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sirokuroさんのカミカゼ☆エクスプローラー!の長文感想

ユーザー
sirokuro
ゲーム
カミカゼ☆エクスプローラー!
ブランド
Clochette
得点
94
参照数
805

一言コメント

第一印象が萌え特化ゲーだな。っと思いつつプレイした作品の中では最高だった、と胸を張って(おっぱい属性的な意味でも)言える作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

こういう第一印象の作品は、キャラ同士の掛け合いが面白く、ラブラブの期間を経て、
少しの山場を越えてEDを迎えれればいう事無し!そう思っているのですが……

まず主人公のハーレム率の高さ、つまり女性比率が高すぎる、加えて登場する女性キャラの9割と言っても大げさではないほど、主人公は女性キャラから好感を持たれています。

上記の点から分かる通り、コイバナ的、主人公のイケメンタイム的な要素を多分に含んだ掛け合いがメインになるので、キャラ同士の掛け合いも、パロディや、面白い事を言うキャラが多いという意味でも掛け合いが面白いでは、ありません。
微笑ましい、青春してるなー、そういうニヤニヤできる面白さがあります。

ラブラブ期間は、ヤバイです。
バカップル、それ以外の適切な言葉があるなら教えていただきたい程です。
ラブラブなので、えっちな事も当然していく訳ですが、正直純愛ゲーでここまでエロのレベルが高いのは他に知らないですね。絵、テキスト、ボイス、全てがいい。
エロゲーに対して非常に失礼な発言になりますが、第一印象が萌え特化ゲーなゲームに対しては、
私はキャラを楽しみたい、日常を楽しみたいタイプのプレイヤーですので、エロの要素は期待していません。エロはまた別のゲームで、という考え方です。
かなりの確立で、エロシーンは飛ばします。しかし、この作品は飛ばせませんでした。
エロスといちゃいちゃを区別していたつもりだったのですが、いちゃいちゃ→エロの流れが余りに、ニヤニヤを誘い、気がついたらとんでもなくエロイ事になって飛ばす機会を失ってしまっていました。

萌えゲーという印象はプレイ後も変わらずなので、ラブラブバカップル期間のエロのクオリティは他の方々や、私の得点から察していただければ嬉しいです。
もう一度言うなら、ヤバイです。

ここまではざっくりとしたプレイ後の印象なのですが、スポットをキャラ毎に当てて、感想を綴っていきたいと思います。

まず、私がエロゲーで最も重視する要素、主人公ですが、恋愛以外の他者の感情には敏感であり、頭の回転も速く、その回転を生かす知識もあり、知識を実行に移す事ができる決断力、決断を結果として残せる行動力を持っています。
恋愛感情に鈍感である、以外は非常に高いスペックとなっています。

この作品の肝である、メティスという特殊能力は「ジョーカー」能力は触れた相手のメティスをコピーできるというもの。ただのコピーなのですが、本来の使用者すら気づかない応用を行ったり、新たな可能性を提示できるという、能力の根本レベルからの完全コピーです。
チートですね。
弱点として、メティスは一回だけの使いきり、再使用には再び対象に触れる必要がある点、そのストックは一日程度しか持たないこと、使用する際に伴う技術は自ら学ばなければならないという点ですかね。
全ヒロインルートで言えたことなのですが、恋人になる前、主人公がヒロインを気にし始める頃、その逆も然りですが、当然そのヒロインとの接触が増えてコピーするメティスが偏る訳ですが、ジョーカーネタばらしの際、好奇心旺盛な主人公は、私目当てなのか?メティス目当てなのか?という葛藤がありそうなものですが、ヒロインの好感度が高すぎてあまりその描写はありませんでした。
軽く触れる程度でした。

この主人公を中心に各ヒロインのルートですが、

メインヒロイン風花ですが、メティスは「アイギス」空圧による絶対防御と呼ばれる盾を作り出します。作中のキャラが発言していますが、メティスはその個人の本質を裸にするより恥ずかしく現す、そうですので、風花は過去の経験から他者を守る事に並々ならぬ意思があります。
お互い一目惚れのように恋に落ちて、お互いを意識し始めて、恋人になるます。
ラブラブっぷりは、そりゃもう凄いですが、割愛
シリアスパートでは、主人公がコピーして初めて使用したメティスがアイギスという事で、主人公のメティスはアイギスという事になっているので、そのアイギスの成長、風花が守りたい世界の拡張に主人公が手助けをしていく感じです。
シリアス度は真ん中くらい。

美汐ルートですが、メティスは「プロミネンス」炎を発生させて操るメティスです。美汐は主人公と昔少しだけ接点があったそうで、その時から好感度がMAXです。
その事実自体は美汐ルートでしか明かされませんが、日常パートから因縁はあるな。くらいは分かります。
接点に主人公が気づいた地点で、ほぼ恋人状態ですので、そこからは凄いバカップルというだけですので割愛、割愛できるほど温いラブラブじゃないんですが……
シリアスパートはメティスに関する陰謀に自ら首を突っ込んで、プロミネンスによるバトル、解決みたいな感じでした。
初見の作品のイメージよりは1ランク上くらいのシリアス度ですので、バトル目的には出来ませんが、
スパイスには良かったです。シリアス度では、バトル方面では全ルート中最高です。

