ErogameScape -エロゲー批評空間-

walnutさんのアマナツの長文感想

ユーザー
walnut
ゲーム
アマナツ
ブランド
あざらしそふと
得点
79
参照数
672

一言コメント

一夏を楽しく過ごせた気にさせてくれる良質なラブコメだった。常にテンションの高い会話が続き笑わせてくれて、魅力的なヒロインにドキドキして、甘々なストーリー。もっと長く浸っていたい空間でした。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

あざらしそふとのキレイなイラストに前から惹かれつつも、未だに作品を買えていなかった。そんな折りに、SMEEでコメディ方面で有名な早瀬ゆう氏がシナリオを担当すると聞き興味をもったのが最初。早瀬氏の作品は前に『1/1彼氏彼女』を遊び、たいへん満足したので、かなり期待してプレイしました。期待通りだったところと、ちょっと残念だったところがそれぞれいくつかあるので、そこから。

期待通りで嬉しかったのは、もちろんコメディ。早瀬氏らしいテンポの会話はやはり楽しかった。主人公が陰キャだと思ったらめちゃくちゃ会話できる。大きなストレスなくシナリオを楽しめる。ちょっとした会話で笑わせてくれた。そった会話から時折挟まれるヒロインの照れのインパクトも強くて何度も悶えた。
次にぎん太郎氏の美麗なイラスト。もうほんと、一枚絵が公開されるごとに嘆息した。そしてエロい。むにっとした肌を描くのがうまく、重厚な質感。
あとは陰毛オンオフ機能。あるだけ嬉しいやつ。オンにして楽しみたいのに、オンにできない作品が多いので貴重。萌えゲーのなかでエロ方面に力を入れているのは嬉しい。エッチシーンが5個あるのもそれに付随して良かったところかなぁ。あって困るものではない。いくつかはおまけシナリオにして、EXTRAにいれて欲しかったけど。

次に少し残念だったところ。
男がうるさすぎる。個性が強いサブキャラは必要だ。別にそれが男でも構わない。しかし本作の男は全員癖が強い上に3人もおる。ヒロインと同じ人数だけ男のサブキャラがいるって何ねん。
次にあざらしらしさと早瀬氏の良いところがぶつかったところ。あざらしの良さはスローな恋愛だと思っている。しかし早瀬氏の良いところはテンポの良い恋愛だ。さっと付き合い、サクサクと関係が進んでいく。その変化が楽しい。その早瀬氏の特徴はテキストの調子からも明らかである。その2つがぶつかったのが残念だったかな。

主人公は都会での勉強での競争に疲れてしまった。そんな時に七箇山に引っ越すことに。相倉家に居候する。相倉和葉とは同じ屋根の下で。他には学園の後輩でぐいぐいくる雨晴こがね、神社で巫女をしている上梨夜雪先輩。こういったヒロイン3人と、愉快な男たちと楽しい一夏を過ごす。

《和葉》
青山ゆかりの声を初めて聞いた。ハマっていると正直思った。ちょっとキツいところもあるが、今回に限っていえばキャラと合っていた。正妻ポジにもっとも近い子で、なんとなくこの作品でもっとも推したかったのかなぁと感じる。やはり、ちょっとした見栄で主人公に素直になれなかったけど、付き合うようになってから甘々な関係になるっていう、わかりやすい変化があったからね。その変化も早瀬氏の筆致で劇的なものに映る。ツンデレな感じがたまらないヒロインでした。
主人公が安い指輪とはいえ買って贈ってくれるだけで大事にするとか。そんな正妻ポジにばっちしはまる動きをするから、キュンとするタイミングも多かったですね。

《こがね》
小悪魔系ヒロイン、と個人的には思っている。『アマナツ』のヒロインでもっとも好きになりました。今年出会ったヒロインの中でもトップクラスに好き。
とにかくグイグイ来る。もう主人公がちょっと引くくらいにはグイグイ、グイグイと。
とっても明るいヒロインで、会話でもボケにまわったりツッコミにまわったりと、とにかくおいしい役所だった。他の個別ヒロインでも、こがねを目で追ってしまうくらい。
共通ルートでは他のヒロインを目で追うと嫉妬する。かわいい。他のヒロインがいても、べたべたとくっついてくるのとか、好きになっちゃうよ。明かに張って待っているのに、奇遇ですねって言って会うのとかもわかりやすき甘えているのとか。
七箇山とは離れた街に済んでいるため、帰りのバスがある。そのために主人公とのデートの時間が限られてしまう。この設定がとても惜しいなと感じました。距離が縮まりそうになったのに、時間が来てしまうという展開が多かった。テンポが悪かったなぁと。
秋野花の小悪魔後輩ボイスも最高でした。お気に入りボイス機能を使って保存したセリフの多くはこがねのセリフになってしまうほど。
あとはセーラー服の胸当てをしてないところとか、スカート短めでスパッツを履いてるところとか、そういうキャラデザも刺さるところでしたね。
好きなシーンは、主人公をからかって「お兄ちゃん……大好きーッ!」というシーン。とんでもないインパクトがありました。これだけで恋に落ちる。

《夜雪》
個別に入ってからのテンポが良かったかな。天然さが魅力でありながらも、天然すぎて告白されても気付かないとかった一体。そんなわけで主人公が速攻で告白して、これは恋愛的な、性的な意味ですと伝えるのが早かった。夜雪先輩の方も主人公が他のヒロインにとられるのが嫌だからとすぐにセックスしちゃうのとか。浮世離れした雰囲気とは別の意味で不思議系で天然なヒロインでした。そういう意味ではもっとも驚きに溢れてた。
一番胸がデカいヒロインで、エッチシーンでの垂れ乳具合がすごかった。これで学園生って嘘でしょ……

《まとめ》
もっと長い間触れていたかった……と思いつつも、これ以上ゆっくりなテンポは嫌だ。もっとテンポよくシナリオが進んでほしかった。そんなわけで、FDか同系統のゲームが出てこないかなって。そんな願望があります。