【アンチ萌えゲー】愛、初恋、失恋。独特の構成で語られる「物語」は綺麗な話だけじゃない。 序盤はあっさりシナリオだが少しずつ良くなっていき、後半の展開には驚かされた
※【ネタバレあります】
※【ネタバレすると楽しめなくなるシナリオだと思うので未プレイの人は長文感想を読まないほうがいいです】
インストール容量は3.16GB
《南乃ありす》 CG15枚(通常CG9枚、HCG6枚) 回想4枠
《時計坂零》 CG7枚(通常CG3枚、HCG4枚) 回想3枠
《時計坂カノン》 CG6枚(通常CG3枚、HCG3枚) 回想2枠
《零&カノン》 CG3枚(通常CG3枚)
《周防聖》 CG15枚(通常CG9枚、HCG6枚) 回想3枠
《柏崎美衣》 CG11枚(通常CG7枚、HCG4枚) 回想2枠
《藤田崑崙》 CG8枚(通常CG4枚、HCG4枚) 回想3枠
《梢あけみ》 CG4枚(通常CG2枚、HCG2枚) 回想3枠
《加藤恋》 CG3枚(通常CG1枚、HCG2枚) 回想2枠
《サブキャラ》 CG3枚(通常CG1枚、HCG2枚) 回想2枠
その他 CG7枚
合計 CG82枚、回想24枠
BGM28曲 ボーカル曲は4曲 (「Dragon Burger」は通常BGM扱いのようです)
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■■構成
基本的に一本道です
特定のルートが終わるとタイトル画面に戻るのではなく、物語はそのまま続いていきます
ヒロインと恋に落ちてエッチなことをするけど、それでもお話が続いていくのが魔女こいにっきの特徴です
私は プロローグ→《あけみ》→《零&カノン》→《カノン》→《美衣》→《恋》→《聖》→《零&カノン》→《崑崙》 の順でプレイしました
《ありす》の物語は間にちょくちょく挟まってきます
●1.魔女こい日記を読む《南乃ありす》視点
●2.魔女こいにっきの中の主人公《桜井たくみ》視点
●3.《たくみ》と《ありす》の物語「Cinderella Story」
の3つのシナリオが展開していく特殊構成です
例外としてグランドエンディング後に、シークレットエンドが存在します
見る条件がちょっと面倒(ひらすらスキップ)。蛇足なので別に見なくてもOKです
■■主人公と純愛萌えゲー
純愛萌えゲーとは言い切れないです
このゲームの主人公は女たらしで、女の子を見るとすぐに口説いてお持ち帰りします
恋愛の過程を飛ばしてSEXすることも多くて各ヒロインとの恋愛感情は薄いです
例えば、パッケージに載っているヒロイン《零》は簡単に押し倒されて「ちょろい女」の烙印を押されます
主人公は後で「そんなつもりじゃなかった」「君はちょろくなんてない」と必死に言い訳しますが
ヤったあとにいくら言い訳しようと失われた処女膜は戻ってきません
・・・しかし便利な設定があります。「幻術」都合よく全て無かったことにする魔法
失われた処女膜もそもそも破られておらず純潔は無事だとアピールできます
ヒロインのエンディング後に「ヒロイン達が主人公の思い出を忘れる」設定です
相手は忘れているのに、《たくみ》君は寂しさから次の女の子を口説いていくという構成
なかなかのクズ主人公と言えるでしょう
抜きゲーぽい「幻術」設定をちゃんと生かせればいいんですが、残念なことに非常に残念なことに【エロ薄】です
数十クリックで終わるエロシーン、早漏な《たくみ》くん
どこかで聞いたことあるような声優の千葉山もみじさんのやる気を感じられないエロ演技
まあライターの時点でエロが駄目なのはわかっていたことですが
《南乃ありす》女性視点がメインになっていることと《桜井たくみ》の手の早さから
エロゲー的要素の他に少女漫画ぽい作風も混ざっているように感じられます
