ゲーム部分は、ZEROから続くこのシステム完成の域。ただ、シナリオは軸が見えずゴチャゴチャし過ぎ。
戦女神は2から、幻燐は2のみプレイ。
前作ZERO以外はかなり昔にプレイしたので、忘れている部分もありましたが、
概ね問題なくプレイできました。ただ、前作ZEROや幻燐2をプレイしていない方は
キャラやエピソードでついていけない部分があると思いますので、プレイを推奨します。
全体的なシステムはZEROを基本に少し手を加えた、という感じでしょうか。
やり込みにもかなり対応していますし、今作でこのシステムはかなり完成されたと思います。
難易度も油断してたら雑魚でもアッサリ死んでしまう感じで、個人的には良かったです。
確かに熟練度上げ等は面倒な部分も多いですが、やり込み要素なんかを考えれば、
ある程度時間を割く仕様になるのは仕方が無いと思うので。
それに、やろうと思えばそんなにレベル上げしなくてもクリア可能ですし、
レベルも上がりやすく、オート戦闘を使えばレベル上げもそれほど苦ではないと感じました。
唯一、どのルートでプレイしても終盤までは基本一本道のRPGなので、
周回プレイ時に同じ展開を繰り返さなければいけないのは少しキツイかも知れないです。
また、仲間キャラが多くなると、編成や装備変更がとてもやり辛い作りになっているのはマイナス。
声もキャラによって音量に結構な差があり(例:リフィア=大 エクリア=小)、
キャラ毎に個別音量設定があれば良かったかな、とは思いました(ON/OFFは可能)。
シナリオは前作の方が面白かったです。というより、それはある意味当然だと思っています。
セリカは、続き物の主人公としては非常に難しい存在です。
感情が殆ど無い事に加え、毎回記憶を失ってしまうので、
その度、一部を除いたキャラとの因縁や愛憎がリセットされてしまいます。
更に「生きる」といった曖昧なもの以外に、特に具体的目的もない。
その為、何というか、キャラとしては世界の傍観者に近い気がします。
こういう主人公を中心とするには、(敵役を含む)周りがセリカに強く執着してもらう必要があります。
ですが、そんな傍観者な主人公でも、女神の身体になったキッカケ(始まり)と、
女神の身体から開放される時(終わり)だけは、自分中心という形で真の主人公になれます。
なので、始まりに当たる前作のシナリオが盛り上がるのは当然で、
むしろ評価が低かったら大変だったのではないでしょうか。
永遠のパートナーであるハイシェラとの馴れ初めも出てきますし。
プレイ前は、そんな傍観者なセリカに代わって因縁や感情を現してくれるのがエクリアで、
今作での主人公はむしろ彼女だと感じていました。エクリアをメインにする事によって、
因縁の深い幻燐のキャラを登場させることが可能ですし、リウイとセリカを共演させる
最高のチャンスが出来ました。その設定までは非常に良かったと思います。
ただ、上記の前作云々を抜きにしても個人的には微妙なシナリオでした。
特に、エクリアが序盤にセリカに堕ちて(惚れて?)しまったのが残念。
ちょっと砂漠を旅して自殺を止めてくれたら、使徒になるくらい大切な人になっちゃった…
というのは少し軽すぎな気がしますし、何より「エクリアが如何にして使徒になるか」と
「自分の罪とどう折り合いをつけるか」がこの作品のキモだと思っていたので、かなりのガッカリ感。
何だか前半~中盤は「ツンデレのエクリアさんを遠くから眺めるゲーム」に。
そして時が経ち、セリカ依存症になった後は、イリーナの事など忘れたが如く、
どんな状況でも心理描写が「セリカ様…セリカ様…」ばかりで面白く無いですし。
よくエクリアが「セリカを愛していないし、愛されたくもない」というセリフを言うのですが、
正直、心理描写が拙いので、どう考えても愛している&愛されたい人にしか見えません。
そもそもエクリアの性格も幻燐の時から変わり過ぎているような気がしますし…。
クールで凛々しく自信に溢れたキャラだったのに、何故か今作では最初から強がりなツンデレキャラ
みたいになっていたので、かなり違和感を感じざるを得なかったです。
また、中盤セリカとエクリアが離れ離れになる期間(約50年)があるのですが、
必死に再会を願うエクリアが頑張って(オロオロして)いる最中、セリカは何をしているのかと言うと、
延々とルナ=クリアとイチャイチャしています。更には、ルナ=クリア至上発言までしちゃいますし。
その後、何も知らずに涙ながらに再会を喜ぶエクリアが道化感満載で、哀れな感じすら…。
結果、中盤~終盤は「エクリアの目の届かない所でルナ=クリアとイチャつくゲーム」に。
あれ?メインヒロインはエクリアじゃなかったの?ルナ=クリアなの?
