ちっぱい描写がとても良かった。システム面を中心に不満が残る部分があり、それに伴って本編の印象も下がったので、得点がやや低めに出てしまった。
本シリーズの前作、『ろーらいず』の感想で、胸の大きさ描写について言及したため、まずそこから述べておかないといけないだろう。
『Lowすぺっく』のキャラクターは、各種描写から某4年から某6年の間であると思われる。『ろーらいず』では、胸を「ぺったんこ」「つるぺた」と表現していることと、CGにおける胸の大きさの乖離について、否定的な立場から言及した。
しかし、本作では、作中で「微、僅、無、平面」と見事にw形容されているように、つるぺた、とうたっているキャラクターのCGはみな胸が小さく、またその中でも個性とこだわりをもって描き分けられていることがよく伝わってきた。悲しいかな、現在、フルプライス商業ゲーにおいてここまでの描写があることが如何に希少か、ということは語るまでもなくなってしまっている。この部分で「Lowシリーズ史上もっとも“Lowすぺっく”」とのうたい文句に偽りはなく、前作に比べて加点するポイントとなった。また、胸が小さいことによっておこること、すなわち、オーバーオールの上側からの無自覚な乳チラといった、王道のイベントがしっかりあったことも評価のポイントとした。エッチシーンでも、小さい乳房や乳首を刺激するシーンがあり、ちっぱい関連の描写がきちんとなされていた。
乳歯が抜ける(!)話にはある意味驚愕したが(笑)、ここまでLowにこだわってチャレンジングにゲームを制作されたことには敬意を表したい。
得点がイマイチ伸びなかった原因は、主に、システム面がはらんでいた問題に起因する。私は、抜きゲーシナリオは抜きゲーのそれとして採点するけれども、何も要求していないわけではなく、そこで矛盾が出たり、興ざめになってしまったりするような描写があれば評価は一定程度下げるようにしている。
このゲームは、4キャラクター+共通のイベントで選択可能なものの中から、適宜自分が読みたいもの(ふつうは、攻略したいキャラクターのものを中心に選ぶことになるだろう)を選択して読んでいくという、自由度の高いものである。そして、そのシステムは、特定のキャラクターのルートに進むことが確定した後も、基本的にそのままである。また、一定の時期をすぎると選択できなくなる、という制限があまりない。そのために、選択によっては
①運動会が終わった後、共通ルートの(本来夏休みの)プールに行くイベントが選択できる
②キャラAの攻略がほぼ完了し、気分が盛り上がったところで、キャラBとのHイベントを選択できてしまい、キャラBの処女を奪った直後にキャラAのグッドエンドに突入する
といった、よく分からないことが起こる。イベントの中身が何かは、初プレイ時は読んでみるまでは分からないので、どういう話の進み方になるか、運の部分が生じてしまう。私は、意図せず上記②の事態が発生してしまい、かなり気分が萎えてしまうという経験をした。付言すると、AともBともエッチしたことが悪いということではなく、キャラBとどうなったか曖昧になったままキャラAのハッピーエンディングになるのが混乱する、ということである。
3Pルートがあり、2人のキャラとHをしてはじめて解放されるルートもあるため、このシステムすべてが悪いという訳ではない。しかし、特定のキャラのルートが確定した後は、矛盾が生じないよう、関係のない話には適宜ロックをかけ選択できないようにするなど、改良の余地はあったはずだ。この、場合によっては唐突に終わってしまうストーリー選択システムは、分かり辛さもあり、主たる減点箇所とした。
また、キャラによってはHまでの過程が全体のプレイ時間の割にやや早急で、すっとばしているように感じられる箇所があったこと。某高学年にも関わらず、女の子だけで着替えているところに主人公が突入しても殆ど恥じらいを示さないといった、やや“Lowすぺっく”にすぎるのではないかと思われる描写があったこと。性器が一切露出していないシーンでパンツにモザイクがかかっているシーンがあったこと(それをする必要性がよく分からなかった)。エッチシーンで同じような構図のCGが複数回出てきていたこと。魅力的なキャラであるにも関わらず、蒼空はアナルエッチばかりで、普通のエッチや単独のルートが見当たらなかったこと。といった点を減点の要因とした。
キャラクターの作り込みや、モードの工夫には光るものがあったのだが、上述したようなことが足を引っ張って、なかなかオカズとしての実用性に欠いた、というのが正直なところだった。もうほんの少しの改良で一気に良くなったのではないかと思う。
諸々書いたが、どうやらこの作品でLowシリーズは一区切りということのようである。高い点数をつけないながらも、何だかんだ言いつつ結局毎回買っていたのは、ブランドの意欲・挑戦心が素晴らしかったので、お金を落として応援したかったということが大きい。ここでとどまることなく、今後も様々なかたちで、商業でできる表現の枠を打ち破っていってほしいと切に願う。