そして、主人公の妹まなみです。メティスネームは「ペネトレイター」全てを貫く貫通力特化のメティスです。本人のモチベーションなのか鉛筆を使うと一番効果がでるみたいです。
ペネトレイター状態の鉛筆を投擲してそれが人体の致命傷当たると余裕で殺せるレベルです。
妹キャラで主人公がメティス使いだから自分も根性で才能に開花したり、主人公が転校したので自分も転校してきたり、主人公の事が異性として好きで、その魅力は主人公にも充分伝わると判断したライバルには噛み付いたりするブラコンを通り越したアブノーマルです。
まなみ本人はそのアブノーマルを気にしていますが、主人公はあまり気にしていません。
シナリオ自体はメティスに関する厄介ごとに巻き込めれそうになったのを、なんとか回避する。みたいな感じです。シリアス度は下のほうです。初めに攻略する候補の一人です。

琴羽ルートですが、琴羽は腐れ縁の幼馴染属性です。作中最大のおっぱい要因であり、メティスネーム「マーメイド」から予想できますが、非戦闘要員です。
マーメイドは水中での呼吸、水流の操作、体温や湿度の調整などができるようです。このゲームの世界観は温暖化により水没してしまった世界を舞台にしているので、水中でのシーンは豊富であり、可能性に満ちたメティスなのですが、シナリオの軸がそもそもメティスを取り巻く陰謀に置いているため、琴羽ルートは他のヒロインと違って脱線気味です。
まなみもそうなのですが、琴羽もなにかしら続編を想定した場合、非常に史実として設定されにくい道筋を通ります。琴羽は主人公が他のヒロインを選んだ場合の失恋描写が薄い、と感じました。
その分、本人のルートでは本性を表して、デレデレになります。しかしその前置きは、元々諦める気だったスタンスと主人公の鈍感属性によって長めです。
しかしルートでh……(略
シリアス度としては全ヒロイン中最低クラスですが、これはこれで味があります。
他のヒロインを選んだ際、琴羽は本心ではこうだった、そう思うと切なくなります。

ラストは沙織ルートです。メティスは「アンブラ」影を擬似生命として実体化して、操作するメティスです。ヒロインの中で唯一のちっぱい担当であり(それでも80)、登場する女性キャラで主人公への好感度が初見では低いキャラで、全ヒロイン中で最も変態度がマッハなヒロインです。
ちっぱい担当ですが、先輩であり、変態です。
アンブラはメティス発見当初、新ジャンルとされるほど稀なメティスであり、それによる孤独を抱えていたみたいです。そもそも沙織がメティスに目覚めた当初は、まだメティス自体への認知度が低く、新興宗教や詐欺師まがいな酷い迫害を受けていたらしいです。風花の過去も思っていたより重かったですが、沙織もなかなか重い話しです。
その重さが語るように、軸として設定されたシナリオを網羅するように物語が展開するので、シリアス度は全ルート中最高です。美汐といい勝負できますが、美汐は派手さが目立つので……
謎がすべて解けるルートという事で、一番最後に攻略することをオススメします。
あえて、最後にもって来ましたが、沙織との恋人状態でのやりとりですが、風紀委員であったり、人見知りであったり、えっちの知識が俗物的な本であったりするので告白→バカップルとは違います。
その辺り、いままでのキャラを攻略していると切り口が違うので新鮮です。
でも、ラブラブの甘甘というのは変わらないのが、この作品の凄いところ。
キスを通り越してあんなこと、あっちを使わずそっち、そんな感じです。

総評として
主人公も良かった、しかし、その程度で何故こいつを持ち上げるんだ!そんな簡単にハーレムになるかよご都合主義乙。とか、自分のこと出来る奴とか思い込んでいてその程度(笑)。とか、このジョーカーはワイルドカードだ(キリッ。という層は確実に生み出すタイプの人間性だと思うので、体験版で拒絶反応がでた人は無理でしょう。始終そんな感じですので。
でも、私の意見としては結果を残して、ヒロインを幸せにしているのでかっこいいです。

シナリオは、ヒロインごとにどれだけ事件に踏み込むのか?で差別化されていて、シリアス、ラブラブ、日常、のシーンが総評すると高いレベルだと思いました。
総評すると、ですのでヒロイン毎に当然違いが有り、差別化されているので美汐、沙織を事件を通してではなく、青春によって結ばれて欲しかった、という人もいるかもしれません。琴羽やまなみと一緒に巨悪に立ち向かいたかった人もいるかもしれません。
そういう意味では、萌えゲーなので萌えゲーとして万人に薦められる、のとは違うのかもしれませんが、私は全ヒロインが素敵なキャラクターでしたので、とても満足でした。

長々と駄文を失礼しました。しかしながら、萌えゲーと思っていながら、それ以外のジャンルにも挑戦していた作品で、これほど高いレベルで纏まっていた作品に今まで不幸ながら出会えていなかったので、つい本能で書いてしまいました。
ジャンルは単純、萌えゲーに能力バトルのエッセンスを少しだけ加えて、環境問題も取り入れて、近代SF学園物にしてみました。っというだけのはずなのですが、なぜこんなにレベルが高いのか。
そして、そのゲームを何故今まで積んでいたのか……不思議です……

それでは失礼しました。