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t2さんのラブレプリカの長文感想

ユーザー
t2
ゲーム
ラブレプリカ
ブランド
Garden
得点
77
参照数
772

一言コメント

とても残酷なこの世にある、ほんの少しのあったかいもの  長文感想前半はネタバレ控え目

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

↓ネタバレ控えめです
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シナリオ考察系のゲームです
不治の病「GODS」が蔓延した世界で
「GODS」を治すにはクローン人間である「ラブレプリカ」から臓器を移植するしかない
人間とラブレプリカの生命倫理の話がメイン。個別は1ルート1~2時間程度とあまり長くないです

欠点としてギャグがとても寒いこと、説明がくどいことがあります。まずテキストに難あり
そして《みずほ》以外のキャラが薄いことが挙げられます





●1章

5時間くらいあります
軽音楽部を作ってバンドをしたり、恋愛したりする学園モノです


ギャグ中心で進みます。■■ギャグは苦痛レベルです■■
主人公の異様なテンションや《藍》のおっぱいネタが非常にしつこく
滑っているネタを何回も何回も繰り返してくるので本当にうんざりしてきます
ネタの種類も少なくライターさんが気に入った同じネタは何十回も使い回されます
特に執事の吐血ネタが最悪。執事が出るだけで嫌になってきます
この会話にはついていけませんでした。このライターさんはこれが面白いと思っているのかなぁと

このゲームはシリアス系のやや重い話だと思っています
・シリアス系にアクセントとして少しギャグを挟む
・前半ギャグで後半シリアスにしてギャップを見せる
などのやり方はあると一定の理解は出来るのですが、それを考慮しても酷すぎです

それでも1章前半の学園編は展開がそこそこ早くてまだ何とかなるのですが
後半の合宿編からは展開が遅くなるのできっついですよ
この寒すぎるギャグ中心のストーリーは2週目前半まで続きます
開始から8時間は覚悟しておいてください


1章は伏線をばらまいて全く回収しないスタイルなんですよね
どんどん伏線だけが増えていくので、1章だけやっただけでは全く話がわからないのが難点
もちろん2章個別ルートに入れば伏線は大体は回収するのですが

バンド練習はしますが青春モノではないですよ
ドラム練習の説明が印象に残ったくらい。バンド要素はほぼないと思っていいです




●2章

攻略ヒロインは
・《亜透藍》
・《亜透鈴》
・《佐倉みずほ》
・《糸数怜》
・《汀千佳》
・《氷野咲子》
の6人です。


1週目は即《藍》ルートに入る仕様。1章と全く同じノリです
2週目からは2章共通ルートがありまだまだギャグが続きます
2週目は《みずほ》ルートor《鈴》ルートで固定だと思います。3週目から全員攻略できるようになる?(多分)

《藍》以外のルートはどれもそれなりに重い話で
生命倫理を考えさせられたり、プレイヤーにきつい選択を迫ってきたりします
鬱要素があるシナリオもありますが鬱ゲーというほど徹底はしていないですね
個別ルートは1~2時間程度とやや短いです

《藍》→《みずほ》→《鈴》→《千佳》→《怜》→《咲子》 でのプレイを強く推奨
愛する人のために選択をしたり、ラブレプリカの世界を考察したりと様々です
肝心の個別ルートのシナリオは下の重度ネタバレで



●エロ
《藍》   1枠(CG1枚)
《鈴》   5枠(CG6枚)
《みずほ》 4枠(CG5枚)
《怜》   3枠(CG3枚)
《千佳》  1枠(CG1枚)
《咲子》  2枠(CG2枚)

エロに期待するのは止めましょう、以上!

もう少し詳しく書くなら
・回想枠は16ですが、登録されないものや1つのシーンが分割されたものがあります
・HCGが極端に少ないです。使い回しもあります
・エロはギャグの延長線上です。声優もエロ的には微妙な人が多く実用には程遠いです




●演出
立ち絵が豊富なのを売りにしています
確かに立ち絵の種類は豊富で、《エリザベス》や《千佳》は動き回るのですが
ギャグゲーならばキャラが動くのは高評価でも、これはギャグゲーじゃないですしね
演出自体は普通かなという印象。重いシナリオを演出で魅せるようなことはしていません
CG使い回しなどもあり、徹底しているというほどではないですね

一度見たEDでも飛ばせません。OPは飛ばせます




●音楽
BGM15曲+ボーカル曲4曲

BGM曲数は不足しています
ボーカル曲は《藍》《鈴》役の人が作詞・歌唱しています
ゲームの内容とリンクしている歌詞なので歌詞重視の人は注目です




●総評

「ラブレプリカは人を選ぶゲーム」という声を聞きます
確かにパッケージ裏を見ると「そういう系統のゲーム」であるのがわかり
実際にプレイすると寒いギャグと説明で「思ってたのとちゃう!」と感じてしまうタイプです
でも最後までやると、大体は予想通りのゲームだったと思えるのではないでしょうか?