男キャラが少ない割に女性キャラはやたら多く、サブキャラの恋愛のエピソードもあったりします
やたらでかい取扱説明書では《たくみ》が主人公と書いていますが
実質《南乃ありす》《桜井たくみ》のダブル主人公扱いですね
■■CGとかエロとか
CGは【使い回しがかなり目立ちます】。服装もCGも節約指向ですね
82枚とそこそこあるようにも思えますが、メイン格6人にサブキャラもいるので1人1人はそこまで多くはない
HCGも使い回しばかりです。《梢》先生のバイズリなんて1枚で3回も使い回し・・・
なので回想自体は24回分ありますが、実際はもっと少ない印象
エロは全く使えないので期待するのは止めましょう
バイズリと外出しがやや多め。それなりに精液差分はありますが次のCGでは汁が消えていて微妙
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■■シナリオとかキャラとか
面白くなったのは《カノン》ルートからなのでそれ以降について軽く書いていきます
●《時計坂カノン》…もとい《佐納歌音》
過去シナリオです
背景から衣装から全て使い回しなので、いつの時代なのかイメージが掴みにくいのが難点
普通の純愛シナリオはこれが初。種無し=想像妊娠って(笑)
個別ルートの時点でも年貢を増やす辺りに少し黒さを感じられます
《零》よりはストーリーに関わってきそうなキャラとは思ったのですが
いきなりのボス化にびっくり、そして倒されるまでも早かった
《たくみ》に情報をたくさん与えてくれる初代《カノン》は悪になりきれていない甘さが魅力に繋がっています
●《柏崎美衣》
ヤキモチvsスケコマシ
《たくみ》の口説き癖がかなり酷いシナリオ。彼氏彼女になっても口説き続ける強い意志を持っています
BGMにボーカルを付けて歌わせるのも面白いところ
思わず「ドラゴンバーガー~」と口ずさんでしまう。わかりやすい曲調と軽快なテンポがいいです
《美衣》シナリオはエンディングがいい
「死ぬ」や「別れる」は泣きゲーの基本要素。そして忘れられる展開も昔ながらの泣きゲー要素です
みんな忘れていく中で最期の散髪会話はじわっと来ました。「バカヤロー!」
●《周防聖》
天然ボケでギャグ色の強いタイプ
放っておけないヒロインのために積極的に動く主人公に、デレた後のギャップが魅力です
宗教関係ヒロインは強い信仰心があり頑固者が多い気がします
道徳要素が強いシナリオで、葛藤も「よくある話」でしかなく
赤ちゃんを拾うのも母親が会いに来るのも、後半からエンディングまで展開が全部読めてしまいました
ベタなのもいいですがあまりにも想定通りなのも退屈です。作られた「物語」らしさがちょっと強すぎましたね
●《時計坂零》
プロローグでちょろい認定された可哀想なヒロイン
フォローとして終盤にミニデートとエロ3回目は用意されていますが
既に《たくみ》の心は完全に《ありす》に向いているのに、《たくみ》が《零》を抱くのは、本当に可哀想ですね
「時計坂家の長女として」が口癖ですが、そっちにも可哀想な設定が
12針は幻とはっきり答えを書いているのに可能性に気づけないずに、まんまとやられてしまいました
厨二バトルで長々と引っ張ることなく高速展開で勢い重視なのがGood
CG節約指向の本作では珍しく、ちゃんと《零》の半透明立ち絵を用意したのもポイント高い
●《藤田崑崙》
《零》と《ありす》の正体が立て続けに判明し高テンション状態の後に
まさかのイチャラブ萌えシナリオ(笑)《崑崙》のキャラ壊しすぎぃぃぃ
無口キャラがいきなりデレデレお喋りキャラになるのはものすごく違和感がありますが
可 愛 い か ら こ れ は こ れ で 良 し
物語の立場的に彼女のエロを入れると強引な展開になるのは仕方ないです。嘘でもいいじゃないですか
●「Cinderella Story」
