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sirokuroさんの真剣で私に恋しなさい! Sの長文感想

ユーザー
sirokuro
ゲーム
真剣で私に恋しなさい! S
ブランド
みなとそふと
得点
79
参照数
1202

一言コメント

面白いのだが、前作ほどの完成度ではない。紋様がいい、続編なので前作プレイは必須

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

百代、ワン子、京、クリス、まゆっち、の前作ヒロイン勢はただいちゃいちゃラブラブするだけ。
シリアスや新展開、更なる各キャラの成長なのど描写は皆無。
その辺りを期待している人は肩透かしなんてレベルではないと思います。
いちゃいちゃするだけなので、Hシーンを期待している人は満足できるかも知れません、
私もあれ?このキャラこんなに可愛かったっけ?っと思うシーンが多々ありました。
FDとして出していたらなこのクオリティでも充分だったと思います。

マルさん、心、辰子、の前作から昇格したヒロイン勢は、普通の萌えゲーレベルのクオリティ。
フラグは前作で軽く立てていたので、それを攻略まで昇華させて、いちゃいちゃする話し。
恋人となるまでに多少の日常ややりとりがあるが、前作ヒロインのアフターよりはマシかな?
ってレベルであり、恋人状態でのシーンではHするだけで、日常描写は非常に薄いです。
時間や容量が足りなかったのではないか?と邪推してしまいます。

燕、紋白、の新ヒロイン勢は、シリアス、成長、ともにそれなりにあります。
燕はキャラクターとしてスタートから完成している、みたいな感じのキャラなので、燕は成長要素が薄いですが、百代に次ぐ強キャラという立ち居地なのでバトルからのシリアスという意味では多いです。
このキャラのみ2ルート存在して、主導権を握るか握られるか選択できます。
紋白は小さい枠担当ですが、ストーリーは今作の中では非常に出来が良いと感じました。
紋様自体はバトルしないのでバトル要素は皆無ですが、紋様の一挙一動で炉利の扉が開ける人は多いでしょうし、母に対する愛情、認められたいという努力、それに協力する主人公の図はなかなか見ていて面白く、ラストシーンでは感動する人も多いのではないでしょうか。
今作において最も面白かったルートである事は私の中で揺るぎの無いものになりました。
すでにロリコニアの住人です。しかし、紋様は18歳以上なのであしからず

前作のリュウゼツランにあたるルート、小雪ルートですが、私としては面白かったけどイマイチでした。巨大な敵に対し、全キャラを使った総力戦をするのですが、前作のリュウゼツランは各キャラの強さや能力をライターが把握していたと思える見事なカードで対戦をしていましたが、今作は強キャラの出しすぎ、ライターがそもそも強さや能力を把握していない感が出てしまっていて、えーwと思えるシーンが多数ありました。少しレベルの上のキャラを主人公サイドのキャラが倒す!という熱い展開のはずなのにえーwっとなってしまうのが非常に残念です。
そもそも、ルート名である、小雪の存在がそもそも謎です。
このルートはヒロインに小雪を当てる必要性がまったくなく、小雪と結ばれるからこそ起こりえる事象という訳でもありません。Hシーンが1つ、シーン中のCGは差分を数えず1枚という点から、ヒロインとしての小雪がどれだけ適当かが分かります。
前作から攻略を熱望されていた小雪のルート、しかも最終ルートということで、ルートを選択した地点で興奮した人は、さぞ私含めがっかりした事でしょう。
しかもこの小雪ルート、かつて救えなかった少女小雪を救済するルートではなく、主人公が幼少時気まぐれで小雪を救った所から物語がスタートするため、作品としての位置づけは完全にifです。
史実にはなりえないルートという訳です。
一番熱い、盛り上がるルートを完全にifにしてしまうのは、プレイヤーとしては冷めることこの上ないのは言うまでもありません。

サブキャラでプチ隠しルートである伊予、小杉、弓子、ですがHシーンが1つだけあるよ!
というだけですので、そもそもフラグからして怪しいレベルですので、おまけとして嬉しい程度に考えるのがベストであり、これを期待して買うのは控えたほうがいいかと思います。

総評として、キャラクターの掘り下げが足りないと思います。
十勇士、九鬼従者部隊、クローン達がいますが、何を考えていて、何を成したいのかさっぱり分からず、ただ戦闘員として増員された感が半端無いと思います。下手に魅力的なキャラクターが多く、前作キャラゲーとして成功した分、新キャラがこういう扱いになるのは残念極まりないです。
新キャラの扱いも酷いものですが、旧キャラの扱いも酷いものです。
戦闘の出来るキャラはいいですが、非戦闘員のキャラクターはいないものとして考えたほうが幸せかもしてません。
前作ヒロイン達ですら、アフター以外のルートでは空気に近い役回りしかしていません。
100名以上のキャラがいる!という売りでも、それが存在として死んでいるに近いキャラでは意味がありません。ただ、ライターがこういうバトルをしてみたいから、こういうキャラ足そうか?という理由で追加され、そのシーンを入れたら後は適当に立ち回りさせよう、みたいな感じのキャラが多いです。
全キャラクターを生かそうとして頑張っているのは伝わってきますが、ライターの現在の能力の限界のようです。逆効果です。生かそうとして、殺しています。
タカヒロさんがしたい事を詰める、それを形にすととプレイヤーが面白い。というのがタカヒロ作品の真髄だと思うので、内容が行き過ぎたとかタカヒロさんが調子乗ったとかとは思いませんが、いろいろ空回りしたなとは思います。

そうなると、更なる続編やFDを期待されるわけですが、また新キャラ追加する方法での続編なら正直微妙になりそうとしか思えないのが正直な感想です。

面白いです。しかし前評判以上の期待通りの作品ではなかったなーといった感じでしょうか……