」(タクト、ワコ、スガタ、ジャガー、タイガー)。「綺羅星十字団篇」(ベニオ、カナコ、シモーヌ、マリノ、ヘッド)。「夜間飛行ルート」(ミズノ、サリナ)。「南十字祭ルート」(ケイト、マミ、ミドリ)。
キャラクターごとに「グッド」と「ノーマル」でエンドわけされ、40近いエンドがあります。ただし、バグがあるのか、2キャラほどは「グッド」と「ノーマル」が同じ扱いになるエンドもあるようです。私は「カナコ」と「銀河美少年ワコ」エンドがそれでしたが、ネットではどうも別キャラが同じ扱いだったヒトもいるようなので、ランダムかもしれません(というか、エンド数とエンド達成率で増える%があわないので、数値調整のため2つほどカウントしないシステムかもしれません)

システムとしては、マップに起きるイベントが表示され、そこを決定することでイベント進行がおきます。そのイベント内でのフラグや、選択肢やミニゲーム、戦闘の結果などで、キャラクターの信頼度が変化して、エンドが決まります。この信頼度の数値調整はかなり厳しく、攻略Wikiや攻略本なしには完全攻略はかなり難しいといっていいです。完全に自力でやるなら100時間をこえるかもしれません。もっとも、グッドエンディングは好感をあげるような選択肢を選ぶのと関係イベントをおこせばいいだけなので、それほど難しくはありません。作品とキャラへの愛で乗り切ってください。個人的には、何十週やるとさすがにあきましたが、ミニゲームや戦闘は、システムはしょぼいとはいえ、アニメ世界に自分が直接参加しているような気分になって楽しめました。クリア後のギャラリーには、正直エンドのシーン回想あたりは登録して欲しかったです。特定キャラのノーマルエンドの信頼度調整はむずかしかったので、簡単にみることができるようにしてほしかったです。
そして、イベント進行の順番がおかしく、整合性がおかしいところも幾分ありましたので、そこは脳内調整が必要です。

クリアすると、ギャラリーが開きます。
・クリアリスト(エンディング達成率、グラフィック達成率、総プレイ時間の表示)
・グラフィック(131枠(131枚)差分も別グラとして登録)
・サウンド51(ミニドラマ12を収録)
・ベニオの逆上がりクロック

ここからは各ルートのちょっと細かい感想

・「銀河美少年篇」
タクト達と協力して、サイバディに乗って戦う話で、ルートとしては1周目はこのルート固定。
戦闘自体は、第11話「サイバディの私的活用術」あたりからの流れになります。ただし、ゲーム主人公とタクトのタッグとなったことで、戦闘に関して綺羅星十字団が慎重になり、電気棺が3体同時起動ができるようになったり、サイバディ復元による再戦がある話になっています。ワコやスガタ、タクトと仲良しになるルートなのですが、この3人の仲良しグループの一員になる話なので、攻略したというよりは攻略されたような感じがしました。特に、ワコ関係のエンドだと、スガタとタクトと一緒になってワコを応援しているエンドなので、ワコハーレムの一員のような気分になれます。
「ねぇ、ユウ君。あなたに3人の男の子を同時に好きになる女の子の苦しみがわかる?」とか頭の中でモノローグが流れてしまいました。
このルートでは、ゲーム購入意欲をそそる要因のひとつとなるだろう、ジャーガーとタイガーも攻略できるようになっています。イベント自体は少ないのですが、アニメではほとんど日常的なものが描かれない2キャラだったので、これでも十分といえるでしょう。

