アトリというヒューマノイドと過ごす日々が暖かく、繰り返し思い出しては噛み締めてしまう。
海面上昇が続く世界。主人公の夏生は、かつて過ごした島へと帰ってくる
物語は夏生が悪人顔のキャサリンと一緒にアトリを海底からサルベージするところから
初手からポンコツっぷりを晒しながらも、自身を高性能だと言い張るヒューマノイドのアトリと45日を過ごすことになる
アトリは心があるかのように振る舞い、競争社会で心が荒んだ夏生との距離を詰めていく
夏生はかつての地元に戻り、ひっそりと暮らそうとするが、アトリに振り回されて、孤立した島の中にある唯一の学校に通うように
そこに通う人たちと過し、発電機を作るという活動を通して夏生は徐々に心を開いていく。そして彼は尖った心が少しずつ解していく
で、夏生には初恋の人がいて、その人がアトリっぽいという話に
その後いろいろやって、アトリと恋仲になる
夏生は好奇心からアトリがつけている日記を見てしまうが、そこにはアトリが機械的に(そう、ヒューマノイドらしく)動いていると知る。夏生は驚き、アトリに「人間のように振る舞うのをやめろ」と言ってしまう
その後しばらくの間、夏生はアトリに自分と二人きりのときには人間らしく振る舞うなと言う
が、学校にいる人に危ない人がやってきて、アトリがやってきた人をボコボコにする。その際の行動のいろいろがロボットとしてらしくないから、夏生はもしかするとと思い、アトリに「ロボットのように振る舞うな、正直に振舞え」みたいな命令をする
ボロボロに泣くアトリ。アトリには心がある
しかし、アトリと過ごせる期間は残り少ない(ロボットには寿命があり、アトリの寿命は目前にまで迫っていた)
そんなアトリを夏生は、別の自生する人工島の頭にする。それが祖母の願いだった
そうして、夏生はかつて失った世界を救うという意志を取り戻す
でトゥルーエンドにて夏生が世界を救う動きを大きくしたとわかる
感想
アトリの人間らしさとヒューマノイドらしさが揺らいでいくところが、物語のダイナミズムとなり、楽しかった
アトリ自体はそんなに好きじゃないが(うるさい)、シナリオを通して思い入れのあるキャラクターになった
負けヒロインっぽい水萌が、アトリを失った夏生の妻になって一生支え続けたのところは踏んだり蹴ったりだろ。めっちゃかわいそう。んでもって最後、夏生はアトリに会うために電脳世界に旅立ってしまうなんて……負けヒロインとして、めちゃくちゃ過酷
物語の行く先自体は結構簡単に想像がつくが、描写力や美麗なCGなどでしっかりと盛り上げてくれて、十二分に楽しめるものとなっていた。紺野アスタ、もうすかぢの代わりにケロ枕でシナリオを書いてくれ
主人公が荒んだ心を田舎で取り戻すという基本的な流れはよくあるものに見える。しかしアトリのヒューマノイドに関する揺らぎや、SF要素をからめることによって、オリジナリティを発揮しており、丁度よく楽しめる塩梅だった
値段やプレイ時間も手頃で、いいゲームだった