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t2さんの何処へ行くの、あの日の長文感想

ユーザー
t2
ゲーム
何処へ行くの、あの日
ブランド
MOONSTONE
得点
80
参照数
442

一言コメント

「鬱」と驚きの展開で魅せるシナリオ。マージを題材にした世界観が面白い

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

呉氏のシナリオは漢字1文字で表すと「鬱」
常に予想外のところからどん底に落としてくれる、でもその鬱は痛みではなく面白さに変換される
そんな作風です
各ヒロインルートも安易なハッピーエンドなどではなく見事に落としてくれましたね
「死」を描くのがうまいライターで、サドンデスがある展開運びが良く出来ています

普通タイムトラベルと言ったら何かの道具を使うか超能力を使うかが思いつきますが
薬物による過去改変なのは斬新でしたね
最初は過去が変わっているか変わらないかわからないくらいの絶妙なラインを見せて
マージの可能性が、薬物としての中毒性、昏睡に繋がるところは見事でした
「虫食い」や「敵」なども普通ではないセンスが光ります
「セカイ系」や「夢と現実」というテーマはありふれていますが、
呉氏のシナリオは見せ方を変えることで新鮮に見せて驚きを与えてくれるます


悪いところはたくさんあります(笑)完成度は全然高くないです
でも一転突破出来る良い部分がたくさんあったので満足度は高く、多少の不満点は目を潰れます
それでもどうしても気になったところは
●CG塗りが悪い
8年前のゲームというのを差し引いてもレベル低いです
●共通ルートが長い
プレイ時間15時間中、1時間以上はスキップタイムでした
●ラストがご都合展開ハッピーエンド
ここまで来たら鬱エンド希望だったのに。千尋の能力で全部解決したのはご都合展開としか言えないですね


シナリオゲーが好きな人にはお薦めです
設定は難しいですが説明はあるので理解には困らないタイプ。伏線は全部回収しています
1から10まで説明してくれるわけではないので、「なんとなくわかればいい」人向け