「素晴らしき日々」ありきだとはいえ、読み終えたあとの満足度が高い良作
「素晴らしき日々」本編とは話が似通っているが、違う作品である
特にクトゥルフ神話要素が強くなった印象がある
例えば間宮卓司が救世主として地位を固めるのに使うものが、薬によって、から仲良くなった混沌によって、に変わったのが良い。こっちの方が雰囲気にあっている
また、「すばひび」ではほとんどモブに近い位置にいた横山やす子の存在がかなり効いている。彼女は生きる世界をクソだと認識だと認識しつつも、それでもなお生きようとする。そこに同性愛感情や、弟から向けられる近親相姦的な感情が付与されて際立つものになっていた
一方で「すばひび」の補完として読める。特に、遍在転生論を補強する物語としても読める(明らかにそれを意識したようなセリフが散見された)
これ単体で楽しむこともできるだろうが、しかし「すばひび」をやったあとだからこそ楽しめたところがかなり多い。「すばひび」と比較したらこっちの方が良いと思う部分もそれなりにあったし、あるいは共通点を見出して楽しくなったりするからだ。それでも、この作品のエンディングを見終えたあとにはひとしおの感動があった