「だから、私が大好きなこの物語は、絶対ハッピーエンドにしたかったんだよ」
●攻略ヒロインは4人
●シナリオライターは4人(+サブのすかぢ)
●原画も4人
4つの物語はそれぞれ作風が異なります
さらに、この作品は全ルートで「前半」と「後半」に分かれています(《雛桜》は3分割)
悪く言えば「纏まりがないゲーム」です
■■ジャンル
パッケージに雰囲気ゲーと書いています。が全編雰囲気ゲーか?と言われれば疑問
●《雛桜》ルート以外は「伝奇・ファンタジー」です
●《雛桜》ルートだけは「雰囲気ゲー」で合っています
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■■各ルート概要
●共通 3時間程度
●《金剛石》ルート 5時間程度
前半 金剛石シナリオ (エロあり)
後半 瑠璃子シナリオ
●《ルカ》ルート 6時間程度
前半 ルカシナリオ (エロなし)
後半 エロ後日談
●《詠》ルート 5時間程度
前半 詠シナリオ (エロなし)
後半 エロ後日談
●《雛桜》ルート 10時間程度
前半 ヒナシナリオ
中盤 雛桜(10年後)シナリオ (エロなし)
後半 エロ後日談
※《金剛石》ルート以外はストーリー中にHシーンはありません
※《雛桜》ルート以外は「文学的要素」「ファンタジー要素」を含むシナリオです
※《雛桜》ルートは「子供編」と「10年後編」で2ルート分あります
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●《金剛石》ルート前半
「世間知らずのお嬢様」属性のキャラクターです
恋愛知らずのお嬢様が恋愛を知ろうとする、まあよくある話ですね
さらに主人公の《陽介》まで恋愛初心者です
男の方がリードをせずふたりでダラダラとするだけなので、ちょっと厳しいシナリオ
2人とも中途半端に性知識だけはあるせいで、初々しいカップルからも程遠いです
●《金剛石》ルート後半
「こんなもので私を認めるおつもりですか?」
試験に合格したら突然性格が変わる主人公、そして《金剛石母》も性格が崩れていく
1つの《金剛石》シナリオなのにここからキャラも作風も変わります
夢ネタは未来視系能力かな?と予想しながら読んでいたら、いろいろと予想外の展開に
>【瑠璃子】
>「けど、そうですね。金剛石さんが明日葉さんに相応しくないと判断したとき
> はわたくしが貰ってしまうかもしれませんね」
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(.___,,,... -ァァフ| あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
|i i| }! }} //|
|l、{ j} /,,ィ//| 『おれは金剛石を攻略していたと
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ 思ったらいつのまにか瑠璃子さんを攻略していた』
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも何をされたのかわからなかった…
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
/'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ 催眠術だとか超スピードだとか
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
ょぅじょゲーだと思ったら熟女属性もカバーしていた!
これは《瑠璃子》さんルートと言っていい内容です
「ひまなつ」は様々な方面に気を使った作りになっていますね
このルートの《陽介》は好きになれない
一見熱いキャラに見えて中身はボロボロタイプ
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●《ルカ》ルート前半
「エロス」と「ミステリー」のバランスがいいシナリオ
どちらの要素もそれなりで、起伏があるテキストになっています
まあ盗撮犯の正体はすぐに予想出来たんですけどね
青バラのシーンだけは雰囲気ゲーになる
音楽に頼っている感じもしますが綺麗にまとまったストーリーです
ただ飛び抜けていい要素もないです
●《ルカ》ルート後半
事件解決後の後半はシナリオらしきものは一切なく、ただ恋愛してえっちなことをするだけです
クリア後のオマケシナリオ。イチャラブとしては平凡な出来
宗教的理由で避妊しないのは好感
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●《詠》ルート前半
怪談探検3回分がかなり退屈です
不思議世界や裸サービスで頑張って引きつけようとしていますが
予想外展開ではなく意味不明すぎてついていけませんでした。
反面、伝奇話になると一気に引き締まり
《夏咲詠》のお涙頂戴死ぬ死ぬシナリオにはやられました。死ぬ死ぬ系には弱いです
2人と1匹の過去の物語が綺麗に描かれています。ここはすごく良かった
>【ナナ】
>「つまりだな。今のお前は、完全な寝子麗になる事も、また逆に人間になる事も出来る」
>
>【詠】
>「人間に!?」
ええええーーーーーーー!!!!人間になれちゃうんですかーーーーーーーー!!!!!
今までの伝奇説明を完全に無視して、突然の転生展開????
>【ナナ】
>「ああ! もう茶番はいい! もう、とっとと答えを出せ!」
今までの話が全部茶番に見えてきました
《詠》消滅エンドとか、黒猫のまま永久に喋れなくなるエンド(→雛桜ルート)とか
それくらいの展開は覚悟していまのに、まさかの超ご都合主義に落胆
2013年のエロゲーは「絶対ハッピーエンド」じゃないと売れない、ということなんでしょうか
私はハッピーエンドが嫌いなわけではないですが、物語の過程を重視しないハッピーエンドはあまり好きじゃなりません
次の《雛桜》ルートは現代から未来までの2人の関係と成長をしっかり描いているのとは対照的に
《詠》ルートは黒猫の過去に重点を置いています
現代の《詠》はほぼコメディ調のエピソードであり感動要素はなし。《陽介》と触れ合うことで人間を知ること、が全然足りていない
詠が人間らしく「成長」したと言われてもちょっと受け入れられません。転生展開(ゴール)にたどり着くにはまだ早いですね
「Human Being」が自分の中では受け付けない事項の1つなのかもしれません
パート単位だとすごくいいところもあるのに、
全体としてのまとまりに欠けた、完成度の低いシナリオでした
《詠》のキャラがかなり弱かったのが残念です
J・さいろー氏のテキストは、主人公とヒロインとのキャラ会話量が多いことが特徴なのに
今回はさいろー氏らしくないテキストでしたね
●《詠》ルート後半
いつものJ・さいろー氏が帰ってきた
尻文字(笑)。この馬鹿さが楽しいです
《詠》ルートは《陽介》と《詠》との(現代での)恋愛要素が殆ど無いので特にエロが必要ないシナリオです
「死ぬ死ぬ泣きゲー」系は2000年前後に流行った某有名メーカーのゲーム「K」や「A」の流れを汲むものです
あの時代のシナリオゲーは「エロはおまけ」と割り切っていたものも多かったです
Windowsゲームでは全年齢より18禁のほうが売れる。「エロゲーだから」無理にでもエロを入れたり裸サービスを入れたりします
最悪、既読スキップでエロを飛ばすこともできます
私は不要な萌え話やエロがあっても問題ありません(《詠》ルートがそこまで完成度の高いシナリオだとも思っていませんし)
昔の泣きゲーも、今のイチャラブゲーもどっちも大好きですよ
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●《雛桜》ルート
これが真の雰囲気ゲーだ!!!