Ⅰは正直つまんなかったです
シンデレラのパロということは、展開がわっている話を見せられるということで退屈
どこかで見たことあるキャラの使い回しで緊張感ゼロ
これはギャグシナリオなのか何かの伏線なのか判断がつかない状態で混乱しました
《ありす》と《たくみ》が出会うシナリオはこれが初。《たくみ》のキャラも結構違っていて違和感
Ⅱの中盤以降はシンデレラパロも終わり普通に読めるように
でも同時期の《美衣》エンドや《零》の正体がかなり良かったため、《ありす》のインパクトが弱く感じました
《ありす》視点で語るとギャグっぽくなりがちなんですよね
●《南乃ありす》
開始早々はっきりと回答を書いているよ……何で気づけなかったんだうわあああああああ
《零》パート前半で《ありす》が普通じゃないことを示唆する表現がありました
《崑崙》には見える《バラゴン》憑き?くらいで納得しちゃったんですよね
他のヒントは《けーこ》(偽物)の態度。本名が出てないことから推理可能だったのに
読み返してみると伏線は結構ありますね。あーまんまと騙されました
《ありす》BはCG・立ち絵ともに完全に0枚です
絵的に見て面白くないのと、CGで荒れる要素を作りたくなかったということなんでしょう
私としてはCGありでさらなる衝撃を与えてほしかったですね
「Cinderella StoryⅣ」で《ありす》のCGは全部埋まりラストも使い回しです
メインの割にヒロインとしての萌え要素・魅力は不足気味。
やはり《ありす》はヒロインではなく「主人公」という位置付けで見るのがいいようです
最後はぱっと見た目はものすごくハッピーエンドぽい
でもよくよく考えると・・・みんな消滅しちゃうんですよね
「物語としてはハッピーエンド」「《たくみ》と《ありす》にとってのハッピーエンド」
の2つは満たしているのできっとハッピーでいいはずです
●「蛇足」?シナリオについて
《ありす》正体発覚の後に《崑崙》シナリオと《零》のエロを挟みます
《崑崙》でかなり明るい話になるので空気を壊す可能性がありますね
この2つを飛ばして一気に《ありす》グランドエンドまでやったほうが物語としてはよかったでしょうね
無理に本編にエロを入れるより、クリア後のおまけシナリオに回すのも手です
まあ私としてはデレ《崑崙》はアリなのですが
もう1つの蛇足?要素がシークレットエンドです
出現条件が
1:グランドエンド後にタイトル画面で放置
2:魔女こいにっき本編の4ヶ所の「アリスフラグ」を回収する
特に条件2が厳しく、セーブデータをしっかり残していればそこから開始すればいいのですが
どこにフラグがあったのか正確に覚えている人はまずいないでしょうし、
最初からずっとスキップして終盤の《崑崙》シナリオまでいかないといけないので大変です
しかも内容が「本編に殆ど出てこなかったキャラの話」「突然のグロエンド」と意味不明
語り手と読み手。プレイヤー視点で他の女の子に手を出していく主人公に対しての苦言なんでしょう
シークレットエンドは無理して見なくていいです
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■■総評
癖の強い主人公と女の子の恋愛話をメインに
「萌えゲー的なシナリオ」と「萌えゲーではあまり見られなくなったシナリオ」を両立させています
例えば絶滅の危機にある眼鏡キャラをあえて使うなど、挑戦的な作りになっています
基本的に「物語の中はなんでもアリ」なのでこれをまとめるのは難しいのでは?と心配しましたが
意外とまとまっていて綺麗に終わってびっくり
テンポ良く読める感動・泣きゲー路線ですね
物語はHAPPY ENDだけじゃない、でもBAD ENDでもない
そんな幸せな終わり方があってもいいんじゃないですか