エロゲーをクリアした後に、感想を書きたい・語り合いたいと思えるゲームです
欠点を理解した上で、ラブレプリカの世界観に惹かれる人は購入を検討するといいでしょう

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↓【重度】ネタバレあります







































↓【重度】ネタバレあります
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●キャラとかシナリオとか


■■《ファースト》
第三者
第三者の定義がはっきりせず咲子先生の推測の存在でしかない可能性もありますが
・ファーストかセカンドのどちらか一方は人間の藍(第三者の藍)である
・セカンドはA-10死しているので、第三者が人類に近い性質だとするとA-10死はしない
・また第三者と藍の母の墓が作られていない情報もある
いくつかの情報から第三者の可能性が高いです

ぞな口調やおっぱい好きは元々《ファースト》の性格
《衛士》に片思いしつつも《執事》が好きという言動がさらに性格を複雑にしていますね
《亜透父》の計画を知ってか知らないかわかりませんが
溺死して死亡済、ルベライト試薬によりラブレプリカと判定されます
死んだのはラブレプリカの鈴だということに偽装して、《サード》を新たに加えて《亜透父》の計画は続行します



■■《セカンド》
ラブレプリカ
実はこのゲームの一番の被害者は《亜透藍》もとい《セカンド》なのかもしれません

《ファースト》がルベライト試薬でラブレプリカ判定され、
人間の藍にならないといけなくなった可哀想な女の子が《セカンド》
ぞな口調やおっぱい好きキャラを長年演じ続けているのも本当に大変だったでしょう。いやー酷いキャラだと(笑)
1章ラストでA-10死して死亡、ルベライト試薬によりラブレプリカと判定
《衛士》に心臓を捧げるために回りくどいことをしています

大切な人のために命を捧げるがこのゲーム「ラブレプリカ」のテーマの1つですが
死を伴った犠牲は《セカンド》だけだったりします(一部BAD ENDでは死ぬキャラもいますが)
A-10死の設定自体が曖昧な定義で、何で死んだかわからなくするのが目的の設定にも見えます
まあそう簡単にはA-10死は起きないんでしょう。ラブレプリカが人間社会に紛れるのもイレギュラー
《セカンド》の《衛士》への愛情は深かった

《セカンド》の心臓は2年後に移植…臓器が死亡から2年も持つの???という当然の疑問がありますが
この世界はGODSのせいでおかしくなり医学だけが超発展した、ということで無理矢理納得しましょう

1章ラストは「鈴を殺した犯人は誰なのか?」と推理モノぽく締めています
グランドエンディングのMemento moriも《セカンド》のエピソード
このライターが一番書きたかったのは《みずほ》《鈴》の三角関係ではなく
実は《怜》ルートの推理合戦がやりたかったのでは?と推測してみます



■■《サード》
ラブレプリカ
《セカンド》と双子に見えなければいけないので、前から製造していないといけないラブレプリカ
《亜透父》の計画では鈴ラブレプリカの補充も用意していたという周到さ。もしかするとフォースもいるかもしれませんね
《藍》はリンリンと呼んでいます。愛称も伏線です

事実上のメインヒロインのはずなのにどうもキャラが薄いです
1章前半は《藍》ばかり追いかけていて《鈴》の登場が少し遅かったこと、
《沢人》と《鈴》の恋愛描写が圧倒的に足りていません。空白の2年間のおかげで《鈴》が神聖化されすぎの気も
H後に即《セカンド》死亡事件にもっていかずにもう少し溜めてもよかったのでは?
性知識が狂っている以外に特徴がなく、《みずほ》ルートでは嫉妬丸出しだったり、《怜》ルートではあっさり引いたり
藍・鈴入れ替わりを除いても《鈴》としてのキャラが安定していないように見えました

《鈴》エンドの子供が欲しい発言はどうなのでしょうか?《鈴》BADに似たような場面があるので、結婚後が怖いです
解体されるかされないかは《亜透父》次第。うさ耳を見せれば大丈夫のようです(笑)



■■2章《藍》
《サード》の中の《藍》です
正体は《サード鈴》なので当然《セカンド》の想い人「容疑者X」を知らないわけで
それで(《サード鈴》の)好きな人は《沢人》きゅんということになります
《藍》ルートだけだとただのギャグルートでしかないのですが、《怜》ルートの知識があると伏線を理解できて色々面白い
でも「ユニバース」はやりすぎ



■■《みずほ》
負け犬属性です
一度振られ、2年間頑張って恋人になったと思ったら、《鈴》復活にGODS発症と不幸属性だらけ
ラブレプリカは古いタイプのゲームだという意見をたまに見ますが、私はそうは思いません
ナウいギャグや負け犬属性の強調、先生の処女など現代エロゲーの要素がかなり入っていますよ

