100点中100点という信頼性のない点数を付けてしまっていますが、ハピエン厨の自分にとっては気持ちの良いまま最後まで駆け抜けてくれる稀有な作品でした。ED入った時の脳内感想は「めっちゃいい作品だった」というのが頭悪いながら正直な感想です。とりあえず体験版の感覚からそう大きく外れることはないと思うのでそちらから是非やってみて欲しいです。
どの登場人物に主眼を置くかというのは作品によって異なりますが、今作は主人公が主人公していた点や、登場人物たちがみんな設定上の人物なだけでなく意味があったところが好きです。主人公だけでなくモブも含めてフルボイスなことに劇として意味があったと感じました。希望や好意みたいな善性がつながって盛り上がっていく手法は少年漫画的で大好物です。
本ページの作品情報でプレイ時間中央値に関して気になった点があります。中央時間5時間というのはボイスを聞かず、駆け足でプレイしている方が多い印象を受けるくらい早すぎます。自分は全てオートでプレイするので時間感覚的には半日以上かかりました。
確かに短編ではありましたが、その濃縮感もあって個人的にはボリュームに不足を感じることはありません。
作品の個々の面で気になった点から触れていくと、まずビジュアル面については殆どの人が満足できるレベルだと思います。
特に背景美術が特徴的で上手くキャラクターに馴染ませられていて、短編だからというのもあるとは思いますが主張の強いそれぞれの映像素材をまとめ上げていた感じがします。
素描で見せている素材に対して変に撮影処理を入れないところも合っていました。
UIも使わないものが半分あれど(特にSNS投稿の必要性は疑問です)、非常にわかりやすい配置と明瞭なロゴで視認性が良かったです。あえて言うならポップアップ形式で集中したいというタイプのプレイヤーに向けて選択できる余地があっても良かったのかもしれないと思うくらいです。
音楽に関しては専門知識がないので良し悪しではなく好き嫌いになってしまいますが、感想は特にないです。というとアレなのですが、感想がないという点を評価しています。ソシャゲやアニメ、邦ドラにここ10年ほどで目立ってきた自己主張の激しすぎる音楽でなくBGMに徹していてあくまでシーンの雰囲気を出すためだけの素材として存在しているのは非常に好ましいです。
反面ボーカル楽曲のインパクトはもっと欲しかったです。過去聞いたsajou no hana楽曲は格好良くて印象に残るものだったので少し残念です。パワフルなタイプの歌手という印象があるのでOPでは作曲が付いてこず、EDでは歌手が走りすぎてるといった感じです。
デメリットに感じた点はキャラクターボイスの音量差が大きいところです。表現と芝居の幅を広げるという面で意図的なのかもしれませんし、そもそも好みの範囲ではあります。しかし個人的にオートで適当に流し聞きしているような集中力を伴わない場面でノーマライズの必要性を感じました。
ムービーに関してはあまり触れたいレベルではありませんが一応少しだけ。やはり素材を提供されるだけで映像作品を作ってくれと言われても無理なんだろうなという感想です。見ていて素材の色味や音源に振り回されて映像で表現するべき作品のキモがぼやけすぎているなと感じた程度で、それ以上の興味が出ない映像でした。