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wing_ergさんの銀色、遥かの長文感想

ユーザー
wing_erg
ゲーム
銀色、遥か
ブランド
tone work's
得点
100
参照数
991

一言コメント

"普通の"人生を描く作品

長文感想

このゲームは「普通の」人生を描く作品だと思う。

 普通の人生はエロゲみたいに劇的に状況が変わったりしない。このゲームのシナリオは長く、それ故にフラットになりがちな部分もある。人によってはそれを退屈だと感じるかもしれないが、そのフラットさは劇的に変化することの少ない普通の人生を描くというコンセプト(私が勝手に言ってるだけですが)をよく表現できていると個人的に思っている。なお、各編の終盤にはきちんと盛り上がるポイントがあるので、私としてはフラットさがあってもそれほど退屈はしなかった。

 このゲームの特徴の一つとして、シリアス・鬱展開がない(あっても不安感を感じることはない)ことが挙げられる。それにも関わらず、私は全編を通してかなり泣いたように思う。主人公とヒロインが中学で出会い、恋に落ち、それぞれにとっての課題などを乗り越えながら、二人で共に成長していき、そして結婚に至る。その過程はまさしく「普通の」、誰にでもあり得る人生であり、何故だか自然と泣いていたのだろう。いわゆる「CLANNADは人生」とは違った意味で「銀はるは人生」といえるかもしれない。

 以上のほかに良かった点としては曲とED映像が思い浮かぶ。曲に関してはボーカルが非常に豪華で、歌詞もED,キャラソンともにヒロイン自身や主人公と歩んできた過程を表現していて印象に残っている。ED映像は特にベスリー√のものが秀逸で、曲と同じくシナリオに沿ったものになっていた。

 全編通して非常に満足できた。また冬になったらプレイしてみたいと思う。ぜひ冬にプレイしていただきたい。