プレイヤーへの救いはないのかもしれないが、本当に、〝彼女〟にとっての救いもなかったのか。考えさせられる作品。星野円夏という人間のことを一生忘れない。
星野円夏というキャラクターを思い出してほしい。
彼女は本当に幸せだったのだろうか。救われたのだろうか。
彼女は本当に心の中にマゾヒズムを抱えていたのだろうか。
思春期特有の友達への執着、嫉妬、自己愛。それだけの少女では、なかったのか。
園田は彼女のマゾヒズムを見抜き開花させたと、本人ですらもそう思っているが、
結局彼女はその友達の本心すら知らずに命を落としていった。
でも円夏も結局は「愛という友達を好きでいる自分が好き」というタイプの女の子だと思うので、
自分の本心もわからぬまま、向き合うこともないまま、愛のことだけを考えて自分に酔って死んだので、やっぱり幸せだったのだろうか。
愛と距離を感じていた円夏だが、自分が調教されている姿を愛にみられることにより、秘密を共有できたとでも思っていたのかな。なんて滑稽で、かわいそうな子なんだろうか。
愛が実はどんな人間だったのかなんて知らなくていいこともたくさんある。円夏は知らずに終われたからその点幸せだったとも言えるかもしれない。
でも、自分がマゾヒズムだということも、あんな形で知ることはなかっただろう。本当に彼女が不憫でならない。
不憫でかわいそうでかわいい子、星野円夏。
彼女の物語だけでもう一本ゲームを出してほしいくらいに、私は彼女が好き。