平坦でランス要らずのシナリオ。戦闘も単調で育成要素もイマイチ。CGは背景も含め良質です。
ランスシリーズは6からプレイ。
今作は、今までと違い戦闘(探索)の合間にイベントが進行するイメージではなく、
イベントの合間に戦闘が入るような感じで、シナリオゲーの一面もあります。
全体的に見ると決してつまらないゲームではないです。
しかし、要所に首を傾げたくなる部分が多く、以下にはそれを羅列していきます。
まずシナリオですが、全体的に見ると革命というには些か雑な印象を受けました。
仮にも「革命軍」を名乗るのでしたら、もう少し国民や社会の動きが見せないと、
軍部の反乱を中心とした、ただのクーデターに見えてしまいますし、
最終的に、パットンが無責任に国民に政治を投げただけにも見えてしまいます。
そもそもパットンが国民に支持されているのかどうかも伝わって来ませんし…。
最終的に政治に疎く、半ば幽閉されていた小娘が大統領ってのも微妙です。
あと、幾ら何でもヘルマン軍のミスが見ていて馬鹿馬鹿しいです。
わざと負けているんじゃないかと思うくらいで、かなり冷めます。
そのせいでパットン軍の足取りが順調過ぎる為、盛り上がりにも欠けます。
将軍たちも殆どイベント死で、戦闘での直接対決も極少数ですし、
正直、軍事大国を相手にしている緊張感が最後まで全く感じられません。
ランスの仲間たちの絡みの面白さなどでカバーしている部分はありますが、
ハッキリ言うとシナリオ自体はヤマが無く特に面白く無いです…前作よりはマシですが。
悪役もイマイチ。ミネバやステッセルがそれに当たるのでしょうが、
ミネバが非情な手を使ったのは結局、名もない村やヘルマン軍に対してだけで、
パットン軍(無法者)に直接被害を与えたわけでは無いですし、
ステッセルも同様で、宮廷内にしか悪宰相っぷりが伝わって来ないので、
小物感だけが漂っています。これでは敵愾心が起こりません。
マハやアリスト、パメラら脇役も、もう少し使い道があったような気がします。
マハは結局何を表現したくて出したのかよく分からず、アリストは登場→死亡だけですし、
パメラは本当にいただけ。メインヒロインの母なんだから、もう少しイベントがあっても…。
主人公はランス…というよりはパットンという感じですね。
イベントも女関連以外はパットンを中心に回っているような気がします。
そんなパットンやヒューバートの視点で見ていると、正直ランスの行動が邪魔に感じます。
他のメンバーが会議中や談笑中に、会話をぶった切ったり、関係ない事を言ったりして
面白いシーンを台無しにしてしまうことも結構あった印象。
ランスが完全な主人公なら余り気にならないのですが、パットン側から見ると、ちょっと…。
シナリオ全体的にもランスが特別必要と思われるトコロも無かったように思えました。
制作側もそれを感じたのか、無理やりランスを持ち上げるような描写やセリフが多過ぎて辟易します。
逆に言うと、ナチュラルに「ランス凄い」を表現出来ていないように感じました。
パットンの越えるべき壁であるはずのレリューコフも何故かランスが倒しちゃいますし。
正直、今回ほどランス自体が「不要」に感じたことはありませんでした。…Hシーン要員?
