田舎のゆったりとした雰囲気を大切に、狐っ娘たちとのゆるい交流が丁寧に描かれた作品
【テキスト】
適度に改行が施されており、読み易い。
平易な文体。
ちょっとした言葉遊びや、「耳をほにほにする」のような独特の表現があって、読んでいて楽しい。
【シナリオ】
公式のキャッチコピー、「――晴れやかな夏休み……。静かに始まる、小さな恋物語――」の通り。
夏休みに田舎の家で過ごすことになった主人公と、その家に住み着いている純朴な狐っ娘たちとのゆるい交流を描いたお話。
ヒロインは、天神乱漫なしろと、お世話好きなお姉さんのこん。
主人公は、進路に悩む大学4年生。
狐っ娘と言ってもペット的な感じではなく、会話などを通した交流が丁寧に描かれている。
描かれる内容は、野良仕事をしたり、川へ泳ぎに行ったり、花火をしたり、
といった素朴なものだが、そのなかでの、石ころや木の実などを通じた何気ない会話が心地よい。
しろは持ち前の元気で主人公を振り回すことがあるし、
お姉さんのこんは可愛らしいイジワルで主人公を手玉に取ることがあるが、
ほのぼのとした日常におけるアクセントとなっていて楽しい。
個別ルートでは、
しろは、徐々に恋心や恥じらいを覚えるようになり、
こんは、可愛らしいイジワルが徐々に大胆になる。
両ルートとも、エンディングからアフターストーリーまではちょっぴり心温まるお話で、綺麗に纏まっている。
【CG（E-mote含む）】
狐っ娘とE-moteの相性が抜群に良い。
会話の内容に合わせてぴこぴこ動く耳やゆらゆら揺れる尻尾が可愛く、見ていて楽しい。
E-moteで動かしているのは会話相手だけではないのも好印象。
例えば、こんと話している時に、その内容に応じてしろも動く。
ただし、E-moteは立ち絵のみに使われており、イベントCG、特にHシーンには使われていないので注意。
みんなで花火をする場面や、しろを肩車する場面、こんと水遊びをする場面のイベントCGがお気に入り。
【ボイス】
とても良く合っている。
しろの声は、元気な少女らしい緩急と抑揚のある声。
こんの声は、落ち着いた調子の柔らかい声。
しろとこんの声質がいい感じに対照的で、どちらの声も聞いていて大変癒される。
しろが床の上を転がる時のセリフ、「ごろごろー」が可愛い。
【音楽】
どの曲も全体の雰囲気とよく合っている。
特に、ギターと篠笛の優しい音色が印象的。
昼はアコギで元気にジャカジャカ、
夜はクラギでしっとりポロロン、といった感じ。
OP曲『天気雨』も、元気でいて柔らかい歌声と素朴な歌詞が作品の雰囲気に合っていて素敵。
【Hシーン】
・しろ：全10シーン
・こん：全9シーン
興味本位の触れ合いから、イチャラブH、
狐っ娘設定を使った発情期のちょぴり激しいそれまで描かれている。
ケモノミミや尻尾を利用したプレイあり。
射精カウントダウンあり（表示はOFFにできる）。
【総評】
ゆったりとした雰囲気を大切に、丁寧に作られている。
純朴な狐っ娘たちとのゆるい交流が楽しめる、癒やしの作品。
ボリュームと値段を考えるとやや割高感があるかもしれないが、それを補って余りある満足感がある。
穏やかな癒やしをお求めの方に是非お薦めしたい作品。