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walnutさんのSessions!! ~少女を監禁する事情~の長文感想

ユーザー
walnut
ゲーム
Sessions!! ~少女を監禁する事情~
ブランド
Loser/s
得点
75
参照数
55

一言コメント

前作から繋がりのないオムニバス形式のストーリー。各ストーリーごとの繋がりも薄い。作者にはこの複数の物語を1つに集結させる目論見があるらしい。続きができるのが待ち遠しいばかりだ。このゲームに収められている3+αの物語はそれぞれの魅力に溢れている。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

《全ての幸せな恋愛に贈る別れさせ屋のアイロニー》
獅童宗谷がどのような仕事をしているか見られる物語だった。彼なりに流儀が垣間見える。兎子さんとのイチャイチャを見るのも楽しかった。ここに出てくる探偵は枯草じゃなくて、青々しい名前だったのは気になるなぁ。[真実嫌いの探偵は]の時系列的にはあとに来るらしいので、その間に何かがあったのだろう。とても気になる。
一方で、今作だけのキャラだろうか、ひばりというキャラにとても惹かれた。メンヘラかヤンデレって感じ。勝負に勝ってもなお宗谷の心がなびかず、ブチギレて宗谷をめちゃくちゃに殴るシーン。彼女の思いがほとばしっていて素晴らしかった。自分の思いを片端から口にしながら、右左と殴る。しびれた。

《HAPPYEND STORY》
ジンという男と天使の話。ジンは恋人がいて、そいつを追ってボストンまで来たらしい。曰く仕事の機密事項を漏らして逃げられたらしい。オチは追ってた女は違う女で、本当に追ってた恋人はすでに死んでた。HAPPYENDってなんすかね。ジンと天使の会話が楽しく、アングラな雰囲気が肌にピリピリして心地よかった短話でした。この中だったら一番好きかなぁ。

《少女を監禁する事情》
これだけ話がぜんぜん違う。それまではミステリーとかコメディとか、ときどき挟まるシリアスとかで楽しませてくれる作品だった。この小話は異能バトルみたいなやつ。西尾維新の異能バトルを思い出した。なんだよ巡査官って。怖すぎ。登場キャラクターも段違いに多いし、設定や人間関係が複雑に。頭の中で整理しながら読むのが大変だった。でも、その分、一気に読んでしまった。面白い。展開そのものが異能バトル風の味付けで大味になっており、バリバリいける。監禁されてる少女もなぜ監禁されてるのかが明かされていくのがミステリー風で楽しかった。一見関係なさそうなキャラたちが、あるキャラを介して関係していたりと、パズルを解くような楽しさがあった。繰り返し味わえるものと言える。

《その他》
『シリアルキラーは振り向かない』は、「少女を監禁する事情」に類する話だろう。時系列的には後。小説家の人が小説書いたりライフルをぶっ放す姿が見れた。あとはメイドの子がバチバチにバトっててよかった。