前作もそうだったのですが、騒動の中心にいないとランスって小悪党にしか見えないんですよね。
あと今作のランス君は仲間の男の事を気にし過ぎ。余り周りを気にし過ぎていると、
モテない男が独占欲を丸出しにしているみたいで、見ていて情けないです。もっと自分に自信を持とうよ…。
それとハンティの存在がバランスを崩しているように思えます。
ハンティ自身は「パットンが自分で成し遂げる事に意味がある」みたいな事を言います。
ですが、パットン側の作戦を考えると、パットンやランスがいなくてもどうにかなるような
気はしますが、ハンティ抜きでは成功するようには思えません。
逆に言うと、ハンティがいればどんな状況でも結局どうにか出来てしまうんです。
それを踏まえると能力が突出しているハンティは作戦から外すべきだったと思います。
個人的には個別ルートも微妙。最後の展開を変えただけのボリュームも不満ですが、
何よりランスの性格が子供で、好きだの愛してるだのという言葉が薄っぺらく軽いのに加え、
そんな言葉に本気になっちゃう女のコにも興醒めです。
ランスを使ってこういった擬似恋愛的な話にするのは正直つまらないです。
要するに、精神的なやり取りのなく、両者一方通行な「恋愛ごっこ」にしかなりません。
恋愛も戦闘も、ある程度駆け引きがないと面白くないと私は思うので。
結局、お互いバイブとオナホでオナっているだけに見えます。
そういう子供っぽい恋愛ごっこはシィルだけでお腹いっぱいです。
いつもみたいに陵辱一辺倒だと、一方的でも仕方が無いと思える部分もあるんですけどね。
あと、運命の女がポコポコ出てくるようになりましたが、どう纏めるんでしょうね。
謙信やマリア、マジック、リア、五十六、香、ウルザ、リズナ、クルックー、パステル等
運命が繋がってそうなヒロインは他にもいますからね。ランスが思いつきで言っていたように
本当に12女選定するんでしょうか。何か、ミラクルを主人公に据えて、
トゥエルヴナイトを集める話の方が面白くなるような気がしてならないのはどうしてでしょう…。
あまり関係ない話ですが、ミラクルとダークランスって相性良さそう。
Hシーンは絵もCGも素晴らしくシチュも多めな印象で、今までのシリーズ比べれば、エロいです。
ですが、やっているのがランスなのと、声が無いのでやはり実用的とは言い難いです。非常に勿体無かった。
改めてHシーンに於ける主人公と、絵の連続性の少ないゲームでの声やSEの重要性を再認識。
個人的にはランスのお馬鹿なセリフの無い陵辱シーンの方がエロく感じました。
特にステッセルとの関係性が窺えるシーラのシーンが良かったです。
戦闘は完全にシンプル&単調。次々出てくる雑魚をとにかく延々と叩き潰す作業です。
数が多くてもMAPが広ければもう少し戦略を練ることも可能なのですが、
MAPが狭すぎて、ほぼ乱戦状態なのでそれも出来ません。
また、シンプルなシステム故にボス戦などは、ほぼ囲んで殴る一辺倒。
味方数が少なく敵数が多いので、敵軍の行動待ちがかなり長いのも不満です。
成長は経験値を能力に振り分ける形なのですが、
必要経験値が多い割には能力上昇が低い為、成長を実感しづらく、
更にはアイテムの能力上昇値が異常に高い為、完全にアイテム偏重気味。
入手時期によっては、アイテム装備によって簡単に志津香のHPをランスの倍ほどに出来てしまいます。
武器の強化もイマイチ。お金で強化する形なのですが、強化失敗がある事に加え、
失敗しても強化費上昇という、ストレスの溜まる仕様。
何故、ランスシリーズって毎回戦闘の仕様を変えるんでしょうかね…。
そのせいで、何というか毎回チャレンジ的で、積み重ねが少ない感じがします。
正直、9作目でこれだけ色々な人から不満が出る戦闘システム作ってどうするよ、って感じです。
これで次にどう繋げるつもりなんでしょうか。
10ではまた新しい事をやろうとするんですかね…。正直、不安で仕方がないです。
ランスシリーズでなければ、特別面白くはないが無難な話として受け止められたかも知れません。
ただ、逆に言うとランスとして発売する必要もない話のような気もします。
シナリオの良い悪いではなく「ランスシリーズ」として期待された内容では無かったとは思います。
ランス外伝~パットンクーデター~って感じでしょうか。
最終作は各国の姫(女王)の力を背景として、ランスが人類を率いて魔軍と戦う話になる
ような気はしますが、とにかくランスが物語を動かす話を期待したいと思います。