ゴシック調のデザインに詩的な物語、そしてSF! こんなん好きになるに決まってんだろ!
1章
導入、そして反復される未来。
アルエットが招かれざる客のように現われるからこその物語開始であり、彼女ルクとの将来を暗示され、そして隠れている何者かとルクが対立しているのが示される。
2章
学友の一人が学園で禁じられた恋をしてしまったために追放されてしまう、いやアルエットとルクが追放する。この悲劇はマコーとパヴォーネのすれ違いによって起こってしまう。それぞれが最善と思って行動してしまったし、だからこそ苦しんでしまい、最後には何も残らなかった。ただそこには辛い後味だけがあった。実はこの感情が大好物だったので、ここで点数がかなり上がった。
3章
物語は閉塞感をより加速させていく。そして加速していった先の救済。ロビンとキャナリーの2人は積極的に恋愛をすることでかごからの脱出を図る。ここから過去が反復される。
4章
今が仮初めのものであったと示される。ドラマチックに展開=転回し、感情が交錯する。アヴェルラからアルエットへの愛玩的な感情は衝撃的であり、またルクと水面下で敵対していた彼女がある種の味方になるのは驚きだった。ルクの救済が御都合主義的なのは、それは社会の閉塞感はそのような不誠実な解決でしか贖えないのだろう。
まとめ
百合要素があり、それを織り込むことでジェンダーへの目配せもしっかりされていた。そのような裏地に潜むテーマを感じながら、ゴシック調かつポエムな雰囲気を楽しみ、雰囲気に思いっ切り溶けていくように楽しむのが魅力的だった。