LAST MISSIONにたどり着くまでがまさにミッション。
LAST MISSIONは良かったですね。ベースは一種の平行世界です。
主人公・板垣といった「トレーサー」が夢で見た悲劇が、
学園を舞台に主人公VS板垣という形で現実化してしまいます。
まさに戦闘のプロ同士の戦い。
部活動の枠を超え、銃撃・白兵戦はもちろんの事、爆破物まで使用する有様。
刻々と変わる戦況、戦略を丁寧に描いていることもあいまって、緊張感があります。
その過程で主人公や板垣の特異な人生が語られるわけですが、板垣は不憫でならないです。
荒れた家庭で育ったせいか、不器用で愛に飢えている板垣。
愛を求めても、手に入らず。そして、情熱を捧げても報われることなく、
夢に見るバッドエンドに一直線。
「凍てつくような寒さの中を、空腹で倒れそうになっても歩くことができる。
何故だかわかるか?それはな、家に帰ればあったけえ風呂に入れるからだ。
でも俺にはそんなもんありゃしねえ・・・。」
シンプルながらもこの例え話が彼の孤独や悲しみのすべてを物語っています。
帰るべきところがなくとも、一筋の光。
奇跡を信じて突き進むという答えを返す主人公とはえらく対照的です。
会話(下ネタメインですが)のキレといい、そういったドロ臭さ・人間臭さといい、
主人公よりも板垣に魅力を感じてしまいました。
・・・主人公は優等生過ぎてね。
雪の降る中主人公を見下ろす板垣の一枚絵でグッときてしまいました。
いや、素晴らしい戦いでした。
やや展開が速いので、も少し丁寧に描けばなおよかったので惜しい限りです。
それにしても、ここまで行くのが苦行です。
及第点をあげられるのが唄ルートくらいのもんでしょうか。後は軒並み総崩れ。
特にひどいのが花梨で、ポテで世界が変わるとか言い出すから思わず期待したじゃないか。
ポテHとか展開が強引だし、あのオチはないよ、いくらなんでも。
スパイ部のミッションもピンからキリまででイマイチ。
先に進むのがおっくうでしょうがないです。
途中で板垣がいなくなると会話のテンポが悪くなってさらに厳しい状況に。
確かに板垣は下ネタごり押しなのでいつもならうんざりするのですが、
あまりの潔さに不覚にも笑ってしまいました。
そうそう、エロなんですけれども、各キャラ2回ずつでシチュも普通という、
あるだけましみたいな有様で残念無念。
3回は標準でお願いしたいところです。
さて、グラフィックですが、こりゃなんとも微妙。。
とりしも氏はともかく綾瀬氏担当の絵なんですが、どうにもこうにも構図が変。
ある方が「原画はもっと数をこなせ」と事前に警告していたのは
このことだったのかと身をもって知りました。
また、背景絵が合っていないのもあります。
サウンドに関しては、BGMは並でOP・ED曲は上出来です。
CVはひなたさん・新堂さん・鈴田さん等そろっているので問題なし。
システムも問題なし。
良いところもあるのですが、悪いところが上回っているため、
差し引きで65点といったところでしょうか。
とにかくLAST MISSIONまでやらないと「何だこりゃ」という作品なので、
最後まで辛抱強く最後までやってみましょう。