・「綺羅星十字団篇」
綺羅星十字団の一員となってタクトと戦ったりする話です。このルートでは、「フィラメント(ベニオ)」「オトナ銀行(カナコ、シモーヌ)」「バニシングエージ(マリノ、ヘッド)」に参加する話です。アニメでいいとこをみせることが多かったオトナ銀行のキャラはアニメをそのままもってきたようなルートや発言が多く、正直、魅力的とはいえません。フィラメントチームは、アニメではあまり見る事ができなかったベニオの学生での姉御肌な日常イベントがみることができるのと、ジョージとテツヤの魅力がますイベントがあるのが特徴でしょう。性別変更で女性キャラとかで、ジョージとか攻略したいと思いました。学園編で、ボクシング部とかのイベントがあって、へこんで鍛えているジョージと仲良くなるイベントとかあってほしかったですね。「ときめきトゥナイト」の日野君とゆりえさんみたいな、青春ボクシング的なイベントが欲しかったです。
ちなみにこの2ルートだと、タウバーンを破壊するので、綺羅星十字団のリーダーになれる結末です。ただし「日死の巫女」の封印はとかれていない状態なので、このエンドの後に、ロボットもの定番の「主人公の乗るロボットが破壊され、新機体の復活劇」が起こり、「日死の巫女」封印解除による、「バニシングエージ」のクーデターという形にすれば、第17話「バニシングエージ」に持ち込んで、アニメの流れに戻すことは可能でしょう。話数が17ではなく、27話とかになっているかもしれませんが。
「バニシングエージ」ルートはマリノに協力する形で参加するであり、最終的にはいろいろうまくいかなくなるルートです。こっちは、マリノの魅力を増すルートです。アニメではわからなかった、マンティコールとの境目みたいなものがみれて面白かったです。また、このルートでは、恋の空回りことソードスターがマリノと仲のいい主人公に嫉妬しているスガタが見る事ができてよかったです。アニメだとわかりにくかったのですが、マリノにマジでベタ惚れだったことがわかる言動が見れて満足できました。このルートは、ソードスター先輩との友情エンドが欲しかったです。マリノに惚れた結果、ソードスター先輩と一緒にバニシングエージ裏切る結末とか見たかったです。
ヘッドルートは、サカナちゃんとほぼセットです。サカナちゃんが島にもどってきているシナリオです。どちらかというと、アニメでは描けなかったエンド前後のヘッドとサカナちゃんと考えてもいいかもしれません。ゲーム主人公ではなく、タクトでも代理がある程度きくとおもいます。

。「夜間飛行ルート」
こちらは、ミズノ、サリナが攻略対象。演劇部中心の話で、アニメでは内面を見せなかったサリナの掘り下げと、出番の少なかったミズノのキャラ魅力をアピールするルート。
ミズノはアニメだとはやめに退場したため、よくわからないキャラだったのですが、いい子だなぁと思わせるルートでした。ミズノはタクトにほれていたのだから、ゲーム主人公と恋仲になるのは少しおかしくはないかという考えもありますが、新人としての演劇練習から仲良くなり、恋愛に近い関係になるのが夏休み前くらいのゲーム進行なので、アニメと極端には矛盾しません。ようは、第15話「封印の巫女」でタクトに失恋した結果、側にいたゲーム主人公とそのまま仲良くなって恋愛関係になったと思えばいいのでしょう。このルートは、学園祭までミズノが巫女とばれていないようであり、マリノがアインゴッドに乗ったとき、「何も見えなった」といって、巫女の存在がばれにくかったアニメのパラレルルートのようです。
 サリナルートは、ゲーム主人公がサリナと過去にかかわりがあったことを匂わせるルートで、アニメでは人間味をあまり感じさせなかったサリナが内面を少しのぞかせるルートです。

「南十字祭ルート」
ケイト、マミ、ミドリが攻略対象。ミドリが攻略対象になっており、第5話「マンドラゴラの花言葉」でミドリがツバサ君とつきあわなかった世界のようです。このルートは、ゲーム主人公はサイバディに関わらない学園生としてすごすので、ミドリ以外のマミやケイトに関しては、アニメと並行しておきていても問題はあまりないルートです。ケイトに関しては、カラオケ屋フラグはアニメと同じように起きていますが、アニメで「頻繁に歌い、踊っている」らしいので、数人に目撃されていてもおかしくはないですから。しかも、ケイトエンドは恋仲になれるのではなく、友達以上恋人未満くらいなので、主人公の知らない部分でアニメと同時にあんなことをしていたルートでしょう。そして、アニメではモブに近かったマミ(正直、攻略キャラとして存在したことに驚いた)はツンデレ学園恋愛なので、リア充生活送ったために、最終決戦に登場しなかったんだといわれても納得できます。

アニメのファンとしては十分満足したのですが、「システムはもう少し工夫して欲しい」と「性別変更できて欲しかった」という点はあります。魅力的な男性キャラが多いのだから、友情エンドも悪くないのですが、恋愛できるようにもして欲しかったです。また、女性キャラも同性ならではでみせる会話ややりとりもあって、そこで違う魅力をみせれたのではないかと思うので、それも見たかったです。