美しいということは、それだけで心を揺さぶるものなのだ
美しいのはグラフィックや世界観だけではなく、キャラクターたちの生き様も同様でした。
束縛から逃れたシオンと、シオンと共に在るという「生きる目的」を見つけた亮。
日常という名の楽園に辿り着き、滅び行く世界で最期の時を迎えようとする彼らの姿は儚く、そしてとても美しいものだった。
この物語は着々と滅亡へと進んでいく世界の断片を描写したに過ぎず、シオンと亮の二人に関する以外のことについては全くといっていいほど描かれていません。それどころかその二人の物語にしてもあっさり風味で、号泣するほどの感動があるとか、プレイ後大きなカタルシスが得られるとか、そういったことはないかもしれません。
それでも、美しい世界で懸命に生きる彼らの姿は心に響き、暖かいものを残してくれました。
短いながらも非常に幸せな時間を与えてくれた名作だと思います。