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t2さんのお家に帰るまでがましまろですの長文感想

ユーザー
t2
ゲーム
お家に帰るまでがましまろです
ブランド
ま~まれぇど
得点
76
参照数
1358

一言コメント

【これは抜きゲーです】コメディ要素とお約束展開がかなり多め。主人公とヒロインの恋愛を避け続ける内容なので、「イチャラブ」が出来ているのが汐ルート後半のバブみパートのみというのが何とも。絵が綺麗でモザイク極薄で、ヒロイン達が淫魔の如く襲いかかってくるので、和姦萌え系抜きゲーだと思って買うならば良さげな作品。(萌えゲーとしては45点)

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

インストール容量は4.32GB

春日部花音
CG21枚 (通常CG6枚 / HCG15枚)
回想7枠 (本編4回 / エピローグ1回 / おまけシナリオ2回)

朝霞汐
CG21枚 (通常CG7枚 / HCG14枚)
回想7枠 (本編4回 / エピローグ1回 / おまけシナリオ2回)

皇鈴紗々
CG20枚 (通常CG6枚 / HCG14枚)
回想7枠 (本編4回 / エピローグ1回 / おまけシナリオ2回)

礼羽ライコネン
CG21枚 (通常CG6枚 / HCG15枚)
回想8枠 (本編4回 / エピローグ2回 / おまけシナリオ2回)

その他    CG3枚 SD絵8枚
合計     CG86枚 回想29枠

BGM30曲 ボーカル曲5曲


画面サイズは1920×1080です。

過去作から背景を一部使い回しています。

ヒロインルート選択画面でセーブしておくと2週目以降の攻略が楽になります。


シナリオライターは◆8人◆です

・吉川芳佳
・水瀬拓未
・ひなぢとり
・筆氏名
・近江谷宥
・田中珠
・澤村顕(AHEAD)
・髪ノ毛座

オマケエッチシーンのみ担当のサブライターもいるようです。
なので各ルート毎にキャラの性格が変わる他、Hシーン毎にもヒロインの性格は変化します。


■萌えゲーSide

『ましまろ』の前半は以下の3つから成り立っています。

1.お店がピンチになった
2.主人公《宮原亮》の天才的な閃きによって解決する
3.宮原くんしゅごぃよぅー

素人発想で困難を解決していくストーリーになっています。本当にこれで経営が良くなるの?という主人公の行動が多かったですが。
「主人公活躍型萌えゲー」自体は(どちらかと言えば)私の好きなジャンルなのでいいんです。ちゃんと主人公が活躍していればの話ですが。


個別ルートはどれも、2人の恋愛を他のヒロイン達が応援していくという形式になっています。一見とても良さそうに見えますが、いくらなんでも比率が偏りすぎです。
主人公は鈍感に徹して絶対に自分からは動かない縛り。ヒロインの行動は常に空回りし続けます。2人だけでは恋愛できないよう強制的に恋愛弱者にされます。
《JC》達が恋愛感情の全てをプレイヤーに解説してくれるいらぬ親切設定。恋愛応援がいくらなんでも多すぎますね。外野が煩すぎたと思います。

恋愛とは2人でするものです。イチャラブとは2人でするものです。常に全キャラに平等に出番を与えれば2人だけの時間は少なくなります。
共通ルートが8時間ほどあり、個別に入るとすぐにヒロインを意識し出すも主人公の方からは動かず、お店の仲間達に恋愛介護される日々が続きます。
ようやく告白したと思ったら、エロ重視のゲームなのでエロばかりで2人きりの時間が無くエンディングを迎えます。これではヒロインとの恋愛の魅力が伝わってきません。

とにかく「全員出す」「ヒロイン同士の掛け合い」を優先していて、男の恋愛を軽視しています。
主人公が空気型なら合うかもしれませんが、《宮原》くんは活躍型でインパクトがかなり強く、さらに恋愛に鈍感なところをしつこいくらいに強調してきます。
「活躍主人公」と「恋愛に鈍感」が極端すぎてアンバランス。両方やろうとするから恋愛応援したくなくなるヘンテコな主人公になっているんですよね。

では「個別ルート方式」+「2人だけのイチャラブ」+「他ヒロインの出番を減らさない」を全て満たすにはどうすればいいのか?
答えは単純に「告白後のシナリオの長さを増やす」です。告白した後に別途に2人だけのイチャラブイベントを大量に入れればいいだけです。
共通パートだけ増やしすぎてもイチャラブエロゲーにはならないということです。


『ましまろ』は外野は煩い。では出番を減らされたヒロインはどうなのでしょうか?
《ライライ》は「ずっきゅーん」と連呼しているだけです。何かあるごとに「ずっきゅーん」、これが恋愛なのでしょうか?
このゲームのキャラは「リアクション芸人」のようで、大げさな反応をすればいいと思っているようです。

コメディ要素が非常に強いエロゲーであることも挙げます。
BGM「09. roller coaster」(ギャグシーンで流れる曲)がめちゃくちゃ多く、「20. creme brulee」も多い。
ワンパターンなコメディと音楽の使い方や演出までワンパターン。

例えば共通パートでは《紗々》と《ライライ》は同時攻略していくわけですが、本来この2人は性格が180度違うはずです。
ところが恋する女の子モードになると2人とも同じように主人公にデレ始めるんですよね。
これは主人公のアクの強さが影響し、ボケに対する突っ込みがワンパターンだから、ヒロインの個性を消しているのだと推測できます。

