エロは弱く、ゲーム自体も短いものの、独特のシステムを使った展開は評価出来る。
タイトルから判断すると催眠を使った陵辱ADVに見えますが、実際は大きく違います。
このゲームは、ヒロインの失われた記憶を取り戻すと共に、それによって明らかになっていく真実と向き合っていく物語。
とりあえずは、ヒロインの記憶の風景を思い出させる事がメインとなります。
初めは白黒の輪郭だけの風景ですが、オブジェ(机や時計等)をクリックする度に、彼女は断片的に色々と思い出していき、
徐々に記憶の風景も色づいて、記憶自体もハッキリしていきます。
最終的には10個の風景を思い出させる事が目的となり、その間に内包された謎が明らかになっていきます。
単純なテキストADVになりがちなエロゲでのこういった試みは、新鮮で高く評価出来ると思います。
ゲーム自体は短いのですが、キレイに纏まっていますし、伏線もちゃんと回収してくれますので、満足感はあります。
内包されている謎自体もそれほど複雑なものではなく、クリアしてみればとても分かりやすい。
このゲームに関しては、短いが故に一気にクリア出来るのは良かったような気がします。
個人的に感じたテーマは「虚構と真実」「生きる目的」「幸せ(陽だまり)」といったところでしょうか。
全体的には殺風景なイメージですが、声もBGMもテキストもその独特の雰囲気を良く表していてGOODです。
催眠自体は重要な要素ではありますが、催眠術を使った特殊シチュを期待すると肩透かしを食らう恐れがあります。
一応、簡単な忘却催眠や淫乱化のようなものはありますが、あくまで通常のエロの補助的な感じです。
更に、Hシーン自体が9つと少ないのに加え、2つほどは構図が変(男の背中と尻が中心)なので、実用的ではないでしょう。
このゲームに於けるHシーンは、見ている人間に絶望を与えるためのツールと割り切った方が良いかも知れません。
エロは弱いですが、普通のテキストADVに飽きてしまった方は、プレイしてみるのをオススメします。
数時間でクリア出来る長さなので、気分転換にも良い作品だと思います。