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t2さんのはるまで、くるる。の長文感想

ユーザー
t2
ゲーム
はるまで、くるる。
ブランド
すみっこソフト
得点
83
参照数
932

一言コメント

後半に評価が大きく変わったゲーム。終盤だけなら95点以上つけたい後半の完成度の高い感動ゲー http://www.sumikko-soft.com/harukuru/diary.html#diary21 4/24の「はるまで、くるる。を作るにあたっての話」は必見

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

冬音ルート中盤まではやや地雷よりです
『必ず最後までやりましょう』


渡辺僚一ゲーらしい作風です
女の子が下ネタ連発、カオスな世界観はいつも通り

最初にきゃっきゃうふふワールドを見せる構成は
短いならいいものの淫乱な女の子達とエロ回想15連発という偏った構成になっています
時代がエロ量を求めている・エロをしっかり入れないと売れない時代なのを考慮しても
スキップなしだと4時間以上あり(エロギャグテキストのライターなので飛ばすのももったいない)
本編とのバランスを考えるとちょっと頭でっかちになっています。
せめて個別Hはクリア後に回しても・・・と思ったくらいです

本編は最初の2ルートが地雷気味
テーマの1つである「生死観」が全く受け入れられず
主人公たちが謎解きから大きく離れたところにいるためにどうも世界観が楽しめないです
ヒロイン長文解説ばかりに頼りすぎです
最後までプレイしてもこの2ルートが本当に必要だったのかは疑問
伏線を張るにしても後半に直接繋がっていないのがマイナス点


・・・
で後半に世界観が判別すると
予想を大きく超えるスケールとタイトルの意味に気づかされた圧倒
そこから最後までは一直線で感動させられました。まさかこんな大逆転があったとは

決して大作ではないものの細かい演出で盛り上げてくれます
突然の日数インフレで絶望感を大きく高めてくれたり
主人公の立ち絵で感動させてくるとは完全に予想外で「やられた!」と感じました
最初に主人公は感情がないという立ち絵トリックを見せて一度納得させて
実はもう1つ隠している。こういう二重トリックには非常に弱いです
このシーンだけのために1曲使っているんですよね
最後の「Spring has come!」はこの物語を綺麗に締める素晴らしい演出
ラスト10分の出来だけならプレイしたゲームの中でトップクラスかも

エロは淫乱で攻めまくるタイプで自分的には好み。本編は微妙
あとシリアス展開でも容赦なく下ネタギャグが入るのでそれが苦手な人は注意です
キャラは全員下ネタ系+恋愛過程を完全に吹っ飛ばしているので薄く感じますね



■■「さいえんす・ふぃくしょん」について
略してSF。

このゲームの魅力は「わけのわからなさ」にあると思います
中盤まではどんなゲームかよくわかりません。ハーレム?煙突?謎の黒幕?殺人鬼?
などなどミスリード要素が多いです。冬音ルート後半からの怒涛の説明でひっくり返していきます

「宇宙船地球号」は本来なら突っ込まずに入られない要素です
クラゲ超万能!などやっていることはかなりの力技
ジャンルとしてはSFになる・・・SFなんでしょうが、別にSF設定自体が面白いわけではなくて
SF世界観の中で主人公たちが悩み行動する様に感動するゲームです
でもさっき書いた通り、このゲームのキャラはぶっ飛んでおりキャラ自体は薄いんですよね
それなりのSF+薄いキャラ=何故かキャラに深く感情移入できる
その原因は渡辺僚一の構成力の上手さにあると思います(※ただし冬音ルート後半以降に限る)
一度は挫折し、ヒロインの言葉で立ち直り、ループを脱出する。ループものは面白いです
「SF:宇宙船地球号」が気にならなくなるくらい一季を応援したくなりました

はるまで、くるる。のPOVトップは「SF仕立てのゲーム」
合ってはいるけど何か違う感じがするんですよね・・・



■■点数について

前半と後半の評価がまるで違うので悩みました
減点方式か加点方式か、プレイ直後の感想は?いやいや春海編はどうだった?とか
75点でも90点でも私の点数基準に合っている気がするんですよね
後半部分を何回か再プレイしたり、最後の扉の向こうのシーンだけ繰り返しても今だにぐぐっときます

面白いゲームかと聞かれれば間違いなく【最高の1本】と自信をもって即答できる名作です
なら80点以上をつけて一言コメントで触れておくのが参考になるかな、と修正しておきます