大切な人のために神をも恐れぬ領域へ踏み入れる、そんな主人公の戦い。超ネタバレ注意。
この物語は主人公の岡部倫太郎のためのストーリー。
彼が、手にした運命を悪戯に改悪する、発明品で、とある世界では最大の人を、とある世界では最愛の人を失ってしまう。
それを決定された世界線。
世界と戦う戦いが始まる。
序盤は匿名掲示板ネタ、主人公により厨二ネタ等のギャグと偶然の産物を開発するまでのほのぼのギャグパート&伏線ばら撒きパート。
全ての行動に意味があり、後の壮絶な運命の伏線となっています。
ネットスラングや厨二などが受け入れなれないひと、物理学が難しくてめんどくさい人などはここでまず苦痛を感じるはず。それ以外の人にはニヤニヤがとまらないと思います。
そして中盤、主人公の最大の人、まゆりの死が世界の確定事項だと知ります。
自分の軽はずみな行動が生んだ。最も身近な人物の死の確定。主人公の孤独な戦いの始まりです。
その過程として、タイムトラベラーや父親の死にって自由を失った少女、生まれてくる性を間違えた人。それらの運命を変えた代償を主人公は心を磨耗させることで払うことなります。
このゲームのトゥルー以外の√は妥協や逃避の結果であり、主人公は運命に一矢報いる程度で終わってしまいます。攻略の際はこちらの√からの消化をお奨め致します。
鈴羽→フェイリス→るか→まゆり→クリス→トゥルーみたいな感じですね。
そして、終盤、最大の人まゆりと最愛の人クリスの命が天秤であると気づきます。
プロローグのシーンの意味、ここで回収されます。
いままで幾つかの人間を自分の一存で踏みにじることによって、心がボロボロの主人公にとって、あまりに巨大な壁。
主人公はそれでも決断します。
狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院狂真の選択は……!!
そして、ストーリーは真EDへと向かいます。
シュタインズゲートを目指して、主人公による、最後の大立ち回りが始まります。
その後、主人公は誰も死なない、傷つかないかもしれない世界、シュタインズゲートへの到達します。
それは可能性に満ちた、主人公にとっては眩しい世界でした。
そんな話し。総括すると、非常に素晴らしい作品ですね。
主人公のキャラ、立ち回りも、等身大の大学生が追い詰められた状況というのを上手く出していて、ハラハラどきどきが止まらないものでした。
なにより厨二発動時の主人公がツボなんですよね。
ヒロインにしても、一癖二癖のなる人格で、魅力的。
サブキャラもそれぞれに与えられた役割をきちんと果たして捨てキャラがいない。
ストーリにしても、物理学、脳科学の小難しい会話、解説や、タイムトラベル理論を軸にそこにさまざまな人間模様をスパイスした読み応え満点のものです。
評判は出尽くした感、がありますが、狭いADV界において2009-2010年を代表する作品の筆頭なのは間違いないと信じたいですね。
唯一にして最高の残念はバグの存在に尽きると思います。
いやー、本当に楽しい読み応えのある作品ですので、未プレイで時間のある方ぜひ検討の程をお願いしたいですね。このネタバレを読ませてしまったなら申し訳ない話ですが……
いろいろで聞かされる記憶を消してもう一度、やり直したい、という意見は分かるきがします。
しかし、この作品で記憶を消してもう一度、という意見はなんとも深いテーマですね。