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way_upさんの僕は天使じゃないよの長文感想

ユーザー
way_up
ゲーム
僕は天使じゃないよ
ブランド
130cm
得点
95
参照数
930

一言コメント

退廃的で淫靡な雰囲気が堪らない。テキストは、芝居の脚本のような簡潔さで絶妙。メーカの公式ジャンルは「懐古調SMノベル」ですが、実際SMの描写は多いですが、にもかかわらず、読後は人生の哀しさと美しさを感じさせてくれる、まるでヒロインの半生を描いた映画のような作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

テキストは芝居の脚本に近いので簡潔で、人によってはそっけない印象かも。
評価は、
読み手の想像力や活字を読む力に左右されるでしょうね。
心情描写が深くない、とか、シナリオを長くすれば、とかの感想がでてきそうですが、
こういうタイプの小説は結構あると思っています。戯曲ならなおさら。
そして、この書き方は、この作品の重要な個性でしょう。
私は、とてもいいと思います。心情も書けていますし、
何より、これは映画を観るような感覚で楽しんだほうがいい作品。


主人公が、プライドが高く、けれど、繊細な面があり、
偽善にも偽悪的にもなれず中途半端なところは、
「人間らしさ」がでていて、作品全体のリアリティに一役買っています。


人間の「業」というものをそこはかとなく匂わせ、
「堕ちていく」様を描いた、退廃的で美しく哀しい物語。

ローザのルートが一番好き。



今思い出せないのですが、
こういう退廃的で悲劇を書いた有名な小説、あったよなあ。。。。。
(パクリだと言いたいわけではありません。念のため。ちょっと読み直してみたいと思っただけです。)

※追記。思い出しました。小説でなく、映画です。
古い名画ですが、「ミスターグッドバーを探して」。
結構リアルな映画だった気がする。

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所詮、世間は舞台に過ぎぬ

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こうして光の中におりますと
よろこびもかなしみも
すべては光に溶けて消えてゆくようです

人が与えられた最高の恵みとは------

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