【人生通行止め】設定型シナリオの良い見本。各章前半はつまらない会話が続くが、章後半の盛り上がりは素晴らしい。２章がピーク。
ひ ま わ り
エロゲーマーなら誰でも名前くらいは知っている(タイトルしか知らない)伝説の同人エロゲー。
エロゲーは出来れば新鮮な気持ちで新作をプレイしたい想いがあるので、知らないライターさんの古いゲームを選んでみました。
＞…大吾に、あたしの体を弄られた。
うん。2007年の同人ゲームだもんね（泣）。そういうこともありますよね（泣）。
Windows10でも問題なく動作します。
本作は20世紀のＳＦです。携帯電話やE-Mailは存在せず、インターネットも限定的使用（ハッキング）です。「缶のプルタブ」は今の20代は知らないかも。
2000年前後のエロゲーの作風にかなり近いと感じました。
・頭がアレな《アニエス》
・奇人変人だらけの日常
・前半と後半の落差
さらに記憶喪失の主人公、夢パートで物語を進めるのも2000年前後に流行った方法。エロゲーのストーリー作りの基礎をよく研究していると感じましたね。
物語の設定がしっかりと練られていて矛盾がほぼ無い事。
特に《アクア》が主人公となる２章（過去編）は（《大吾》を除いて）圧巻の出来。設定を総動員して物語を盛り上げます。
私は伏線回収のゲームが好きです。伏線回収のゲームはプレイヤーに気づかせることが重要で、そこまで高難易度である必要はないのです。
何となく―《星乃明香里》関連のネタはある程度は想像できると思います。その答え合わせと言うか、大体の予想が埋まっていくのが設定シナリオの面白さです。
ＢＧＭはフリー音源のようですがなんと70曲もあります。曲数の量もシナリオが盛り上がる要因の１つ。
３章（《アクア》編）は……うん。間違いなく面白かったんですけど、「《アクア》ちゃんはビッチだよね」の呪縛から逃れることはできませんでした。
初恋が実らなかったビッチちゃんが新たな男を作る話。《アニエス》もみんな《よーいち》に惹かれる理由が完全に意味不明。金玉潰し……だと……？（もっとやれ）
２章の補完シナリオみたいな位置づけですね。屋上で指輪を投げるシーンはお気に入り。
４章は完全蛇足。過去編の前にやるべき話だったのでは？ルートロックが間違っているでしょ。
キャラ描写は設定に強く縛られていると感じました。キャラ書き分けはあまり上手くないライターさんですね。
どのキャラも少年少女の想いを持っているのと、偽善者であること。善人でもあるしやる時はやる悪人でもあります。
作者のキャラへの・プレイヤーへの・作品への「真心」を感じました。
１つ前にプレイした作品とは大違いですね。2015年以降のエロゲーに「マウントを取る」型が多くて私はうんざりしています。古いエロゲーはピュアでいいものです。
設定ゲームが好きな人、不満点はあっても面白いエロゲーをやりたい人向けです。作風は古すぎるので2020年のプレイヤーにはちょっと辛いかも。
昔は良かったと書くと老害に見えますが、私の好きだった時代のどこまでも真心に溢れた良いゲームでした。