4ルート全てで告白までを勘違いネタで引っ張るのも同じです。同じネタを繰り返されれば飽きてきます。
恋愛を見たいのに、感情のすれ違いだけでは恋愛は発展しないのです。
お約束展開というか、先が全部読めてしまう展開ばかりで、ストーリーに面白みもなく、(※萌えゲーとしての面白さというのもあるんです)
かといってキャラ個性も死んでいます。私は『ましまろ』を萌えゲーやイチャラブゲーだとは認めたくないですね。1人を除いて。



●朝霞汐

最近誰かが流行らせようとしている「バブみ」は本当に人気ジャンルになり得るのか良くわかりません。
「お姉ちゃん」と「ロリ」は相反する属性で、年上+ロリはロリババアと呼ばれる属性になります。
「ロリ」+「巨乳」は巨乳属性、「ロリ」+「ババア」はババア属性であってロリではないです。

《店長》は普段は声が低く、頭ましまろなメンバーの中では比較的常識人で、ガールズトーク中でも暴走は少なく他ヒロインとの差別化はできています。
この手のボケキャラ中心のエロゲーでは、まとめ役や大人ポジションがいると物語が引き締まります。
一方で主人公と対峙すると声が裏返るシーンも多いのですが。まあそれでも他の人よりはマシでしょう。
属性はお姉ちゃん属性です。もうちょっと《花音》との姉妹関係のイベントがほしかったとも思いますが。
特にロリらしいところはないのですが、どうもこのスタッフはこの子をロリにしたいようです。特にエロシーンでは幼児体型をしつこいくらいに強調してきます。
お姉ちゃんに甘えるのは普通(!)のことで、私はロリだから《汐》さんを好きになったわけではありません。

《汐》ルートも告白までは他ヒロインと同じように勘違いネタと恋愛応援が続くのですが、
告白後は
・《汐》→《亮》 お姉ちゃんとして主人公を甘やかす
・《亮》→《汐》 弟なりきりでお姉ちゃんに甘える
とお互いの恋愛感情が交差しているので甘いイチャラブになっています。(他3人はヒロインからの一方的な想いぶつけ)
主人公をちゃんと描写するのはイチャラブエロゲーで大変重要なことです。「ロリだから」や「バブみだから」だけで人気が出たのではない、と信じたいです。

ま~まれぇど「吉川」主人公のポジティブさには、精神力の高いしっかりしたヒロインや、主人公に流されにくいお姉さんキャラが似合うような気がします。




■抜きゲーSide

本編エロ4回ずつ。
エンディングテロップの後に1回エロがあってタイトルに戻ります。さらにおまけシナリオでエロ2回ずつ追加です。
ライターさんは8人なのでエロだけ担当のライターもいると推測でき、エロテキストやキャラの性格等にバラつきがあるので注意。

元データは2010×1170で収録され、ほんの少し縮小&上下カットして表示しているようです。
CG数や回想数は過去作よりも少し増えています。HCGは58枚ですが、さらにCGのカットインも多く数字以上に多いです。差分も多い。
フルHDの高画質に加え、モザイクも業界最薄の前作からさらに薄くなりました。形もくっきり見えるほどです。
CGの美しさはモザイクも含めます。8月に出た某FDは反省してほしいですね。

卑語音声は無修正になりました。
「ま~まれぇど」ではお馴染みの朝までドロドロになるまでセックスし続けるシーンは全ヒロインにあり。
ただそれ以外は1CGにつき1回戦が基本です。エロテキストは長いですが萌えゲー+α程度のものなので注意。エロさはCGの良さによるところが大きいです。

ヒロイン4人とも常に発情していて主人公に襲いかかってきます。淫魔かサキュバスかのように常にセックスを求めてきます。
エロシーン自体は受身ではないものの、導入までは《宮原》くんの紳士ぷりを強調していますね。




■総評

萌えゲーだと思って買っちゃダメです。精々《汐》のお姉ちゃん属性がいいくらいで、「萌え」はありません。
そして全く笑えないコメディがずっと続くだけのマンネリな内容。「ラーメン●郎」のようなこってりした方向に進化しちゃっています。

抜きゲーとして見れば、ヒロインはみんな淫乱でエロエロ。絵や塗りがとても良く、エロシチュへのこだわりが見られます。
ただしエロテキストはエロ濃い目の萌えゲー相応でした。
最初からセーブデータを当ててエロだけ見て楽しんだほうがいいと思われます。



主人公のことばかり問題視される本作ですが、「吉川芳佳」さんの書く活躍型主人公自体はま~まれぇどの「個性」であって「悪」ではないと思うんですよね。
恋愛応援と外野の煩さがちょっと限度を超えてしまって、その影響で鈍感主人公やすれ違い会話がマシマシになっている点も大きな問題ではないかと考えています。

この「個別ルートに入っても他ヒロインの出番を減らしたくない」の需要を最優先するなら、
「吉川」主人公を完全に捨てて他のエロゲーのような空気型を目指す必要が出てくると思います。
逆に「吉川」主人公を生かしたいなら、告白後に重点を置いたほうがいいでしょう。どちらかに偏らせたほうがいいと思います。