エクリアとの再会をドラマチックな展開にするつもりなら、
ルナ=クリアとのラブラブ度はもう少し下げるべきだったんじゃないかな…。
更に、W主人公なのにリウイと関係の薄いルナ=クリア前面に押し出したらリウイの影が薄くなります。
終いには最終章のみの登場で、緊張感のない狙った感満載のリフィア編まで作って…。
マリーニャやシュリ、レヴィアのエピソードも終章で詰め込みすぎな感があります。
多くのキャラを出したいのは分からなくもないのですが、正直ゴチャゴチャし過ぎです。
何だが、結局何(誰)を主眼に置きたいゲームだかよく分からない内容になってしまった印象です。
更に言うと、この離れ離れになっている期間はリウイに代わりにエクリアを操作できるのですが、
基本的に待ちが多く、セリカ様依存症なだけの彼女の話は正直退屈です。
ここはリウイとエクリアを絡ませ、新たな関係性を提示するチャンスだったと思うのですが、
リウイ側はイベントが何も起きず、敢えて言うなら存在すら忘れ去られています。
…で、終章ではそれまで何の積み重ねも無いのに、アッサリ和解して共闘。ちょっと展開が雑なような。
上記を含め、全体的に見ると、リウイ側とセリカ(エクリア)側は共に独立した物語になっている印象です。
それって、ザッピング(マルチサイト)的な面白さを生かせていないような気がするんですよね。
同じ事柄を2つの視点で追ったり、セリカ編での事件の裏をリウイ編で知ることができたり…
というようなシーンが無く、ただ1本のゲームに2人分のシナリオをぶち込んだ感じ。
結局、主人公が2人いる「だけ」になってしまい、結果個々のシナリオも薄くなってしまった感じです。
半端なSLGパートや釣り要素などより、こういった部分を充実させて欲しかったですね。
どうせ独立した話になるのなら、ルナ=クリア(またはエクリア)との関係を中心とした戦女神(RPG)と
深凌の楔魔とイリーナの魂を中心に据えた幻燐の続編(SLG)を別々に発売すれば良かったんじゃ…。
そこで互いの作品でセリカとリウイをゲスト出演させれば済む話のような気がします。
確かに、2大主人公の共演!ってすると聞こえはいいのは分かるんですけどね。
ただ、シナリオもですが、個人的に一番気になったのは絵かも知れません。
しかし、絵に関しては好みが大きいと思いますので、以下はそのつもりで読んで下さい。
まず、全体的に子供っぽ過ぎます。リウイやエクリアなんて幻燐の頃の面影が薄く、
男のコや女のコって感じに見えます。魔神も皆女のコ的で、女性的な色気を感じるキャラがいない。
女のコは最悪子供っぽく描かれていても納得できる部分もありますが、
男キャラはキツイ。リウイ含め、魔神のパイモンも可愛らしく見えるくらいです。
個人的に、素直にカッコイイと思える男キャラがいないような気がしています。
また、顔ありの絵(Hシーンや立ち絵)と顔無しの一枚絵(戦闘シーン等)の頭身に差があるように思えます。
もしかしたら、顔の子供っぽさから頭身が低く見えているだけかも知れませんが…。
画一的な感じや「硬い」感じは昔から感じていたので、それなりに受け止められますが、
正直言うと、続編を作る気なら原画の方を変えて欲しい気持ちもあります。
長い間、携わっている方なので、変わると違和感があるかも知れないですが、それでも。
戦女神というシリーズでなかったらここまで気にならなかったと思うんですけどね。
ハッキリ言うと、世界観のスケールの大きさや完成されたシステム等に比べると、
絵だけちょっと浮いているように私には見えています。
この絵なら、もっとライトな雰囲気のゲームの方が向いていると思うのは私だけでしょうか。
Hシーンはシチュが殆ど通常Hのみ&構図が似通ったモノが多いので、実用性は低いかと。
個人的には、絵の問題(上記に加え、触手拘束の描き方や手&指先の描き方、人工っぽい胸等)
もあったので、興奮度はかなり低かったです。
主人公2人も特に何もしなくても女性から寄ってきますので、落とす楽しみもありません。
とは言え、この部分を楽しむゲームでないことも理解していますので、特に気にはなりませんが。
必要と思われる部分でシナリオに組み込まれていれば、それで十分です。
一部、据え膳食い過ぎな気もしますが、そこはエロゲの主人公なので。
全体を見れば、皆さんも仰っているように関連キャラ多出演のファンディスク的側面が強い作品に思えます。
逆に、そこに目が行き過ぎたためにシナリオがイマイチになってしまったのかも知れないですね。
ですが、その世界観とゲーム性はエロゲでもかなり高いレベルだと思いますので、
プレイする価値は十分にある作品であることは間違い有りません。