このゲームでは唯一と言っていいキャラが立っているヒロイン。くんかくんかされたい
ツンデレ幼馴染というテンプレ属性ではありますが、テンプレだけに王道エピソードが多くてキャラを掘り下げれています
またGODSに対してもこの世界の一般的な思考を持っていること
最も一般人に近い視点―プレイヤーに近い視点を持っているというのも感情移入しやすい大きな理由です

彼女のルートは某超有名ゲーム『K』にそっくりですね。そのまんまです
ラブレプリカは個別が1ルート1~2時間と短いほうで、間を楽しむ余裕がなくダイジェスト展開
それだけにわかりやすいキャラ・わかりやすい展開の《みずほ》は魅力的に感じますね

プレイ時間に関して。何回かこのゲームが短いと書きましたが
それは三角関係モノならばキャラをしっかりと描く時間が必要だと思っているからです
別ジャンルだとしても、キャラを掘り下げるエピソードはもっと欲しかったですね
ボリュームだけあればいいわけではないです。要らないギャグがたくさんあったり説明を簡略化出来るところも多い

きつい選択肢もある一方で、1章の選択肢がみずほBAD以外意味がなかったり
1週目は強制的に《藍》ルートで2週目が《みずほ》《鈴》固定だったりと選択肢を選ばせれくれないようにも感じました

《鈴》に魅力を感じなかったので三角関係モノとしてはかなり弱いタイプ。《みずほ》の不幸を楽しみましょう



■■《千佳》
ラブレプリカ
一般社会にラブレプリカは混ざらないはずです
詳しい説明はないですが《沢人》の両親の研究ということで補完しましょう
あえて設定を深く掘り下げないことで、生命倫理のテーマを邪魔することなくしています

最初は「あれ?いたの?」レベルの本当にモブキャラ
個別ルートは《みずほ》ルートの別バージョンで、王道でわかりやすい話
本当にいい子でした
「はい」「YES」の同種選択肢ネタが何回も繰り返されてうんざりしましたが
最後の選択肢は重いものがあり、《千佳》ルートは選択肢のギャップが効果的でした

最近の流行りらしい「年下の姉属性」ってよくわからないのですが
姉属性で推すなら「お兄ちゃん発言」はギャグでもダメでしょう。キャラを安定させましょう



■■《怜》ちゃん先輩
キャラ的にはどうでもいいキャラなのでシナリオ面を

前半の《衛士》戦、後半の《亜透父》戦の推理シナリオです
細い細い推論をなんとか根拠をつけて、結論にたどり着こうとします
それだけに本当に根拠が薄い。それでも議論を進めることで何かは見えてくるというもの

《ファースト》《セカンド》《サード》の設定はいい。正直に言えばかなり面白いルートです
でも(この長文感想のような)回りくどく説明が下手なのが大きなマイナス点
理解できないことはありませんでしたが、もっと簡潔にわかりやすい議論にもできたんじゃないか?とは感じますね
ここはライターさんの癖なのでしょうがないですね

「ルベライト試薬は絶対である」の設定を覆すルベライト試薬の誤反応にはちょっとびっくり
「こういう設定だよ」と説明したのにそれとはっきりと矛盾した設定を新たに上書きしたら
このゲームの何を信じたらいいかわからなくなります。
《怜》ルートでは納得がいかなかったのですが、《咲子》ルートにちゃんと答えがあったのでほっとしました

でもいきなりルベライト試薬が絶対でそれだけで「人間でないと判断される」のは怖いですよねー
ラブレプリカ本編にはホラー要素はほとんどないのですが、
ラブレプリカの世界観と設定は考察すると面白く、深く考えると怖いですよ



■■《咲子》
もういい…年上先生が実は処女だった設定は…もういいんだ……

鬱シナリオですねーまさか《鈴》ルートからこう繋がるとは
《沢人》が《亜透父》の立場になるとこうなるというシナリオですね
《咲子》ルートで判明したのは真実なのか推論かわからない
一定の答えは出すもの余韻が残る終わり方になっています。
「第三者」や「ラブレプリカの社会」などワクワクする要素が多く6ルートの中では一番面白かったり
可能性や考察する人向けです

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面白かった順だと
咲子ルート>みずほルート>千佳ルート>怜ルート>>>>>>>>>鈴ルート>>>藍ルート
どのルートの荒削りで「もっと良く出来たのでは?」と感じてしまいます
6ヒロインと恋愛しないといけないので主人公が安定していない
不安定なゲームながら、やっているテーマは王道系が多かったですね

ラブレプリカの世界観は面白いです。鬱想像やホラー想像の妄想が膨らみます
あとBAD ENDも面白いですよ、どれも鬱ENDばかりですが
1章《みずほ》END以外も出来るだけ全部見て欲しいです。《鈴》BADとか《千佳》BADとか