きゃんでぃの新たなる動き
タカヒロが去った今、きゃんでぃは過去タイトルを再び持ち出してきて何をしようとしているのだろうか。
それはタカヒロからの脱却ではなかろうか。
ブランドとして作りたい物は定まっていて、その中心がタカヒロであった事から、”きゃんでぃ”になろうとしている。
今作は特に典型的な例と言えるのではなかろうか。
かずきふみ氏の紡ぎだすキャラクター達は非常に綿密に練られ、関わりあっている。
家族としてのそれぞれの役割、個人の問題、主人公との関係、いたるところに配慮が行き届いている。
そして、注目すべきはテンポを崩さずキャラクターの魅力を溢れさせるために配置された彼らの細かい動作の描写である。
また、それに付随するように言葉の端々の口癖のイントネーションなどにも気が配られている。
こういった丁寧な作品作りは中々他では見られないものである。
尤も、エンジンがより優れていれば同様の描写を別の方法で表現する事もできたろうが…。
否定的な意見の連なる境ルートについてだが、「シャッテンかよ!?」というツッコミもしたいところだが、
共通部分からも示唆されていたし、さして”超展開”などというものでは無いように思う。
弟への思いというものがああした形で現れていたという一つのルートであるに過ぎない。
ともあれ、共通部分についてはやって損の無い出来だろう。