人とアンドロイドの共生という、エロゲでも結構扱われているテーマで、このゲームなりの味をどうやって出してくるのかと期待していたら、まさかのヤマなし日常系。正直何度も寝落ちしそうになった。もう少し起伏があると期待していた落差で、普通のまったり萌えゲーよりも更に退屈感が際立ってしまったんだと思う。
グラフィック(17/20)
さえき先生は体を描くのが上手いですよね。ネクトの色気漂う谷間や、スフィアのプニロリした肢体。いっそエロをもっと充実させて抜きゲーで戦っても良かったかも知れません。ただ現状でもエロシーン中の差分が心許なく、抜きゲーにすると一層不満が募りそうでもある。背景絵は系列の過去作からの使い回しも含め、美麗なものが多かった。
ストーリー(28/50)
何も、産業スパイやら、どこぞのライバル企業のヒットマンやらに狙われて、ドンパチしなさいと言っているワケではないんだけどさ。それにしても、たとえ日常系でももう少し書きようはあったでしょうに。マジで退屈だったし、本当に忌憚のないこと言うと、途中から「早く終わんないかな、このゲーム」とか思ってしまった。
アンドロイドたちが最初から完成され過ぎているのが一番の要因でしょうね。人間との価値観の違いや、それに起因する衝突やすれ違いというものを徹底的に避けてしまったが故に、もはや萌えゲーの聖女ヒロインと何らの差異もないキャラ造形になってしまいました。いや萌えゲーヒロインですら、個別に入れば彼女たちなりの悩みやコンプレックスなんかが表出したりしますから、それよりも尚か。ある意味ではマジで機械的というか、作りもの感は凄まじい。失敗せず、嫌なことは言わず、仕事のサポートもマスコット役も家事当番も、最初から完璧にこなしてしまう。「人とアンドロイドは共生できる」と主人公は豪語しますが、そりゃ出来るでしょうよ。ていうか俺にも作ってくれ。
もっとさ、最初は本当にマニュアル対応しか出来ないロボット然とした子に、色んなものを見せて、色んな体験をさせて、色んな話をして、一から心を育てていく疑似的な子育てを経てこそ、その苦労の分が愛情に繋がる、そういう書き方が一番シックリくるんだけどね。アンドロイド×日常系でいくなら。だから最初は失敗ばかり、人間の望む方向とはズレてばかり、そんなすれ違いがあって欲しかった。そしてそこからの成長物語、家族になっていくまでの苦労を書いて欲しかった。現状、学会で公表した時のスピーチなんかでは凄い頑張って家族の絆を育んだみたいにドヤってたけど、全く真に迫らないよね。上述の通り、最初からここまで完璧に人の望みに沿うセクサロイドを嫌う男なんて居ないし、少なくとも家族になるまでに苦労している描写は皆無に近く……ああ、女性器つけた時に苦労してたけど、まあ、それはリターンが大きすぎるので払う価値満点というか、心情的に「苦労したね」とは言い難いんよね。
主人公が過労で参ったり、空き巣に入られたり、細々としたイベントもあるんだけど、やっぱりコレらの決着もヒロインたちが如才なく看護したり、難なく撃退したりといった形で、完成されたロボットの完璧な対応なんだよね。至れり尽くせりとしか言いようがないヤツ。もちろん主人公も頼りないヒモということもなく、フリーランスの技術屋として金を稼いでヒロインたちを養っているし、日頃の感謝としてデートしたり固形食を改良したりとお返しもしていますけどね。なので彼に甲斐性が無いとかでもないんですが、やっぱりね、これじゃただの萌えゲーと大差なくて、ぶっちゃけアンドロイドじゃなくても成立しそうな感じなんだよね。優しい主人公と優しいヒロインたちが織り成す優しい萌えゲーの共通ルート内でハーレムセックスがある、というだけ。ホントせめて個別があれば、また違った話も書けたんだろうけど。
こうして全体見返してみても、やっぱりアンドロイドだからこそ書けるものを書きたいっていう意欲みたいなのがあんまり見られない気がする。ストレス展開回避しつつ無難にまとめるか、と置きに行った印象の方がむしろ強い。減点要素が多いワケじゃなく、加点要素が極端に少なすぎるために、いっかな点数が伸びなかったという格好。自分はダウンロード版のセールで買ったけど、定価(4800円)で買ってたら流石にしんどかっただろうな。
エロ(16/20)
ルクス7、スフィア7、ネクト2で合計16枠です。本番比率は高め。卑語無修正、射精カウンターあり。シチュとしては王道の和姦が占め、しかし多人数エッチが一度もないという構成。他所でも書いたけど、本当にあかべえはハーレム作んの下手ですね。個別すらない本作で、しかも全員がハーレム完全受容している状態でハーレムエッチないとか信じられない。餃子の王将でチャーハンセット頼んで「完全に別で食べたいんでチャーハン食べ終わってから餃子もってきて下さい」って言うくらい信じられない。そしてこの内容でネクトだけ冷遇する意味も全く分からない。正直ああいう色っぽいスーツの姉ちゃんとか大好物なんだけどな。また、既述の通り体の描き方はいやらしいのだけど、主人公があまりネチっこさが持ち合わせておらず、乳にも尻にも大きな関心を寄せないので、あんまり活きてないのも痛い。
音楽(2/10)
ボーカル曲は無し。BGMも特筆するクオリティの物は無し。というか、一枚絵の差分は微妙で、シナリオもグズグズ、音楽も大したコストもかかってなさそう、という有様で、一体どこにリソースが割かれたのか謎。
合計(63/100)