ジャンルは「学園青春恋愛伝奇バトルAVG」と表記されているが、まさしくその通りであり、話の展開は奇をてらっている訳でもなく、萌えキャラ路線でも無い(愁厳萌えはあるかもしれないが・・・)、所謂泣きゲーと呼ばれる感動物という訳でも無く(涙腺の弱い主人公に貰い泣きという面はあるが・・・)、正直、目新しくは無いものの純粋に読み物として面白く仕上げ、シナリオ分岐ではキャラ毎に全く違うシナリオ色を魅せ、エロ部分はヌキゲーには及ばないものの話に組み込まれたエロとしては破格の出来でモチベーションを損なう事はない。まさに“エロゲー”としての至高の作品だと言える。申し訳程度のエロを足し、エロイラネと言われる自称エロゲなライトノベルやギャルゲー、萌え絵と萌えキャラに全てを賭け、萌えの嗜好を変えただけのマイナーチェンジ商法作品らとは次元の異なる、まさしく「エロゲADV」の鑑だと言いたい。
まぁ、昨今(といっても結構長らく)のスタイリッシュは萌えラブコメだし、本作にも少なからずその要素は含まれている。
正道と言ってはみたが、時流的にみてメジャーな物は恋愛ラブコメであり、伝奇物でもバトル物でもないと思う。
昨今の一点集中型シナリオと異なり、各キャラシナリオ毎に見せ場や盛り上がるシナリオ展開を考え盛り込んだ結果。
マルチエンドの宿命とも言える読感的不整合というかカタルシスの分散を感じてしまうのが残念でならない。
【以下メモ帳】
刀子ルート
刀魂ver 名刀の所持者の魂と技が双七に力を貸すという流れ、双七の妖の力をよく表した展開であり、逢難の封印も確認され多分TrueENDっぽい。
九鬼流ver 逢難と九鬼流で闘う流れ、愁厳様がおいしい所総取り。逢難封印よりも愁厳に救いを与える形の終わり。
いわゆるHappyENDと言った所か?
刀子封印ver これはこれでTrueなんじゃないか?と思ってしまう、かなり泣かせる締め方。
いわゆるBADENDなのだが、ご都合主義や理想論を排した結果としては各人なりに頑張ったと言いたくなる終わり方。
トーニャルート
九鬼先生とのガチバトルで締め、トーニャは完全に刺身のツマというか萌え要員。
やはり愁厳様がおいしい所を持っていくが、今回は生徒会男衆の見せ場がメイン。
お笑い要員かと思われていた刑二郎や狩人の思いがけない熱い見せ場に燃える。
キキーモラの真の力を発動させた時に魂降りBGMがかかるのはちと流用しすぎか?
薫ルート
すずが黒いのがアレだし、薫と双七の他所のルートで引っ張っていた過去ネタがありがち過ぎる点はどうかと思うのだが
人を倒す為の八咫雷天流と妖を倒す為の九鬼流
虎太郎vs九鬼(人型)と双七vs九鬼(鬼)の対比は人では無くなった九鬼に対して双七の九鬼流を魅せてもっと強調しても良かった様に思う(九尾の鬼には徒手空拳は無効だし・・・見せ場はここだろう?)。
薫の貪れハルピュイアで片が付くのはあっけなさ過ぎたのでは?
それを加味しても、ドミニオンの面々のネタも明かされ上々の出来なサブシナリオだとは思う。
Endingはすずシナリオへの布石とも取れ、クリア順としては三番目が吉か?
すずルート
かなり『うしとら』入ってる気がしないでもないが・・・まぁ善し。
熾天使使用ver どっちに転んでもTrueかな?
熾天使未使用ver 御都合大団円ENDって所かな?
言霊効果は美羽と双七の為に尾を切ったときに全てキャンセルされたハズなのだが・・・?
キャラクターの性格ネタバレを避けたい、ヒロイン攻略派な方は刀子>トーニャ>薫>すずの順。ストーリー重視で真相ネタバレを避けたい方なら、トーニャ>薫>刀子>すずで攻略すると良いと思う。