《ヒナ》と一緒にお風呂に入ったり一緒に寝たりとほのぼのとまったりと暮らす夏休み
子供キャラのうざい/うざくないのギリギリのバランスで絶妙
本当に空気が良く楽しくプレイできます
ヒナのサポート役として《ヨミ》の活躍もいい
他シナリオと違い文学要素・ファンタジー要素はほぼありません
人間ドラマになっており、主要キャラのキャラがしっかりと立っています
なお誕生日ケーキの蝋燭は6本でした
このゲームに登場する人物達は全て18歳以上です
●《雛桜》(大)ルート前半
,, _
/ ` 、
/ (_ノL_) ヽ
/ ´・ ・`l ょぅじょは死んだんだ
(l し l) いくら呼んでも帰っては来ないんだ
. l __ l もうあの時間は終わって、君もJKと向き合う時なんだ
> 、 _ ィ
/  ̄ ヽ
/ | iヽ
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《雛桜》(大)は見た目だけではなく、一人称等の口調も変わるので違和感は大きい
別のキャラを攻略していると認識してみます
《陽介》視点の他に《雛桜》(大)視点も非常に多く、2人の感情を丁寧に丁寧に描いているのが好感です
一見無駄に見えるイベントもちゃんと《雛桜》(大)を掘り下げる内容になっていたりと、長い話なのに退屈しません
母親探しでテンポ崩すのでは?と心配していたのですが思ったよりスムーズに消化出来ています
最初から最後まで一貫して《陽介》と《雛桜》の2人の物語。全くブレることはありません
一本のシナリオとしての完成しているので《雛桜》ルートの評価は高いです
《ヨミ》には最後まで喋らせず。台詞なしの黒猫なのに存在感がありじわじわくるものがあります
「寝子麗」になった黒猫は《詠》ルートBAD ENDみたいなもの、でもこんなにも幸せないい終わり方にもできる
あとギャグとパロディが絶望的に寒かったです。アスタさんのテキストの弱点
●《雛桜》(大)ルート後半
>雛桜(大)
>「陽介は自分がドーテー卒業する相手を、10年かけて育ててたってことになるのか……」
>「……そう考えると、とてつもなく遠大な計画だったね」
光源氏計画がついに発動
0歳児の時から目をつけていた《雛桜》を攻略完了します
31歳の童貞主人公も珍しい
夫婦になってもあまり《雛桜》(大)は変わっていないような。最初からデレデレキャラですもの
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■■CG■■
●《金剛石》 原画:高苗京鈴
通常CG8枚 HCG13枚
●《ルカ》 原画:硯
通常CG13枚 HCG11枚
●《詠》 原画:狗神煌
通常CG16枚 HCG11枚
●《雛桜》 原画:基4%
通常CG6枚
●《雛桜》(大)
通常CG13枚 HCG10枚
キャラ格差があるので注意。ヒナ子供時代のCGが少なくても泣かない
複数原画で統一性は全くありません。すごく違和感がありますがすぐに慣れました
立ち絵をうまく使っています
新イベント毎に新立ち絵で魅せてくれたり、シナリオに合わせた差分が好感
10年後CGもちゃんと全員分あります
■■音楽■■
雰囲気ゲーと言われるのは音楽の影響が大きいでしょう
松本文紀さんの音楽は素晴らしく、イベントシーンでもしっかりと決めてくれます
「全キャラ攻略までBGM鑑賞出来ない」
「BGM鑑賞モードにボーカル曲がない」
のいつもの仕様。「サントラ買ってね!」という商法なんでしょう
■■システム■■
「BURIKO」は動作が軽いです
コンフィグでは最小限しか変更できないの注意
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■■総評■■
原画人気だったり、雰囲気ゲーだったり、エロをアピールしたり
売る為の要素を沢山盛り込んで頑張っているという印象
どんな話でも「絶対ハッピーエンド」を目指すのはもはや当然なのでしょうか?
《ルカ》ルートや《詠》ルートも並以上の出来ではあるんですが
ライターが本当に書きたいシナリオを書きれている、と感じたのは《雛桜》シナリオだけでした
特に《詠》シナリオはちゃんと詰めてほしかった
「絶対ハッピーエンド」ご都合主義だけが全てじゃないはずなのに
《雛桜》ルートの出来はいいので、終わり方が良かったため評価は少し甘めになりました
一部を除きエロ無しのストーリーになっており
発売たった3ヶ月で移植発表と、どう見ても移植前提企画にしか見えません
非攻略キャラの《月子》が新たに攻略対象になったりと・・・
エロゲー業界って大変なんだなと感じました