娯楽、エロ、シナリオ（設定）、全てがまとまった神作品
この作品はまさしく理想的なエロゲーである。頭空っぽでも楽しめて、エロシーンも実用的で、シナリオ（設定）も凝っている。
第一に、この作品でよく見るスプラッタホラーなどの評価はこのゲームの一面でしかない。フィルターをかけてグロシーンを規制してもこのゲームの良さはそれ以外にもあることを知ってほしい。つまり、グロテスク表現が苦手な人でも十分に楽しめる作品なのである。まず褒める点としてキャラが良い。これは設定面とも関わるが役割がはっきりしている。可愛いヒロイン、格好いい大人の男など。ただ、主人公が子供ぽいのは役割上仕方がないことなので自己投影して楽しみたい人には向いていないかもしれない。それでもゴアの愉快なキャラクター性や底知れなさは続きが気になり読み進めてしまう魅力に溢れている。
次にエロシーン。古いゲームながらBGB（バックグラウンドボイス）があり、ヒロインの台詞外でも喘ぎ声が聞ける。テキストを読みながら声を楽しめるのはエロゲーならではではないか。それが台詞外でも楽しめるのは抜きゲーならではのこだわりとも言える。個人的な趣向だが、少女がメインヒロインというのも高得点。
そしてシナリオ。ヒロインごとに違った展開が見ることができ、飽きることなくコンプリートできる。なにより重要なのが選択肢である。昨今のゲームはヒロイン選択以外の選択肢がないこともあるが、選択肢によるマルチエンディングこそ小説とゲームの違い、没入感が段違いである。特にメインであるユカルートは一見分かりづらいTUREとNORMALの違いのその意味合いに気づいた時の衝撃は私の貧弱な語彙では表しようもない。シナリオ（設定）の考察については非常に細かく解説されてる方がいらっしゃるのでぜひ探していただきたい。主人公やヒロインの名前にまで意味があると知った時には設定の深さにため息しか出なかった。攻略サイトを見てもED分岐となる選択肢にどんな意味合いがあるかに想いをはせるだけで、また違った味わいを楽しめる。
以上のように初見でも気軽に楽しめて、エロシーンもそれなりに使えて、プレイ後も考察を読み新たな知見を得られる。エロゲーというジャンルでこれ以上に要点を抑えた作品は他にないのではないかと思われる。